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《2024年度認定企業決定!》技術系スタートアップ支援のプロが選ぶ、これから伸びる技術系スタートアップ8社

ディープテックは、「国や世界全体の経済社会課題の解決に繋がるような社会に大きなインパクトを与える技術」と定義されており、近年世界的に注目され、成長が著しい分野です。現在日本では、ディープテック・スタートアップの事業成長及び、革新的な技術の確立・事業化・社会実装を目指し、大学・研究機関、投資家、事業会社、専門家、支援団体など各方面が協力し、推進活動が進められています。2023年度より経済産業省主導の下、「ディープテック・スタートアップ支援事業」を通じ総額予算1000億円規模の支援が開始されるなど、国もその成長を後押ししています。

TEPは、2009年より約15年にわたりディープテック分野に特化したスタートアップ支援活動を継続的に行ってきました。2016年からは、技術系スタートアップの認定事業「J-TECH STARTUP」を毎年実施、「事業の革新性」「経済的な発展」「社会的影響力」「事業の実行力」の面から評価を行い、今後グローバルな成長が期待されるシード・アーリー期の技術系スタートアップを選出・認定しています。

本年度も「J-TECH STARTUP 2024」にて成長が期待されるシード・アーリー期の技術系スタートアップ8社を選出いたしました。本記事では2025年2月19日に、Tokyo Innovation Base(有楽町)にて開催されるJ-TECH STARTUP SUMMITに登壇予定の認定企業へのインタビューをご紹介していきたいと思います。

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【シード枠】ベンチャーキャピタル等からの出資前の企業

Floatmeal株式会社 <大学・研究機関発スタートアップ賞受賞>

Floatmeal株式会社 代表取締役 北村もあな様
「持続可能な生産で、食料安全保障と気候変動に挑む」というビジョンを掲げ、高たんぱく質で栄養価の高い「ウォルフィア」(ウキクサの一種)の持続可能な安定生産技術の開発と生産を行う国内で唯一の企業です。微生物を用いた独自の技術により、安定した大量生産技術の確立を目指しています。ウォルフィアは、食品や機能性食品の原材料としての活用だけでなく、化粧品、環境浄化、エネルギー源など様々な場面で活用が可能になります。■ 事業の強みについて教えてください食品安全性を重視した、高タンパクで高栄養価なウキクサの持続可能な量産技術と、国際性に富んだ創業メンバー。

■ 事業の強みについて教えてください
食品安全性を重視した、高タンパクで高栄養価なウキクサの持続可能な量産技術と、国際性に富んだ創業メンバー。

■ 創業したきっかけを教えてください
ウキクサは、タイ北部で何世紀にもわたって食用として利用されてきた歴史を持ち、欧米でも新しい食料資源として注目されている。我々の10年以上の研究成果を社会実装するためのタイミングとして、技術的な準備が整い、さらに市場からの需要が高まっている今こそが最適であると判断した。

■ 御社のビジネスによって、社会はどう変わっていくのでしょうか
ウキクサ量産技術を活用し、食システムの低炭素化を実現する。具体的には、ウキクサを利用した炭素固定の実現、さまざまな産業の廃水活用、実質ゼロ炭素の植物性タンパク質の供給、そして国内外での雇用創出に貢献する。

Floatmeal株式会社

UniMedical株式会社

UniMedical株式会社 代表取締役・共同創業者 稲垣大様
私たちは、量子技術を用いた新しい心疾患診断医療機器を開発している東北大学発のスタートアップです。 心疾患は罹患率も重症化率も高く早期発見が極めて重要な疾患ですが、従来の検査では見逃されるケースが多いのが現状です。私たちは革新的なスクリーニング検査を提供することで、これまで困難であった疾患の早期発見に貢献するとともに、早期治療介入の機会を新規に創出し、多くの心疾患患者を救うことを目指しています。

