CWSAリーフレット_裏_

「地域課題に向き合い、行動する」大切さ

私たちの仕事は、地域の事情に左右されることがたくさんあります。国から示された制度施策があったとしても、それぞれの地域事情は様々で、進捗状況もそこそこによって違ってくると思います。福祉を担う事業所がたくさんある地域もあれば、人口減少に苦しみ、社会資源もままならない地域もあります。ですので、制度施策を振りかざして、正義を語る福祉職員に対しては、しばしば同業者として嫌悪感を感じます。

私が担当する地区も、様々な課題を抱えています。まず、社会資源はある程度増えましたが、増えたのはここ数年の間であり、実際にその事業所で働く職員のスキルは、決して褒められるようや状況ではありません。なによりも、当の本人たちが、それで良いと考えているところに、支援の質という面での難しさを感じます。それぞれの職員の熱意で運用されており、そこに技術的、専門的な支援が行われているかと言われれば、疑問も感じることが多くあります。かといって、福祉を長年経験しているバイザーとなれるような職員も少ないですし、そういったつながりを持つような場所もありませんでした。ただ、地域には自立支援協議会は存在して、それぞれの分野で話し合いの場をもつ機会もありますが、終始体裁ばかりで、中身のある話し合いが行われているかと問われれば、甚だ疑問です。本当に地域の問題は様々で、単に話し合えば解決するものでもありません。大切なのは、事業所との顔の見えるつながりであり、地域の福祉を支える事業所並びにそこで働く職員のためのスキルアップの場が必要だと思うのです。

地域の相談支援体制の中核を担う「基幹相談支援センター」は、残念ながら、私たちの地域は、行政主導で行われており、そういった地域の福祉のスキルアップを担ってくれるような環境にはありません。また、行政でもあるので、24時間対応を行なってくれることもなく、所詮、相談場所のひとつでしかないのが実情です。このままただじっとしていても、何一つ解決することはありませんし、そういった地域課題に取り組むことが、私たちソーシャルワーカーに求められるものではないかと思うのです。そのために、まずは、地域で勤務している福祉職員が、気軽に集まることができる環境をつくること、そして、そこでつながった横の関係を、それぞれの事業所で生かしていくこと、さらには、第一線で働いている専門的な支援者の話を聞くことができるような研修会を開催すること、自分たちがわからないことを気軽に尋ねることができる学びの場を提供すること、最後に、足りない社会資源を産み出し、運営することができる体制をつくることを目的に、私たちは、仲間と協力して、平成31年2月、一般社団法人 福岡・筑紫地区地域福祉支援協会を設立しました。

平成31年2月から、令和2年1月の間に、この地区は、4つの研究会と、合計20を超える勉強会、さらには、交流会を行うことができました。地域で、このような研究会が定期開催がされている場所は、そんなにたくさんあるとは思えません。また、足りない社会資源を補うかのように、医療と福祉、事業所間の横のつながりを増やしていくことにも成功しました。私が担当している利用者さんが、転居等で他の地域に引っ越しても、近隣であればつなげることも容易になりました。お隣の市のサービス状況も、これまではなかなか入ってこなかっただけに、連携も図りやすくなったといえます。私たちの活動が、着実に実を結んできていると感じます。

もちろん、課題はまだまだありますが、まずは地域がつながり、連携するための素地はできつつあるのではないかと感じます。まだまだ荒削りではありますが、私は少なくとも、自分が担当している地区の福祉のために何ができるのか?何のために計画相談を行なっているのかを常に考えながら、地域にアクションを起こしていければと思うのです。そんな私たちが、1周年を迎えることから、大規模な講演会を開催することになりました。福祉の専門家というよりも、あえて「笑いあり」「涙あり」の元気をもらえる講演家をお呼びしたイベントにしています。是非、奮ってお越しいただけたらと思います。

中村文昭講演会


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