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目がさめない。

長い軟禁生活の間、僕はずっと考え事をしていたように、頭がぼうっとしている。人に会うのが億劫で、外食するのも面倒、電車にのるのはもっと煩わしい。

すっかり孤独と自由に心が慣れてしまい、他人の存在を慮ることを忘れてしまった。人は一人では生きていけない、だの、仲間、絆、周囲に感謝を忘れずに、だのといった言葉が、ひょっとして社会にとってのただの都合のよい嘘だったのでは、と思うくらいだ。

少し前まで会いたいと思っていた人々も、別にどうってことない、無理して会わなくても問題もないと思え、これは社会人として、いや人間として退化したのか、進化したのか分からない境地である。

この状態は、目が覚めていないのか、いやそれとも、目が覚めてしまったのか。





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