■ 事業の強みについて教えてください
組織の中核を担うのはヘルステックベンチャーでの勤務経験を有する医師2名である。特有のノウハウが必要とされる医療機器開発を正しい方向にリードするだけでなく、現場感覚をもつ医師が取り組むことで、妥協なく現場の感覚やニーズをそのまま医療機器に還元することが可能である。

■ 創業したきっかけを教えてください
代表の稲垣は循環器専門医であり、これまで数多くの心疾患患者を診療してきた。救えなかった患者を幾度も目の当たりにする中で、社会課題としてだけではなく、自らの経験を通じて「世界中で心疾患によって苦しむ人々を減らしたい」との思いから事業化を決意した。 

■ 御社のビジネスによって、社会はどう変わっていくのでしょうか
最適なスクリーニング検査を提供することで虚血性心疾患の診断の早期化に貢献し、これまで治療機会を逸していた患者の早期治療介入の機会を新規に創出して患者予後を改善する。 さらに、いつでもどこでもだれにでも使用可能なこの検査は、医療格差の是正にも寄与する。

UniMedical株式会社

【アーリー枠】VC等から出資を受け、資本金3億円以下・従業員50名以下の企業

株式会社EXORPHIA

株式会社EXORPHIA 代表取締役CEO 口石幸治様
株式会社EXORPHIAは、幹細胞由来の細胞外小胞(EV)を活用した先端医療技術を提供するバイオテクノロジー企業です。EVの治療成分デリバリー能力に着目し、各種炎症性疾患治療薬、不妊治療の成功率を向上させる培地、そして次世代型ワクチンの研究開発を進めています。これらの製品は、高品質なEV製造技術と精密な品質管理に基づき、革新的な治療法の提供を目指しています。大学及び企業との連携を通じ、安全性と有効性を科学的に裏付けた製品の実用化を追求しています。

■ 事業の強みについて教えてください
製薬会社出身の研究チームが牽引する創薬研究力に基づき、EVに治療成分を搭載するエンジニアリング技術や大量製造技術、分析技術により、幅広い疾患領域で医薬・ヘルスケアソリューションを創出します。

■ 創業したきっかけを教えてください
幹細胞由来の治療成分を効率的に届けるEVの可能性を追求し、未解決医療課題に挑戦するため創業しました。

■ 御社のビジネスによって、社会はどう変わっていくのでしょうか
EV技術を活用した安全で治療効果の高い次世代バイオ医薬品の普及により、若年層から高齢者まで幅広い世代が健康で充実した生活を送れる社会を実現します。

株式会社EXORPHIA

株式会社クォンタムフラワーズ&フーズ

株式会社クォンタムフラワーズ&フーズ 代表取締役CEO&CTO 菊池伯夫様
中性子線を生物資源(農産物の種苗や微生物)に照射し、突然変異を誘発し、その中から有用な形質を持った変異体を選抜して利用する放射線育種事業を行っています。生物資源の変異導入に優れた特性を持つ中性子線を有効に利用することができる技術を開発し、特許技術と多くのデータ蓄積により、ランダムながら高確率で有用な変異体生成を可能にし、これまでなかったアプローチでの生物資源開発方法を提供しています。

■ 事業の強みについて教えてください
自社特許である中性子線利用技術を活用した迅速かつ広範な品種改良が行えることを強みとし、農作物や微生物などの多様な生物資源に遺伝的変異を誘導して気候変動対応や収量向上に貢献する点が特徴です。

■ 創業したきっかけを教えてください
創業の地である茨城県は日本有数の農業県であり、かつ世界有数の性能を持つ陽子線加速器・J-PARCが立地しています。この資源を活用した新技術を社会実装する機運が高まり、地元有志により創業されました。

■ 御社のビジネスによって、社会はどう変わっていくのでしょうか
気候変動に対応した農産物がスピーディーに開発でき、食糧危機への対応が進みます。また、微生物資源の改良改善に貢献することで、グリーントランスフォーメーションを促進し、持続可能な社会を実現します。

