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アームとひかりの玉

アームが…

とっても寒い日だった

毎朝ボクが起きたら、必ずボクのところに走ってきてくれるアーム

アームはボクが生まれる前からお家にいる柴犬のこと

なのに、今日は……?いない…?


リビングにいくと、アームが眠ってて

呼んでも、話しかけても、揺さぶっても

目を開けてくれなくて…

それだけじゃなくてとっても冷たくなってて

寒くて起きれないのかも?と思って、ボクは毛布とかお布団とかかけてあげたんだけど…

ちっともあったかくならないの。

いつものアームはとってもあったかくて、気持ちよくて、一緒にお昼寝するの大好きだったのに

今日は、ちっともあったかくならない!


ママがね?
『アームは死んじゃったのよ…』
と…話してくれた。

アームが、お空に帰る時が来たんだって


アームの中から《たましい》っていうのが抜け出して、お空に帰っちゃうんだって

だからアームは、もうずっとこのまま眠ったままなんだって

こういうことになることが「死ぬ」っていうことなんだよ?って…ママが教えてくた。


アームのところへ

やだよ!そんなの嫌だ!
もっともっと、アームと遊びたいよ!

ボクがいくら泣いても、もうアームは温かくならなくて、目も覚ましてくれなくて…


「ちゃんとお空に帰れるように、アームにサヨナラって言ってあげましょ?」

ママが、そう言ったけど、ボク、よくわからなくて、バイバイが言えなくて

お部屋に閉じこもってしまったの。


次の日、小さな骨がたくさん入った入れ物をママがボクに見せてくれた。



『これ、アームよ。アームの骨よ…』
『ウソだっ!ボクが知っているアームじゃない!』


お空にたましいが帰ったあとは、みんなこんな風に骨だけになるって…
たましいがお空に帰るってこういうことなのよ…
とママは教えてくれたけど…

だけど、ボクはそんなことどうでもよくて、
ただ、いつものアームに会いたくて、遊びたいだけなんだよ!
悲しくて悲しくて、思いっきり泣いちゃったの


泣いて泣いて、泣きつかれていつのまにか眠ってしまったボクは、、


『一緒にアームに会いに行こうよ』って!

誰かに話しかけられた声で、目が覚めたの

『うん!』
って返事をしたとたん、めちゃくちゃ眩しくなって、目をぎゅっと閉じたんだ!


イチ、ニ、サン…数を数えていたら、今度は急に賑やかになって…こっそり目を開けたの


ひかりのくに


『ここはどこ?』
キョロキョロしていたら、

『ここはひかりのくにだよ』
誰かの声がした


どうやら、ココは《ひかりのくに》っていう場所らしい…

目の前には、沢山のシャボン玉がふわふわしてて、気持ち良さそう!楽しそう!幼稚園みたい!

『ここにアームがいるの?』
ボクがどうしていいかわからなくて、戸惑っていたら…

シャボン玉の一つが、そっとボクに近寄ってきたの
『こんにちは!ケンちゃん!ひかりのくににようこそ!』

『このひかりのくにでは、みんな《ひかりの玉》になるんだよ!』って教えてくれた。

シャボン玉に見えていたのは、《ひかりの玉》っていうらしい。

『じゃぁ…アームも《ひかりの玉》になったの?どれだろう?どれが、アームなんだろ?』

ボクがキョロキョロしていたら…
今度は、ふわふわの羽根をつけた優しい人が、急にフワッと現れて、
『こんにちは!ケンちゃん…いらっしゃい!』って話しかけてくれたの

そしてね…僕をそっと抱っこしてくれて、
大きな広場に連れてってくれたの

羽根の人は、とっても甘〜い、いい匂いがしたよ。


あかしっくひろば


広い広い大きな広場の名前は《あかしっく》

そこはいろんなひかりの玉が
たくさんたくさんふわふわ飛んでいて、
くっついたり、離れたり…

ボクを抱っこしたまま、羽根の人は、
どんどん広場の真ん中に進んでいったの

そうしたら、ボク達を見つけた《ひかりの玉》達が、たくさん集まってきたんだ。


たくさんのひかりの玉の中の一つに羽根の人は、おいでおいでをした後、広場の先にあるお部屋に入っていったの!もちろん、ボクを抱っこしたままね!


