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雨の日のテレビ

離島で和食を学ぶ「島食の寺子屋」

今朝は半月ぶりくらいに、まとまった雨が降った。
布団から出て、窓を開けると湿った冷たい空気が、部屋に流れ込んでくる。この空気を吸い込むと、今日は雨の日なんだなと嬉しくなる。
晴れ続きで忙しなく嬉々とした日々を、一旦静めて落ち着かせてくれるような1日の始まり。

雨の降らないここ半月ほどで、すっかり日課になっていた畑への水やりも、今朝はお休み。急に朝の日課がなくなって、何から始めたらいいものやらとぼんやりとしていた。
この時期は、至る所で鳴り響く草刈り機の音で目覚めるものだけど、今朝は雨音と鳥の鳴き声だけが取り残されたように、澄んで聞こえてくる。軒先では雀が雨宿りしていた。

今朝はまた別のことがあった。NHKのあさイチという朝の番組で、島食の寺子屋のことが紹介された。家にテレビを置かない人間なので、担当者でいながらも観た人からのメッセージ対応に少し戸惑ってしまう。家にテレビがある人とない人とで、この世の中が真っ二つに分かれている気分。

卒業生たちからは、「テレビを観てすごく懐かしい気持ちになった」というコメントをもらった。中には、「先生のブロッコリーの茹で方が、習っていたものから変わっている」なんていう、とても細かいコメントまであって、見抜くところがさすが卒業生は細かいと思わされたり。
(※テレビで紹介された茹で方は、家庭での茹で方)

あさイチの撮影の様子

そして、一般視聴者の方から「入塾したい」との問合せを受けることもあった。そのうちの一人の方と、電話で直接お話することになって、テレビのある人とようやく繋がれた。

既に80歳を超えている方で、電話を始めて最初の方は、島食の寺子屋での1年は体力的に厳しいだろうなと心の内で思いながら話していた。
でも、話をしていくうちに、長年にわたって穴子を専門にしたお店をされてきたご主人であることや、1日で1,000人以上に向けて料理を出すことがあったことや、つまりは早朝から夜遅くまで動き続けるなんて当たり前の世界で生きてこられたことなどがわかってきた。

その他にも、奥さんと代わるがわる電話口で話ながら、瀬戸内海の穴子と他県の穴子の違いや、学べることがあると思ったらお店を閉じて体一つで京都まで飛んでいって勉強したお話などを伺った。瀬戸内海の風景や、料理をされている姿が浮かんでくるような電話だった。

なによりも、長年料理を仕事とされていながらも、今もなお学ぼうとする姿勢である。
最近では、料理業界だけでなく、仕事や学業そのものがブラックだとか大変だとかいう印象がある時代。
だけど、そのご主人の「学びたいから学ぶんだ」という、「好きだから」とか「やりがい」なんて次元を遥かに吹っ飛ばすようなストレートな気持ちに、心を温められた。

入塾していただくというよりかは、むしろ穴子のことについて島食の寺子屋が勉強させて頂きたいと思ったし、島食の寺子屋が伝えられることは伝えたいとも思った。

そんな風に色んな人が学び、行き交う場所のひとつに、島食の寺子屋があってもいいと思えた。

(文:島食の寺子屋・受入コーディネーター 恒光)

離島で和食を学ぶ「島食の寺子屋」
島根県の北、隠岐諸島のひとつ中ノ島(海士町)にある料理学校「島食の寺子屋」。 海へ山へ里へと、食材の現場に足を運び和食を学んでいく。四季を通じて学ぶ1年間コースに通う生徒たちの日記です。 【島食の寺子屋HP】https://washoku-terakoya.com/