株式会社クォンタムフラワーズ&フーズ

Global Vascular株式会社

Global Vascular株式会社 代表取締役CEO 尾藤健太様
当社は、動脈硬化症により脚の血流が不足し苦しむ世界中の患者さんに向け、次世代ステントの開発を進めています。脚のステントは、屈曲・変形に耐えながら血管になじんで長期的に血流を確保する必要があり、未だ満足する製品が少ないのが現状です。太ももの既存ステントは心臓冠動脈ステントに比べ十分な成果を上げられておらず、膝下にはステントすら存在していません。当社は、アカデミア発の医工連携で培った生体に異物と認識されづらいナノコーティング技術を軸に、長期血流維持を可能にする次世代ステントを実現します。

■ 事業の強みについて教えてください
当社は、独自のコーティング技術だけでなく、それを実用化する多様なエキスパートを包括したチーム体制に大きな強みがあります。ステントのような高度管理医療機器を実用化するためには、技術に加え臨床、製造、薬事やマーケティングなど幅広い専門性が必要です。当社では多様なメンバーが高いレベルで連携しワンチームを構築しています。

■ 創業したきっかけを教えてください
医工連携チームHasebe Research Groupでの基礎技術開発とPoC証明をきっかけに、開発技術の社会実装のため創業しました。当社が取り組む医学・工学のサイエンスの融合領域では、研究者自身が先陣を切らなければ技術の必要性を真に社会に伝えることは難しく、最もスムーズに研究成果を社会に還元するため創業を決意しました。

■ 御社のビジネスによって、社会はどう変わっていくのでしょうか
当社ステントの成功は、体内埋込デバイスに生体内で異物と認識されないステルス性を付与するコーティング技術の普及に寄与できると考えています。こうした技術が標準化されれば、全身の体内埋込デバイスの長期的な安全性を実現し、デバイス本来の特性を最大限に活かす効果的な治療機器の誕生が期待できます。

Global Vascular株式会社

株式会社TCNプライム

株式会社TCNプライム 代表取締役 三池信也様
当社は一人でも多くの患者の命を救う努力をしていくことを目的とした神戸大学発の医療機器開発スタートアップ企業です。患者の身体への負担が小さく、医療従事者に信頼してもらえる「簡単な操作で・安全性が高く・有効な」新しい医療機器開発を目指しており、現在は大動脈弁狭窄症の治療に使用するBAVバルーンカテーテルシステムとECMOカテーテルを開発しています。

■ 事業の強みについて教えてください
当社は臨床医、研究者、事業家が取締役になっていて、力を合わせてそれぞれの知識と経験値を医療機器の開発に注力しています。特に役員である臨床医が現場のニーズをダイレクトに開発現場に持ってこれることが強みとなります。

■ 創業したきっかけを教えてください
AMEDの予算を使用させてもらいつつ研究開発してきた医療機器を、実際に社会実装するためには事業家と手を組む必要がありしまた。その際、神戸大学の小西先生が、国内で医療機器開発のECOシステムを構築しているニューロシューティカルズに事業家の相談をしたことがきっかけです。

■ 御社のビジネスによって、社会はどう変わっていくのでしょうか
当社が開発した医療機器が社会実装されることで多くの患者さんの命を助けることができると確信しています。さらに技術の進化とデザインの洗練によってその幅を広げていくことができます。

株式会社TCNプライム

LiSTie株式会社

LiSTie株式会社 代表取締役 星野毅様
当社はリチウムしか通さない特殊なセラミックス膜を使用した分離法(LiSMIC)で、世界に散らばるリチウムを集める QST発スタートアップ です。特徴は、たった1回の操作で超高純度リチウムを安価に回収できる点です。EV等のリチウムイオン電池(LIB)に必須なリチウムは、従来技術では2040年に枯渇します。2026年には国内実証、2029年には塩湖やLIBリサイクルに世界初のLiSMIC量産装置を実装し、リチウム資源循環でエネルギー問題の解決を目指します。

