[統語論・意味論]HPSGに入門する前の前提知識(5)

前回 示したこちらの図について。

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図(1)
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図(2)

(1)は「猟師のそばで見た」の意味。
(2)は「猟師のそばの鳥」の意味。

赤い矢印の
始点の位置と終点の位置が
なぜこうなっているか
を考える。

(1)「猟師のそばで見た」は全体で動詞句。
「猟師のそばで」という部分と
「見た」という部分は、
どちらに主要性があるだろうか。
「見た」という行為に
付属品の「猟師のそばで」が加わった
と考えていいだろう。

「目を凝らして」「見た」
とか、
「穴が開くほど」「見た」
などを挙げるわかるが、
とにかく「見た」ということに
主眼が置かれている。

穴が開くの「開く」よりも、
「見る」の方が重要性が高い。

というわけで、
(1)「猟師のそばで見た」
の「見た」以外の部分は付属品である。

この「見た」の部分を、
付属品と対比させて、
ヘッド主辞)という。

同様に、
(2)「猟師のそばの鳥」は全体で名詞句。
「猟師」について語っているのか、
「鳥」について語っているのか、
と考えると、「鳥」だろう。

「猟師」よりも「鳥」の方が重要性が高い。
というわけで、
(1)「猟師のそばの鳥」
の「鳥」以外の部分は付属品である。

つまり「鳥」の部分がヘッド主辞)。

私の頭の中にできている
赤い矢印は、
付属品からヘッド(主辞)へ向かう
矢印になっている。

英語の場合、
後ろから前へ向く矢印
になっている。

日本語の場合、
ヘッド(主辞)は句の末尾に来るから、
前から後ろへ向く矢印。


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