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てりたまです。
監査法人で30年強、うち17年をパートナーとして勤めました。

今回は監査や会計の話ではなく、高年齢層の今後の働き方について、私が最近考えていることを書いてみます。

60代で引退して幸せなのか

人生100年時代と言われてかなりの年数が経ちます。
安倍元首相肝いりで政府の「人生100年時代構想会議」が発足してからでも5年が経過しています。

人生100年時代の課題としていろいろ言われている中で、「年寄りよ、もっと働け」というのもあります。
政府は企業に、定年延長や、定年後の雇用機会をこれまで以上長く提供するよう働きかけているところ。
年金を開始する年齢の引き上げの話もあり、これまで以上に年をとっても働き続けることが求められています。

これらは年金財政の破綻を防ぐため必要かはちょっと置いておいて、そもそも60歳などで引退し、100歳まで生きたとしたら、40年間、何をするのでしょうか?
まずは旅行でもしたい、温泉に行って、ゴルフをして、後は読書三昧か。
確かによさそうですね。でもそれ、毎日毎日、何十年もやり続けるんですか?
お金の問題もありますが、実際のところ、お金が尽きる前にそんな生活に飽きてしまう人が多いとか。
結局、健康で頭もはっきりしている間は、仕事をすることになりそうです。

今の会社で雇用延長か

それでは、これまで勤めてきた会社で、そのまま雇用延長するとどうなるでしょうか。
価値を生んでいる人は、これまでどおり思う存分活躍していただければいいでしょう。
問題は、価値を生んでいない場合です。

あくまでも一般論ですが、経験年数を重ねることのメリットとデメリットがあります。
メリットは、経験が増えるので、蓄積した知識を使って情報の不足を埋めて早く決断できること。
デメリットは、すでに蓄積した知識が膨大にあるため、アップデートがたいへん。さらに、新しいことをインプットする余地もあまりないため、昔の知識で判断してしまうことです。

メリットがデメリットを上回り、しかもその差分が給料を超えている場合のみ「価値を生んでいる」と言えます。

価値を生んでいなくても、若い人の邪魔をしなければまだいいんです。
しかし、まじめで優秀な人ほど、何もしないことに耐えられず、口を出します。それが的を射ていたらよいのですが、古い知識がベースにあるので、そうでないことが多そうです。また、役職定年により重要なポジションには就いていないとしても、若い人たちは元上司、元先輩の言うことをむげにはできません。

そうすると、価値を生んでいないどころか、価値を棄損させてしまっています。
役職定年も引き上げられると最悪で、若い人が責任あるポジションに就くのが遅れます。
結果として会社の生産性は落ち、若い人のやる気はなくなり、会社の生産性はさらに落ち…と負のスパイラル。

60代も働かないといけない、でも会社にいたら迷惑がかかる。ではどうすればいいのでしょうか?
私は、会社を出て、別の場所で若い人のサポート役に回ればよいのでは、と考えています。

「若い人たちのサポート役」とは

日本の人口ピラミッドはとっくの前からいびつになっていて、若い人が少なくなっています。
その貴重な若い人たちが、もてる能力を最大限発揮しなければ、日本の将来は暗いと思います。
能力を発揮いただくためには、企業の経営をもっと若い人に任せないといけません。
そうすると、60代どころか50代の人たちも会社にいる必要がなくなります。そこで、会社を飛び出せばいいのです。

60代、50代は、他の会社で若い経営者に雇われたらいいのです。契約社員でも、パートでも、コンサル契約でも構いません。どのように役立てるかをアピールし、サポート役として実績を積めば、収入も上がります。
雇う側は、支払う給料や報酬に見合わないと思えば、退出いただくしかありません。別に元上司でも先輩でもないので、しがらみはありません。

もっとも、これまで大勢の若い人たちの上に立って指示をしてきた人たちが、突然サポート役に回るにはギャップが大きすぎます。
こんなことを言い出す高年齢層が大量発生しそうです。

「例の『サポート役』とか言うのやってみたけど、若い経営者なんてひどいもんだよ。ものを知らないし、社会人の基礎がまるでなってない。こっちに何の根回しもなく勝手に案件を決めてきて、『サポートお願いします』って。バカにすんなってちょっと強く言ったら、泣きそうな顔してたよ。」

老害の大量発生を防ぐために、よく言われている「リスキリング」がここでも必要になります。
若い人たちがより高い価値を生み出せるように、豊富な経験を効果的に活用し、励ます存在に仕立て直すのです。

変幻自在の活躍

もちろん、これまで勤めた会社で引き続き価値を生み出せる人もいるでしょうし、自分で起業して活躍できる人もいるでしょう。
そうして50代、60代を過ごし、70代になっても活躍してもいいし、だんだん負荷を減らして引退モードに入っていく人がいてもいいでしょう。サポート役をしながら起業したり、副業でほかの同年代の人の事業を手伝ってもいいし、ボランティアに打ち込んでもいい。
そうやって、高年齢層は変幻自在に自分の能力を発揮し、若い人たちは彼らのサポートも受けながら目いっぱいの能力を発揮する。そんな社会が築けたら、日本もまだまだ捨てたもんじゃないと思います。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。

てりたま

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