■ 事業の強みについて教えてください
リチウムしか通さない特殊なセラミックス膜を使用した分離法(LiSMIC)で、世界に散らばるリチウムを集めます。工場排水や廃リチウムイオン電池、塩湖かん水等から1回の操作で超高純度のリチウムを低コスト&低環境負荷で回収します。

■ 創業したきっかけを教えてください
近年、再生可能エネルギーや電気自動車向けのリチウムイオン電池用のリチウム需要が急増しており、QST在籍中に核融合燃料の確保を目的に開発したリチウム回収技術に想定以上の事業性を見出したことがきっかけです。

■ 御社のビジネスによって、社会はどう変わっていくのでしょうか
リチウムは電気自動車や再生可能エネルギーの普及に不可欠です。従来技術だけでは2040年にリチウムは枯渇するため、LiSMICでその課題解決に挑戦し、持続可能な脱炭素社会への移行を加速します。

LiSTie株式会社

株式会社マリス

株式会社マリス creative design 代表取締役 和田康宏様
我々は、技術で「障がい者と健常者の言葉の垣根さえもなくなる社会を目指す」ことを理念に創業した九州工業大学発のスタートアップ企業です。 そのため、視覚障がい者向けの歩行アシスト機器「Seeker」を開発し、障がい者が自立して生活できる社会の実現に貢献していきます。Seekerは、白杖で検知できない上半身の障害物/歩行者用信号/駅ホームを独自で開発したエッジコンピューティングAI技術を用いて、検知して障がい者に知らせます。

■ 事業の強みについて教えてください
視覚障がい者のための危険検知に関してはこれまでも複数の企業が取り組んでおり、アプリやカメラデバイスなどの普及はみられるものの、エッジコンピューティングを採用し高い精度を誇る製品はまだ殆どみられません。学習の将来性も含め、白杖で検知し得ない事象について、部分的ではなく総合的にカバーしているのは弊品のみです。

■ 創業したきっかけを教えてください
私の母は障害者です。私が3歳のときに脊髄損傷となり、母と寄り添って育ってきました。 母は、自分のことは自分でやろうとしていましたが、世の中には自立を支援する機器がほとんどない現状でした。 そのため、自立を助ける福祉機器を作りたいという思いが強くなりました。 
そのため大学で福祉機器を研究して学び、日立で物づくりと量産化を学び、ソニーで量産化に加えてマーケティングも学び、準備をして創業しました。 

■ 御社のビジネスによって、社会はどう変わっていくのでしょうか
我々のSeekerが普及することで、視覚障がい者の方が気兼ねなく出かけられるようになります。 そして、街に自由に障がい者の方が出歩き、健常者、障がい者の方が気兼ねなく街でふれあう機会が増え、障がい者と健常者の垣根が無くなっていきます。

株式会社マリス creative design

J-TECH STARTUP SUMMITのご案内

2025年2月19日(水)には、Tokyo Innovation Base(有楽町)にて開催される「第9回J-TECH STARTUP SUMMIT」では、今年度の認定企業8社がプレゼンとブース展示を行います。上記にご紹介した今最も注目すべきディープテック・スタートアップのプレゼンをまとめて視聴できる貴重な機会となります。起業を志す方や技術系スタートアップの方はもちろん、ディープテック領域の大学・研究機関の研究者の方、有望な技術系スタートアップの投資・提携を模索したい大手企業や投資家の方はぜひご参加ください。

今回の「第9回 J-TECH STARTUP SUMMIT」は、オンライン同時配信は行わず、後日アーカイブ映像の有料配信を予定しております。無料で参加できるのはリアル開催(事前のチケット申込が必要)のみとなりますので、ぜひこの機会にご参加ください。

「第9回 J-TECH STARTUP SUMMIT」参加チケットのお申込みはこちら
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TEPはディープテック・スタートアップのエコシステムビルダーです。技術をビジネスへブーストさせるため、さまざまな研究機関や企業、行政と連携しています。
お問い合わせはこちらから。 https://www.tepweb.jp/contact/


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