人生会議ポスター

この人生会議の広報はやめたほうがいい

何度となく話題にしているACP(人生会議)。厚労省が昨年、11月30日を「いい看取りの日」にしたから、今年は11月になれば広報・告知に力を入れることは当然予想していた。広報のために吉本興業と契約したと聞いたときに、少し不安だったのだが、やはり心配が現実となってしまった。厚労省が11月25日に発表した人生会議のポスターをみて、驚いた。死に向き合うことを愚弄しているように感じ、不快感を覚える。

死は死だ。辛い現実を笑いにまぶすことで多くの人に伝えたいという意図は理解する。だが、死は死だというその厳粛な現実をきちんと踏まえた笑いと、そうではない軽薄な笑いは自ずと異なるだろう。今回のポスターには軽薄さしか感じない。「すべった」のはまさに厚労省だ。

脅しともとれる内容である点も問題だ。私は人生会議には期待をもっている。それは死をひとつの契機、起点として「つながり」を意識し、家族や友人、周囲の人たちと繰り返し話すことが、最期まで自分らしく生きることにつながる積極的な意味があると考えているからだ。だが、このポスターにはそうした「生」を意識した形跡は微塵も感じられない。「こうしておかないと、ほら大変だよ」と脅しているようにしか読み取れない。

QOD(死の質)という言葉が出てきたとき、「生を支えずに死だけきれいに充実させるなんてありえない」と思った。その時の思いが再びよみがえる。せっかくの人生会議の可能性の芽を摘み取るようなこの広報はやめた方がいい。

#人生会議 #ACP #死 #厚労省

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