ステージの魔物

いつかふとヘビ苺の曲を口ずさんで「なんだっけ」ってなったりするのだろうか。

ご飯を食べること、起きること、SNSを開くこと、色んなことをヘビ苺の為だけにしてきたから、きっとなにかの電源のようにぷつりと「天つゆ」という存在に触れない時間が出来ると思う。
 
僕はずっとステージ上で起きることがたまらなく好きだったから、酸欠も声を枯らして叫ぶことも、満員のフロアに向かって一瞬をその目が合った君の為に歌う時間も、終わってから倒れ込んで過呼吸になってもちゃんと自分がぼろぼろになるほど向き合っている証のような気がして好きだったから。

また戻ってくるでしょ?と期待してくれていた敏感共に、強めに否定をした。
身体や喉の不調もある、でも自分の中で天つゆが占める時間と思考が大きくなりすぎて、少し怖くなってしまったのだ。私生活も、ほぼ天つゆとして生きている。一人暮らしが長いこと、友人が音楽や芸能関係の人が多いこと、自然と本名より「天ちゃん」「つゆ」と呼ばれる回数が増えて遂に先日役所で本名確認の時に受け答えに少し間が空いてしまった。
笑ってしまうくらいに僕は演じてきたはずの「天つゆ」になっていた。

意外に思われるかもしれないが、1週間後の予定が決まっていない。スムーズに天つゆを手放せるように色々動いてはみたものの、「両方」を「上手」にやることが出来なかった。無理をするなら、天つゆとして出来ることを全部やることに無理をしたい。そう気づく前にキャパオーバーで家の天井と会話をしていた。

昨日、運営さんとたまたまこれからのヘビ苺の話をした。わりとしっかり、未来の展望も聴いた。手伝えることはしますよと笑った僕に、冗談半分で運営さんは「SEが鳴ったら意外とそわそわしちゃったりするんじゃないの」と言った。

そんな日も来るのかもしれない。

ただ本当に、残念なことに、フロアでヘビ苺を見る日の僕は天つゆではないし、僕が演じるアイドルは不感症ヘビ苺の天つゆが最期だ。

ステージに取り憑かれていた僕が、これ以上を願わないように、全部置いていく為に決めた時間が4月7日です。

きっと、この先フロアで見ている僕が悔しくなるようなアイドルは、この先の不感症ヘビ苺だけ。

今日はここまで。