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アート独り言。(表現することは生きること。美術館に、行ってみた。)

昨年秋にリニューアルオープンした岐阜県美術館にようやく行くことが出来た。

リニューアルオープン初日に撮影があり、行くことが出来ないのでまた改めて行こう。そう何度も思っては行けずにいた。
その間、色んな人からの意見も聞いていた。自分にとっては色んな思い出がある美術館。
だからなんとなく不安な気持ちが拭えなかった。

以前の門はなくなり、開放的な入り口へとリニューアルされた。

イメージする力、生きる力展の入り口。最終日。

2019年末まで無料で観覧との事だったが、今日もまだ無料だった。所蔵品展はなく、「イメージする力、生きる力展」と、「セカンドフラッシュ展」を観た。

入り口が良くわからず、受付の方に聞いてから中に入る。

無数の写真たち。
副題、ある日の「美術と教育」の出来事とあり、過去を蘇らせるためか、おびただしい数の写真。

私自身、過去の壮絶な子育てが原因で自分の子供の写真を見ることはまるでパンドラの箱を開くようで出来ない。その為、この展示は少し苦手であった。

中に入ると、幼稚園、小学生、中学生、高校生、大学生、教師など実にさまざまな作品の展示。
ある意味斬新であった。

「セカンドフラッシュ展」は、過去のAAIC(アーティストインザキューブ展)、AIM(アーティストインミュージアム)の展示そのままではなく、その後みたいな感じになっていた。

ナデガタインスタントパーティーさんのパーキングプロムナードは活動の様子が展示されていた。
昨年、芸術プログラムの密着撮影でお邪魔した小学生たちが取り組んだCMが流れていて嬉しかった。

AAIC受賞作品「蘇生するユニコーン」は、横に新たな生き物がいた。
蘇生するユニコーンは皮や骨、内臓まで精巧に作られ、生命維持装置で蘇生を目指す作品。横の生き物は、昨年のAIMが盲学校で行われた時に作られた作品。

私は以前、盲学校を取材させていただいた。盲学校の生徒さんは全盲の方は少なく、弱視の方が多い。
美術作品を鑑賞するときは望遠鏡のような道具を使って鑑賞していた。
しかし、形や色が判断しづらいのは事実。
触って鑑賞することもあった。
この物体はこの色この形、などという固定観念が少ないからか、斬新で芸術的な生き物が作られていた。

フレスコ画は同じくAIMで遠方にある生涯学習センターで作られたもの。蘇生するユニコーンの平野さん同様、松本さんもAAIC受賞作家。華奢な体にツナギを着て、漆喰を扱う時はガテン系なんです、とアートツアーの時に話されていたのを思い出した。
壁面だけでなく布の展示もあり、とても美しかった。

所蔵品は展示の切り替わりのタイミングで展示はなく、奥のスペースには微文帖(こちらもAIM)の展示で可愛い作品が沢山あった。

ナンヤローネショップにはあの人が。

なんとなく不完全燃焼な気分でいた所、今日は日比野克彦館長のトークセッションがあるというアナウンスを聞き、展示に関するお話が聞けるかもと思い、次の予定もあったが聞いていく事に。

日比野館長は、次のように語った。

図工や美術は受験に関係ないという理由でどんどん授業が減っている。美術の必要性を行政に訴えていかなければならない。

ディスカッションには幼稚園、小学校、中学校、高校、大学の各教授と大学生。

どの先生も

「表現することは生きること」

を、子供たちに伝えるのが必死だった。

岐阜大学の教授の言葉は本当に響いた。

・ボキャブラリーが豊かになるほど表現が低下するから言語習得を急ぐ必要はない
・イメージする力、表現する力をつけるために一番重要なのは見ること、聞くこと

一番多感な時期に、美術以外の詰め込み授業は本当にもったいないと思った。今の美術教育に警鐘を鳴らす意味が展示に込められている。

ただ、単純に絵を鑑賞したいお客様には厳しい意見が出たかもしれない。今日来ていたお客様が「方針が変わったからか、いろんなものがなくなってしまった」と残念そうに話されていた方もみえた。

敷居を低くし、美術教育の必要性を訴えるのは他の美術館にはない魅力だと思う。
まずは知ってもらう事からはじめるのは大事だと思った。

自分のやりたいことのヒントになることが沢山あった。今日吸収したことは今後に生かしていこう。

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