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若手監査人は、成長のためにこれをやれ!

シニアスタッフやスタッフは、先輩たちと比べて少ない業務経験の中で成長しようともがいています。
いったい、何をどうがんばればいいのでしょうか?


てりたまです。
監査法人で30年強、うち17年をパートナーとして勤めました。

前回の記事で、シニアスタッフやスタッフの業務経験がリモート執務や働き方改革によって少なくなっていること、そのため先輩世代以上に自らを律して学ぶ必要があることを書きました。

「自ら学べ!」と突き放したままでは無責任なので、今回はその解決編です。もっとがんばれるのに、がんばりたいのに、と不完全燃焼ぎみのあなたのために書いています。

限られた機会から最大のインプットを得る

勉強すると言うと、業務外で何をしようか、と考えるかもしれませんが、まずは限られた業務機会から、最大限インプットを得ることに集中しましょう。

監査現場には生きた教材にあふれています。これを踏まえて勉強すると、頭に入りやすいですし、すぐにその成果を生かして手応えを感じることができます。

関連する基準を読み込む

まずは会計基準、内部統制報告基準、監査基準などから、担当分野に関連する部分を読み込みましょう。

疑問点を解消する

監査経験が浅いうちは、新しい分野を担当したり、より難しい論点を担当することが多くなるはず。一歩進めば分からないことがいくつも出てくる状態でしょう。
それをそのままにせず、先輩に聞いたり、基準を見返したり、本を探したりして、解決していきましょう。

実務で出会った論点をふくらませて勉強する

限られた機会を最大限に活かすために、出会った論点を足がかりに、そこからふくらませて勉強しましょう。
例えば、為替予約を担当したとすると、次のように膨らませることができます。

  • 金融商品のその他の領域

  • 外為取引実務

  • 貿易取引実務

  • デリバティブ

最後のデリバティブだけとっても、その種類と利用方法、ヘッジを含めた会計処理や開示、リスクと管理手法など、いくらでも広げることができます。

フィードバックを求める

上司や先輩の皆さんは、「ちょっと厳しく言うとパワハラと言われるんじゃないか」、「すぐに辞めちゃうんじゃないか」とドキドキしながらあなたに接しています。おそらく言いたいことの一部分しか言ってくれていないと思われます。
そこで、積極的にフィードバックを求めましょう。
と言っても、「私って、どうですかね?」と急に聞かれても答えづらいので、次のように聞いてみましょう。

  • 「ここでAかBかで迷ったんですが、Aにしてよかったですか?」

  • 「ほかにやった方がよかったことはないですか?」

  • 「○○さんなら、この調書を任されたらどうしますか?」

そうすると聞いたことだけでなく、気づいたことを話してくれるようになります。

もし、パワハラ気質の上司・先輩がいたら、感情は一旦横に置いておいて、伝えようとしている内容だけを抽出して、参考になりそうな部分をありがたく頂戴しましょう。
ただ、精神的につらい状況が続くようであれば、誰かに相談するなど、早く動いてください。

監査現場で上司、先輩が話していることに耳を傾ける

前回の記事にも書きましたが、リモート執務の問題は、ほかの人の会話から学べない、という点もあります。
対面で仕事する機会には、上司・先輩のチーム内やクライアントとの会話を聞いてみましょう。
最初はよく分からなくても、聞いているうちに次のようなことが理解できると思います。

  • どんなことに問題意識を感じているのか

  • それに対してどのような思考プロセスで対応しようとしているのか

  • そのプロセス、検討結果をどのように説明しているのか

中には、「ポイントがずれてるな」「重要な点が抜けているんじゃないかな」「そんな説明じゃ分からないだろうな」と気づくこともあるでしょう。
そんなときも、反面教師として勉強になります。
また、会話に入れそうなら、参加してみましょう。

修了考査の勉強は真剣に

資格試験としての勉強は監査実務を経験しない状態で進めるため、ぴんと来ないまま丸暗記することが多かったはず。
これに対して、修了考査のための勉強はもはや机上のお勉強ではありません。
修了考査終了直後は、会計士としてのキャリアの中で一番網羅的に会計基準・監査基準に詳しくなるタイミングです。監査現場で上司・先輩から、「これって、監基報でどうなってたっけ?」と聞かれることもあるでしょう。

修了考査のために勉強することと、実務が乖離していることに気づくかもしれません。この気づきは、すばらしい教材です。
実務を修正する必要があるのか、あるいは基準どおりでは適切でないのか、考えるきっかけになり、監査への理解が深まります。

将来の目標を作り、そこに近づくよう継続的に努力する

スタッフ一年生の間は、仕事に慣れることで精いっぱいでも仕方ありません。二年目からは、何らかの将来の目標を持っておく方がよいと思います。
同じ勉強するにもモチベーションが変わってきます。
目標はあとで変更してもよい、というよりはむしろ変わっていくものですので、とりあえず、で決めましょう。

その目標に近づくために、できれば毎日、少なくとも週一回、続けられることを決めましょう。毎日なら10分、毎週であれば1時間確保して、続けましょう。
例えば英語であれば毎日10分英語を聞く。起業であれば、毎日10分で少しずつ計画を立てる。

勉強すること自体のメリットも重要ですが、こうやって継続することで自然に情報に対する感度が高くなり、目標を変更しても活かせる知識が蓄積されます。

おわりに

不完全燃焼ぎみのあなたへ、ということで書きましたが、それでも一日の仕事が終わると疲れるし、ほっとしている間に時間は過ぎていきます。
そこでもうひと踏ん張りできれば、あなたの成長曲線が変わります。

限られた実務の機会から最大のインプットを得る。修了考査の勉強に真剣に取り組む。将来の目標を作って努力を継続する。
目新しいことが何もなくてすみません。しかし、当たり前のことを当たり前にできる人は、実は少数派です。あなたがその少数派として活躍されることに期待しています。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この投稿へのご意見を下のコメント欄またはTwitter(@teritamadozo)でいただけると幸いです。
これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。

てりたま

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