そのあと、おいでおいでをされたひかり玉が、一緒のお部屋に入ってきたんだ!


よーく見ると、そのひかりの玉は、さっきボクに話かけてくれた玉だったよ。


お部屋の中には、他にも羽根の人がたくさんいて、ボク、最初はとってもびっくりしたんだ。

みんな、いろんな色の綺麗なお洋服着てて、かっこいい人も、すごく綺麗な人も居て、ドキドキしたよ!!
みんなとっても優しそうで、ニコニコしてたの!


ボクを抱っこしてくれた人が、ボクをお部屋の隅っこにおろしてくれて


そうしたら、羽根の人達とさっきのひかりの玉さんで、お話会が始まったんだ!

羽根のひと



ボクは、そのお部屋の隅っこで、羽根の人達とひかりの玉さんのお話会を見てたの。

ひかりの玉さんは羽根の人達といろいろお話してたよ

羽:おかえりなさい

玉:ただいま戻りました

羽:よく頑張りましたね。いかがでしたか?

玉:とても楽しかったです

羽:決めたお約束は守れましたか?

玉:はい!

羽:どんなことがありましたか?





ボクが、幼稚園から帰って来た時、ママがボクに聞くみたいなことを、羽根の人達が、ひかりの玉さんに聞いてた…


ひかりの玉さんは、とっても楽しそうに、いろんなお話してたよ!

羽根の人の中には、そのお話会のことを、青いノートみたいなのに、一生懸命まとめている人もいたよ


そうしたら、ボクのところに、1人の羽根の人が来てね
その人は、抱っこしてくれた羽根の人よりは少し小さくて…

『こんにちは!ケンちゃん!わたし達は「しゅごてんし」って言います。よろしくね!』

って話しかけてくれたの。

どうやら、このひかりのくににいる、羽根の人達のことは『天使さん』って言うらしい。


ちなみに、ボクを抱っこしてこのお部屋に連れてきてくれたのも天使さんなんだけど、「だいてんし」っていう少し大人の天使さんなんだって!



このひかりのくにには、たくさんの天使さんがいて、マリアさまや神さまっていう人達もいるそうなんだ


天使さんの中には、ボクみたいな子供の天使さんや赤ちゃん天使さんもいるんだよ!

守護天使さんと…


守護天使さんが、いろいろ、ひかりのくにのことを教えてくれることになって…
広い広い《ひかりのくに》を案内してもらえることになったの

ひかりのくには、ボクがママ達といる世界で、お仕事を済ませた《たましい》が戻ってくるところなんだって!


さっきボクが見てたお話会の《ひかりの玉》は、きっと戻ってきたばかりの《たましい》だったんだね


戻ってきた《たましい》は《ひかりの玉》になって、このひかりのくにで、いろんなお話会を、何回も何回もするそうなんだ


そういえば…

あかしっく広場にはめちゃくちゃたくさんのお部屋があってね
どのお部屋も、天使さんや神さまと、ひかりの玉さんが、一生懸命お話してたよ?


今度このひかりのくにを出発する日

出発した後、行く場所

その場所に着いてからすることもすご〜く細かく、いろいろ決めるらしいんだ。

一番すごいなぁと思ったのが…
パパになる人とママになる人を決めるお部屋!




そんなことまで決めるんだ!って、ホントびっくりしたよ?



……ん?ってことは??……ボクも???
ボクも、ひかりの玉の時があって、パパとママを決めて、ボクになるって決めたってこと?


それを、案内してくれている守護天使さんに聞いたら…ね?

それを決める時に、その天使さんが、そばで一緒にお話会に参加してくれていたんだって!!

