見出し画像

楽天出店者が送料無料で成り立つか否か?カンタンに検証する方法

楽天が3,980円で一律送料無料化にするという発表を行ってからというもの、我々の様なEC事業者は「怒り爆発」とか「法的問題」など穏やかではありません。

誤解を恐れずに言うと私個人の意見としては「お客様目線で買い物しやすくなっていいなぁ」と素直に思う。出来る限り売る立場よりも、購入するユーザーの立場で冷静に自分の商いと向き合いたい。

Tshirt.stでは早々に将来を見据えて3,980円以上で送料無料に踏み切った

Tshirt.st 楽天支店
https://www.rakuten.co.jp/tshirt-st/

儲かっているからとか。お客様のためにとか。ではありません。また感情的なところはこの際おいといて何故先行して送料無料に踏み切ったのか?検証する方法をご紹介しようと思う。

商材によって事情が異なるという商売の基本を抑えつつ、皆さんと同じく配送料金の単価は上がり続けているにも関わらず送料無料に踏み切っています。

何故か?

その方がお客様にも我々にもメリットがあると計算で導き出したからに他ならない。

P/L(損益計算書)から要素法で検証してみよう

公開の場でTshirt.stの利益率を公開する訳には行かないので、良くあるアパレルの利益率をベースにして例を上げてみます。

スクリーンショット 2020-01-18 14.06.25

月商1000万で利益50万だとします。
この店舗が現在「1万円以上お買い上げで送料無料」だった場合

3,980円以上送料無料にしたら利益はいくら減るでしょうか?

答えは...


「解らない」です(笑)
まだ現時点での数字では解らないが正解。
もう少し掘り下げてデータを集めてみましょう。

変動費を考慮したM2(粗利)と売上対物流費を算出してみよう

少し難しくなりますし、実際にECの店舗運営をして手元に数字が無いとイメージ出来ないかもしれませんが、印象論だけでモヤモヤしている人は月次試算表を出して来て数字をご自身の会社で当てて見てください。

スクリーンショット 2020-01-18 14.07.38

変動費の計算について

スタンダードプラン 50,000円
システム利用料 2.0〜4.5%
その他オプション 30,000〜80,000円程度

楽天ペイの手数料を契約している数字では無くて「可能な限り受注実績から計算してみて算出してください」きっと認識している数字と異なっていたりします。

上記を合計すると13〜16%という結果になる会社が多いです。今回は15%で計算してみましょう。

売上対物流費について

・商品を保管する倉庫費用
・商品を発送する運賃
・商品を梱包及び出荷する人件費(外注費)
商材やエリア、大きさや冷凍冷蔵であったりすると前後しますが12〜18%ぐらいになる会社が多いです。アパレルだと15%は切りたい所ですね。

などなど、商品を届けるために必要な全ての費用を合計してみてください。倉庫が事務所と一緒なら面積で分ける、人件費も物流だけで無い場合も時間でザックリ分けてみてください。

大切なのは売上の何%を物流費用として使っているのか?という数値を客観的に計測し月次レベルで管理して行く事です。

m1率45% − 変動費率15% − 物流費13% = m2率17%

送料無料を3980円に設定した場合。売上対物流費はどれだけ上昇するのか?

現時点で10,000円以上送料無料だったのが、3980円に引き下げられた場合に売上対物流費は一体どれだけ上昇するのであろうか?

しかしここで重要なのは同時に送料が払いたく無いという理由で注文に至らなかった、これまでの離脱のお客様が送料設定が引き下がった事で注文するため、売上対物流費が上昇するというデメリットが発生する事と、お客様の満足度が向上してCVR(転換率)が上昇することが考えられるという事だ。

ちなみにTshirt.stでは送料無料設定が8,000円だった所から、3,980円に実際に引き下げる設定をやってみた結果。現時点ではなんと売上対物流費は1%程度減少している。

売上対物流費の正体

実際に計算して実績と見比べてみると解るが、実は送料無料の設定を上げたり下げたりする事で直接物流費が変動するか?というと必ずしも連動しない。

物流費というのは運賃はもちろん作業をするコストや保管費用などが複雑に影響するのだが、実は客単価が与える影響が大変大きい

送料無料の設定を変更する事で、まとめて買わないと送料が発生すると感じるユーザーはむしろ購買意欲を高められ、逆に早めに送料無料のハードルがやってくる事でそもそも購買意欲が高まるなど。

これは本当に商材とショップの状況によって千差万別。
つまり本当の答えは「やってみないと解らない」が正解なのである。

やってみる、という検証でのみ答えが判断出来る

大型の商材や、冷凍冷蔵が必要な商材。またそもそも送料が高額になってしまうエリアからの発送を余儀なくされる商材の場合。

この売上対物流費が明らかに上昇するのが確実で、事業そのものが成り立つ訳が無いという事情はもちろん有るのは明らかで、そういう商材を扱う事業者は本当に厳しい現実が有る事とは思います。

そこを十分に理解した上でも今一度下記の検証方法を使って、問題を数字で把握してみて欲しい。

売上対物流費の上昇、その代わりに受注数は何%伸びれば良いのか?何%の値上げで対処出来るのか?

例えば送料無料を引き下げた事で売上対物流費が悪化してしまったとしよう(金額にして30万円の増加なので、1出荷あたり300円の増額)

スクリーンショット 2020-01-18 14.08.52

その結果は利益を直撃するのは当たり前で事業者が怒るのは理解出来るのだが、逆に何%の注文が増加したらトントンになるのだろうか?逆算してみよう。

300,000円 ÷ 粗利4,500円 = 66.6件


スクリーンショット 2020-01-18 14.09.42

66.6件となるので送料無料を引き下げる事で、67件の注文件数増加が実現すれば利益は変わらない事になる。

1000件の注文が1067件なので6.7%の注文件数が増加すれば良い事になる。10,000円で送料無料だったお店が3,980円の送料無料になった場合なので、このケースでは十分実現可能かと推測できる。

売上対物流費の上昇、何%の価格転嫁を行えば良いのか?

利益感度分析という素晴らしい手法があるのだが(本日は割愛します)確かに販売価格に転嫁するしかない?お客様に負担を強いているのでは無いか?という意見も多いが。それは一体何%なのか?計算してみたいと思う

必要売上1030万円 ÷ 現在売上1000万円 = 103%
平均客単価10,000円 × 103% = 10,300円

スクリーンショット 2020-01-18 14.11.35

結果は3%の価格転嫁をすることでお客様には「3,980円で送料無料化を提供できる」ことが分かった。ちなみに上記でもお伝えしたように現時点でTshirt.stでは売上対物流費は上昇するどころか減少していないので、受注数だけ純増している。

繰り返しになるが商材や事業モデルによって上記は数字が異なるのは事実だが、お客様が本当に感じている価値とは何なのか?
そういうユーザーファーストの目線で物事を捉えて行きたいと思いました。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
ごとうてっぺい

社内で書き留めておきたいと思っていた。17年のECノウハウを公開していきたいと思っています。

え?うそーん。ホントに嬉しいです!
54
Tshirt.stとTokyoTshirt.stとSQUAIRをプロデュースしています。優れた技術を持つ日本や中国やフランスのモノづくりをブランドに融合させて「デザイン」をしています。