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正しいワインの始め方6

キャリア20年のソムリエが友達に話していた、自然にワインに親しめる5つの話 その5

雑学編 「コルクのお話」 5つの話の最終回

最近ではペットボトルのワインも出始めていて、ワインのスクリューキャップは普通になってきました。オーストラリアやニュージーランドでは当たり前でほぼ全てがスクリューキャップになっています。

コルクはあの形で木の実のようにぶら下がっていいるわけではありません。木の皮なんです。コルク樫という木の皮をグリッと剥いであの形に撃ち抜いて作ります。大人1人では抱きかかえられないくらいの幹の太さの樹です。幹を押すとふかふかした感じです。有名な産地はヨーロッパの西側から地中海沿岸、北アフリカにかけです。その中でポルトガルが最も生産量が多くて、世界シェア60%とも70%ともいわれています。下の写真のようにペロンっと剥がされて寒そうですが、約9年~10年で再生して再度収穫できるそうです。一時、自然破壊だと言われてスクリューキャップ移行へ拍車がかかったのですが、実際は再生可能なエコ原料です。しかも、ポルトガルでは樹齢25年以上、幹の太さ70cm以上の木でなければ収穫してはいけないという規定があり守られています。

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コルク自体は2000年前から、一説では4000年前から何かしらの形で使われていたと言われています。しかし、ガラス瓶の栓として使われるようになったのは最近の話。そもそもガラスの瓶ができたのが1600年代後半なので約300年くらいの歴史です。ガラス瓶ができる前のワインは、樽や壺に入れて持ち運んでいました。そこに使う栓は布や木片などを詰め込むものでした。ガラス瓶も当初は今では考えられないくらい強度が弱いものだったようです。そのようなときに弾力性のあるコルク栓の発見はワインの物流を大きく変えると同時に、熟成という新しいワインの可能性を発見することにもなったのです。

ワインのレベルでコルクは違う

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コルクには材質の違いと長さの違いがあります。高級なワインに使われるのは、コルク樫の皮を打ち抜いただけの天然コルク、そして長さが長い。約6cmくらい。次のランクは、打ち抜いて残った(穴の開いた)コルク樫を粉砕して圧縮接着したものと短い天然コルクを接着したハイブリッドタイプのコルク。その次は、圧縮接着したもので、この辺りから3~4cmの短めになります。ワインの価格で言うと、1000円前後のワイン。最後がプラスチック製のコルク。アセテイトコルクなどとも言いますが、500円くらいのワインは、このようなものかスクリューキャップとなります。なので、「高級なワインです」といわれて出されてもので、圧縮接着のコルクやプラスチックコルクはおかしい。それは高級ではなく中級かそれ以下と思って間違いないでしょう。コルクを見ればワインのランクが想像できますよ。


特殊なコルク栓  シャンパーニュ

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ご存知のようにシャンパーニュ(スパークリングワイン)は瓶の重さが違います。普通のワインの瓶より重いです。炭酸ガスの圧力に耐えられるように分厚く丈夫にできているから。シャンパーニュの場合は5気圧という決まりがあります。ビールが約2~3気圧ですから倍近い炭酸ガスが入っています。瓶が分厚ければ当然コルク栓も丈夫に作らなければ意味がないですよね。なので、シャンパーニュの栓は普通のワインコルクとは少し違う構造になっています。


最後に、これは?

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ミュズレ Muselet  と言います。フランス語の「口封じ」 Muselerに由来する言葉です。犬の口に被せる物もミュズレと言います。別名、シャンパンワイヤーとかワイヤーフード。基本は6回半ねじって開けます。

ミュズレのキャップをコレクションするためのボードも売られてます。


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