すごーーーい!!

守護天使さんはね?
一つのひかりの玉のお世話をするのがお仕事の天使さんなんだって!


ボクを案内してくれていた守護天使さんは、ボクのひかりの玉のお世話をするのがお仕事…つまりボクの守護天使さんだったの!!


へーーーーっ!!すご〜い!!


『じゃぁボクは、その時、どんなことを決めたの?』

『僕もいつかここに戻ってくるの?』

そう、守護天使さんに聞いたらね…

『それは秘密だよ』って言われた。

それを知ってしまうと、僕はママのところに帰れなくなるらしくて。。

そんなの嫌だから…約束したことは、聞かないことにしたんだ



広い広い広場をたくさん歩いて、いろんなお部屋を見てたから…すごく疲れて眠くなってきたボク…

ふとその時、大切なことを思い出したの



アーム!アームはどこ??
ボク、アームに会いたくてここに来たのに、まだ会ってなかった!!


慌ててアームを探そうとしたら、守護天使さんが
急に笑い出して
『一番最初に会ったでしょう?』って!


そう、ボクがこのひかりのくにに来た時、
シャボン玉じゃなくて《ひかりの玉》だよ!と話しかけてくれてた《ひかりの玉》!


大天使さんに抱っこされて、入ったお部屋で
いろいろお話してた《ひかりの玉》!


あの《ひかりの玉》は、アームの《たましい》だったんだ!


そっか!アームだったんだ!


たくさんお話できなかったのは残念だけど、でも、だったら良かった!

その《アームのひかりの玉》は、とっても楽しそうにお話してたから…


きっと、ボクといた時が楽しかったんだよね?



もう一つ気になることを守護天使さんに聞いてみた。

『《アームのひかりの玉》は、もう一度僕のところに来てくれるの?』

そうしたら…

それはまだ、誰にもわからなくて、《ひかりの玉》が神さまや天使さん達と、いろいろお話して決めていくんだそうで


そのお話の内容を青いノートに書き残していくそうなんだ。



そっか。。。。


ひかりの玉


『…ちゃん?…んちゃん!?起きて?ケンちゃん!!起きなさい!』


『あれ?ママ?あれ?ボク…?ここどこ??』


『泣きながら、寝ちゃったのね…?夢でも見ていたのかな?』

『今からアームの骨を、お庭に埋めてあげようと思うんだけど…ケンちゃんも一緒に埋めてあげましょ?』


どんな夢を見てたのか、ボク、思い出せないんだけど、お昼寝から目が覚めたあとは、不思議とアームがいなくなったことが悲しくなくなってた!


どうしてだろう?
アームがいないのは寂しいけど、悲しくなくなったの!
ボクのそばにいてくれている気がして!


だから…アームの骨をお庭に埋めて、ちゃんとバイバイが言えたんだ!









アームがいなくなって、しばらく経った暑い暑い夏の日。


お庭で、お留守番しながら、シャボン玉を作って遊んでいたんだ!

そうしたら…

しばらく、お泊りに出掛けていたママが、パパと一緒に帰ってきた!!


ママは…小さな小さな赤ちゃんを抱っこしててね?

『ケンちゃん!妹のアミちゃんよ?』って!

そう!ボクんちに、赤ちゃんが産まれたんだ!




ママが抱っこしている妹のアミちゃんを覗き込んだら…
なんだかとっても…甘ーい匂いがしてね。
少し前…同じ匂いがした時が、あった気がしたんだけど……?


そうしたら…


ボクがさっき作ったシャボン玉が…フワフワと飛んできて

アミちゃんのほっぺで…パチンと弾けたの!


シャボン玉……太陽の光でキラキラしてて、まるでひかりの玉みたい!

あれ?…ひかりの玉?


『シャボン玉じゃなくてひかりの玉だよ!』
『パパとママとケンちゃんにもう一度会いたくてやってきたよ』


どこからか、声が聞こえたみたい…




おしまい!



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