2020年1月 リスニングメモ

より2020年の個人的な音楽との出会いの変化を明確にするために、毎月この作品はよく聴いたな、良かったなと思うものをメモとして残していきます。どこまで続くかは分かりませんが、あくまで個人的なメモの延長なので気軽によろしくです。

小袋成彬 「Piercing」


アルバムがリリースになって真っ暗な部屋で真っ先に聴いた。32分間の中で何度も心が掻きむしられるような思いになった。前作の「分離派の夏」もそうなのだが、小袋成彬の作品に触れるといつも胸が騒ぐ。

前作は1曲1曲が日記のように感じられたが、今回は32分間通して1つの大きな物語が形成されていて、何度聴いても途中で止める事を躊躇ってしまう。それほど32分間の中で楽曲同士が分け難く結びついている。

また、前作に比べて、今回はプロデューサーとしての目線が強くなっているのが今作の大きな特徴だと言える。それは他人の「声」がこれでもかと取り入れている点から言えるだろう。中には他人に歌を全て譲ってサウンドに徹する曲もあるくらいだ。前作同様の自分自身の事を振り返る主観的な目線に加えて、今作のプロデューサーとして他人の「声」を操る目線が小袋成彬というミュージシャンに加わった。

この2つの目線が今後の彼の中でどう交わっていくのかが楽しみだ。



Kaede 「今の私は変わり続けてあの頃の私でいられてる。」


タワレコの店頭で見かけて、思い出したようにSpotifyで再生。1曲目の「2020」の歌声で一気に引き込まれた。決して、声量や力強い歌声ではないが、その分、どんなサウンドでもすっと馴染んでいく優しさと柔らかさのある声が魅力的だ。例えるなら、それは透き通った水のようで、どんな料理あるいは飲み物であってもその素材の味を生かすことが出来る。

そんな優しい歌声には耳が癒されていく。個人的に好きなノスタルジックを感じさせてくれる「Remember You」が一番の推し曲だ。


Negicco 「Negicco 2011-2017-BEST-2」


NegiccoからKaedeではなく、KaedeからNegiccoへという変わった入り方をしてしまった。惹かれる理由は、楽曲のクオリティの高さにある。気になって調べてみたが、凄い製作陣でびっくり。そりゃ、良い曲ばっかりだよな。

新潟のご当地ソングやネギを強調した楽曲が多いが、どれもネタとしてではなく、楽曲としての完成度が非常に高い。そういったノベルティーソングはネタとして伝わる印象が強いが、彼女たちの楽曲は、ネタを通り越して、1つの作品としてしっかりと聴き込めてしまうから不思議だ。

またそんな楽曲の中でメンバーの3人で声の絶妙な役割分担がされているのもポイントになってくるのではないか。かえぽ以外のメンバーに詳しくないが、かえぽであれば、ちょっと低めで温かみのある声が楽曲の中で安定感を感じさせてくれる。それぞれの役割分担についてはまだこれから考えていくべきだが、楽曲の完成度の高さとそれを絶妙な役割で歌いこなすから、Negiccoの楽曲に僕は惹かれる。


佐野元春「Café Bohemia」、「Sweet 16」


昨年から聴き始めていた佐野元春だが、僕が彼の音楽と言葉に惹かれる決定打となったのがこの2枚だ。

特に「Café Bohemia」の「Young Bloods」、「Wild Hearts」、「Sweet 16」の「レインボー・イン・マイ・ソウル」、「誰かが君のドアを叩いている」は今の僕が生きていくためには欠かせないほど重要な楽曲だ。どの曲も明るいメロディーラインで構成されおり、イントロで気持ちがワッと跳ね上がってくる。そんな曲に合わせて言葉たちも僕を後押ししてくれる。

誰れもが見知らぬ夜明けを抱えている
(「Wild Hearts」作詞 佐野元春)
いつの頃か忘れかけていた荒ぶる胸の想い
鋼鉄のようなWisdom 輝き続ける Freedom 願いを込めて
(「Young Bloods」作詞 佐野元春)

失くしてしまうことは 悲しいことじゃない
(「レインボー・イン・マイ・ソウル」 作詞 佐野元春)
街角から街角に神がいる
清らかな瞳が燃えている
光のなかに
闇のなかに
誰かが君のドアを叩いている
(「誰かが君のドアを叩いている」 作詞 佐野元春)

これらの言葉たちがすっと染み込んでくる。「悲しみ」や「痛み」を知っているからこそ、その気持ちを汲んだ上で浄化して、前へ進めるように力づけてくれ魅力が佐野元春の言葉には宿っているように思う。彼の音楽と言葉はますます僕の生活の中で必需品になっていく。

Post Malone 「Hollywood’s Bleeding」

色々と洋楽を聴き漁ってみて、ようやくしっくりと来た1枚。まだ語るには情報量が足りていないと痛感しながらこれを書いているので、とりあえず感覚的なところから始めたい。

やっぱり惹かれるポイントは声にある。エフェクトがかかった声と何の加工もしていない素の声。その声の繰り返しが好き。前者の声は心地良さを感じさせるし、後者はそんな前者の中に突然現れるので思わずハッとされる。このエフェクトの絶妙なバランスが良いのだ。


eill 「SPOTLIGHT」


2年前に個人的なKポップブームが起きていたけれど、eillがその到達点だった。Kポップから影響を受けたであろう打ち込み中心の大きな変化を持つメロディーラインと良い意味でくすんだeillの歌声が魅力。それでいて、激しくかき鳴らされるギターサウンド、すっと優しく入ってくるバンドサウンドとしての一面も持っている。このごちゃっとした雑味のある感じが良い。

新しい時代のポップアイコンとしてeillが台頭していく1年であって欲しい。


SiXTONES 「Imitation Rain」

僕にとってジャニーズの入り口はSiXTONESだ。デビューシングルである「Imitation Rain」はCDを再生した瞬間に、「あ、これはカッコ良い」と確信した。YOSHIKIプロデュースという事もあってピアノとドラムを中心としたサウンドで構築されている。力強さを感じさせるドラムは彼らのパフォーマンスを支える土台になるだろうし、優しく奏でられるピアノは6人が放つ歌声のハーモニーと綺麗に混ざっていく。そして力強さと優しさが3分間の中で交互に繰り返されるこの楽曲の展開に強く惹きつけられる。

これから6人がどんな音を聴かせてくれるのか、どんな色を見せてくれるのか楽しみ。


SaToA 「スリーショット」


きっかけはYouTubeで聴いた「Light」。MVから醸し出されるどこか懐かし雰囲気と温かみのあるコーラスと演奏に一気に引き込まれた。ギターとベースから繰り出されるツインボーカルが魅力で、個人的にはベースの歌声が好きだ。楽曲を支える安定感と温かみがあるその声に懐かしさを感じないではいられない。


illiomote 「In your 徒然」


SoundCloudを掘っていたら出会った二人組。個人的には、ポストchelmicoになり得る存在じゃないかなと思う自由なSNSの使い方や飾らない雰囲気から、メジャーデビュー前のchelmicoを思い出させる。

そんな彼女たちの楽曲で強く惹きつけられたのが、この「In Your 徒然」。たった2分ちょっとの楽曲で、気が付いたら、繰り返し聴いていた。ヒップホップのトラックに近いんだけど、ヒップホップではない。ヒップホップのトラックでラップを捨てて、自由に歌う感じというのか。何にせよ、ヒップホップっぽいトラックだけど、ヒップホップじゃないという個人的な新しさが気になる二人組。今年は要注目。




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