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5月が終わっての対談②(美味しいものを食べさせてあげたいんです)

前編/5月が終わっての対談①(素材と五味五法について)では、長谷川さんが随分と話し込んだので、武田さんにも話を振ってみることに。とにかくシンプルな人だなと改めて思う。

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恒光:
武田さんが聞き手に回りすぎなので、ここで一つ武田さんに質問。
「素材を活かす」って、武田さんにとって何ですか?
もしくは、美味しく料理をすることってなんだろう。
今、思っているもので大丈夫だよ。

武田:
島食の寺子屋に入ったのは、とにかく「料理の基礎」を学びたくって。
包丁の持ち方・使い方もわからないし。料理の味付けがこうだって全てが決まっているわけじゃないけど、大体のものって決まっているじゃないですか。

これにはなにを使うとか、考え方とか?
どういう風に考えて一品作るのかとか、どうやって考えて献立を組立ていくのかとか。

今までだと、自分でご飯を作るとなると、なにかを見ないと作れない自分がいて。そんなんじゃダメだし。

恒光:
世の中の大半がそうだと思う。

長谷川:
それを感覚レベルで身に付けたいってこと?

武田:
やっていけばやっていくほど、身に付いていくんじゃないかとは思っている。だから、調理をする経験を積んでいくこともやっていきたいことだし、「刻む」とか「桂剥き」とか、料理をするうえで本当に一番最初に必要なことを身に着けたいと思ったし。

んー、全部学びたい。

恒光:
ひとつ質問。

クックパッドとか見なくても料理ができるようになりたいって思う人って、実は珍しいのかなって、いま思い始めて。クックパッドでも、それを見て料理を作って、食べてくれるみんなが喜んでくれたら、それはそれでハッピーって考え方が一般的なのかもって。

そこを武田は、自分の感覚なり考えで作れるようになりたいって思えるのは、珍しいことなのかもね。そう思うようになったきっかけってなんだろう。クックパッド見ながら作れたら、それで済むわけでもあるし。

武田:
自分が料理を作りたい場所が家だけじゃないからかな。色んな人に食べて欲しいって思っていて。それを自分だけでやっていくのか、どこかの飲食店で働きながらやっていくのか。

家族に食べてもらうだけだったら、クックパッドのままでも良かっただろうし。でも、色んな人に食べて欲しいって気持ちがあるから、自分で料理を作れるという感覚をもって、家族という枠を越えていきたいってなったんだと思う。

すぐに働きに出るんじゃなくて、ある程度そういうものを身に着けてから挑戦したいって思ったから。ですね。

恒光:
料理で人を喜ばせたい気持ちってどういうもの?

武田:
料理を食べることもそうだし、場の雰囲気とか空間とかも大事にしたいと思うから。その人が食べ物を求めてくるのもそうだけど、「ここに来たら落ち着くな」とか安心感とか、そういうものであってほしい。そういうものを料理と一緒に届けたい。

家みたいなものに近いかもしれないけど、でもただの家庭料理だったら家で食べられるよね?って思いがあるから。島食の寺子屋とか、卒業後に働いた場所で得た知識とかで、良いものが作れるんじゃないかなって。

恒光:
家という単位が、一番小さな核としてあるとしたら、そのひとつ外側に武田の目指している料理像があるのかなと感じているんだけど。格式ばっていないけれども、家では食べられないものが出てくるみたいな。その家と、一個外側の世界にはなんの違いがあるんだろう。さっきの人を喜ばせたいって気持ちなのかな?

武田:
うーん、それもあります。

あとは、料理を出している自分もほっとするというか。食べること好きだし、自分が。食べたらなんでも忘れちゃったりすることあるじゃないですか。

うーん、なんだろう。
美味しいものを食べさせてあげたいんです(笑)

恒光:
これ、このインタビューのタイトルにしたいね。
「美味しいものを食べさせてあげたいんです」って(笑)

武田:
みんな育児が大変だったり、仕事が大変だったりでストレスばっかりとか、生きていたら色々とあるじゃないですか。でも、それをここに来たら忘れられるわ~、みたいな場所があったらいいな~って。

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最終編/5月が終わっての対談③(ふたりのパーソナリティの話)へ続く