ダムとダニエル
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ダムとダニエル

落ち着かない今の情勢の中だからこそ、生きている間にもう一度だけ行っておきたい場所は?と考えてまず思いつくところがありますか?
私の場合は、ジンバブエの地方都市Rusape(ルサペ)のダム近辺の、バブーンというヒヒ科のサルが時折飛び交う岩山との間を通る赤土の道路沿いです。
前回少し触れた話で阪神淡路大震災の時期に住んでいた場所からほど近い所です。
ナショナルパークでも何でもない地区なのに、ルサペダムにはカバが2頭住んでいると聞き、なんと運よく数回見かけることができました。

カバは見かけによらず獰猛で、ダム周辺までわざわざ行って見に行くことはなかったのですが、赤土の道路をとるときに水面から顔を出している2頭を見られたときはとても神秘的に感じ、歓喜したのを覚えています。
世界遺産でもなんでもない、ただ目的地に向かう途中の通りなのですが、たとえカバを見られなくても岩山を片側に見ながら走るその道は何度通っても何故か心打たれる風景でした。

ルサペダムは整備された街中心部から3キロほど離れており、街の様相と打って変わって自然と隣り合わせのブロックやレンガ造りの家が密集する昔からのTownshipが広がっています。
現地の人専用の居住区として中心部にはビアホールもあり、毎日お酒好きの男性たちでにぎわっていました。
今でも存在するのかはわかりませんが、当時ボランティアで活動していた時は規定で運転は許可されておらず、現地のドライバーと一緒に半径20キロ内の婦人グループを巡回していました。
多分に漏れず運転手はビールが大好きで、迎えに来たときに明らかに呂律が回らない状態の時もあり蛇行運転したり。
「私はまだ死にたくない!」と怒ると、「俺もだ」と充血した目で返すので、あきれるばかり。
普段は気のいい人なのですが。
ビアホールは現地の人を政治への関心を持たせないためだとも聞きました。

そんなドライバーから聞いた、ルサペダムにまつわる逸話をひとつ。
なんでもダニエルという男性がいて、ある日 奥さんと喧嘩して家を飛び出してしまったそうです。
その後、ルサペダムに住むようになり、そのダニエルがあのカバになったと。
喧嘩して飛び出したはずなのに、なぜダムに2頭いるのかはわからずです。
その話はドライバーの友人関係内のネタだったのか?と思って最近ネット検索してみましたところ、「ルサペダムにはダニエルというカバがいて、奥さんといざこざがあって逃げ出してダムに住むようになった」と、同じような経緯のダニエル話を見つけました。
20年以上前の小話だと思っていたら、地区限定のエピソードとなって存在していて、うれしく思いました。
カバの寿命は40〜50年だそうで、今も生きていてくれるでしょうか。
確かめるためにも世界全体が落ち着いたら、訪れてみたいと思います。

アパレル指導員 S見

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渋谷区幡ヶ谷にある「ものづくり」をテーマにした就労継続支援B型事業所Tentone(テントーン)です。自分がやりたいと思う仕事を、自分で選ぼう。生み出そう。 公式web→http://tentone.tokyo/