もうだめだって言えばせーせーするよ
毎日毎日飽きもせず「おれはもうだめだ」ばかり言っているので、今日はそういう歌詞が入っている音楽をあつめてみたよ。
①加地等「僕はダメ人間」
加地等。2011年に肝硬変で亡くなったフォークシンガーです。最後の最後まで不器用な生き方しかできない自分のことを歌い続けていました。ぼくも去年までニートで年金全額免除だったからこの歌には随分慰められたよ。
「フェラチオしておくれ」とか「チーズ・キムチ・チンポ」とか、とんでもない下ネタ曲もたくさん作っていた方なのですが、しかしふざけて歌っている感じがあまりなく、どんな歌も切実な声で歌い続けていました。
ドキュメンタリー映画もつくられています。ボロアパートでひたすら精神薬と酒ばかり飲み続けてんだよね。他人事に見えなくて泣きそうになっちゃった。特典の歌詞集はコード付きなので、弾き語りの練習ができてよいよ。
これは代表曲。ぼくがギターを買っていちばん最初に練習した曲なのでかなり思い入れがあります。なんかもう全部疲れたときに聴いてみてね。優しいから。
②シバ「この世で」
フォークシンガーつながりで、次はシバです。加地等が積極的に活動していたのは2000年代ですが、こちらは1970年代。高田渡と同じ年に生まれています(1949年生まれ)。
このアルバムはほかの曲でもこんなことばかり歌っていて、まったく社会に適合できてない感じが最高なのです。ちょっとやけくそっぽいところもいいよね。歌声がしみじみとしていて、聴いてると落ち着くよ。
それから調べてみると、シバさんは「三橋乙揶」というペンネームでガロなどに漫画作品も発表していたとのことです。読みたいな。
③筋肉少女帯「踊るダメ人間」
「踊るダメ人間」は筋肉少女帯の代表曲です。ライブでは毎回やってそう。
「ダメ人間」という言葉を最初に使ったのはどうやら手塚治虫らしいのですが、世間に浸透させたのはたぶん大槻ケンヂだと思います。「こんなクソみたいな世界、全部ぶっ壊してやりたいよな。でもそれができたとしても結局お前はダメなままなんだ」というのがね、心にぶっ刺さるよね!オーケンはぼくの王様です。
上の動画はCD音源だけど、昔のPVもすごくいいからよかったら観てみてね。太宰治を意識して作られているよ。
④町田康「もうだめだ」
大槻ケンヂつながりで町田康。「もうだめだ」と「最高なんだ」を繰り返しまくる、ヤケクソの極みみたいな歌です。
このアルバムは曲順が「やめろ」→「どうにかなる」→「もうだめだ」→「グローリア」で、続けて聴くとなんだかおもしろいよ。町田康はどんなときもおもしろいよね。あとあと小説も最高だよね!
ぼくは「告白」が大好きで、年に一回は読み返してます。「一生懸命やってるのになぜか社会にうまく溶け込めないぞ…」って悩んでいる方はぜひ読んでほしいです。めっちゃ分厚いけど文体が面白いからすらすら読めるよ。
⑤THE STALIN「アザラシ」
町田康(INU)つながりで、次は遠藤ミチロウです。80年代のパンクロックスター。ライブでは豚の臓物を投げたりしてたそうです。
この曲は「俺はアザラシ」とか言っててなんだか可愛いのですが、歌詞はやっぱり「もうだめだ、最悪だ」系です。サウンドも轟音パンク。…これってもしかして「癒し系」と呼ばれるものへの皮肉だったのかな。いやでも「癒し系」が流行ったのは2000年前後らしいから、別に関係ないのかな。
ほかにも「勉強ができない」とか、遠藤ミチロウは歌詞もサウンドもライブパフォーマンスも、なにもかもが暴力的なんだけどなんかちょっと可愛い、みたいな曲が割と多い気がします。
それから上田健司がカバーアルバム「スターリンが聴こえる」という作品を2020年に発表しているのですが、こちらもすごくおすすめです。スターリンの強烈なパンクサウンドが苦手な方はこっちから聴くといいかも。過激なライブパフォーマンスばかり注目されていた遠藤ミチロウだけど、歌詞もちゃんと聴くとしっかりしているんだぜ、っていうことがよくわかるとても素晴らしいカバーです。もう一枚ぐらい出してほしいな。「仰げば尊し」とかやってほしい。上田さんに「さっさとくたばれ」って言われたい。
⑥theピーズ「とどめをハデにくれ」
ピーズは筋少と同じぐらい大好きなロックバンドです。日記のような歌詞が特徴で、1stの頃は「いつまでもこんなんばっか、人生は厳しいぞ(人生だってよ!かっちょいいだろ~)」なんて歌っていて、自虐的でちょっとダメなお兄ちゃんがやってるパンクバンドという感じだったのですが、アルバムを重ねるごとに深刻さが増していき、活動休止前には「最悪の人生を消したい」とまで歌っています(現在は再結成して今年で35周年です)。
「とどめをハデにくれ」は代表曲のひとつ。陽気でかっこいいロックンロールに「殺るならもうさっさと殺ってくれ」という歌詞、聴いてるとめちゃくちゃ元気が出るよ。ちなみにブログタイトルの「もうだめだって言えばせーせーするよ」は2nd「マスカキザル」に収録されている「どっかにいこー」の歌詞。こっちはラブソングです。
⑦ニーネ「空を見上げて」
ニーネはせっかくなのでアルバム未収録の音源を取り上げてみました。
2003年前後。この時期は「ブラック・ニーネ」と呼ばれていて、いちばん暗くて、どん底です。いろんなことがあったらしいのです。このCD-Rは手に入りにくいのだけど、でもこれを聴いたあとに2005年のアルバム「SEARCH AND DESTROY」を聴くと本当に勇気が出るよ。だから2003年のニーネはもっと認知されてほしいな…またそのうち別で記事を書きますね。
⑧ハンバート ハンバート「虎」
これはピアノがめちゃくちゃいいよね。イントロから素晴らしいです。ハンバート ハンバートのことはあまり詳しくないのですが、曲名を見るとどれも内向的な感じがしていいですね。おすすめのアルバムとかあったらどなたか教えてください…。
⑨ゆらゆら帝国「ズックにロック」
「もうだめだ」と言えばゆらゆら帝国だよね。サビが「だめだ 俺はもうだめだ」だからね。「あの娘の家のネコがぼくの黒いちっちゃなヘビくわえて」のところが特に好きです。坂本慎太郎はシャイなのに超えっちみたいな、なんかそういうところがいいよね。「タコ物語」とか「ザ・コミュニケーション」とかはもうシャイの次元ではないけど…
⑩エレファントカシマシ「絶交の歌」
酒を持って遊びに来た友達。「俺はやってやるぜ」と言いながらいつまでもいつまでもいつまでも口先だけで何もしない。愛想をつかして絶交宣言…という歌。
ほかの曲と違って他人に「お前はもうだめだ」と言っているのですが、実は自分自身に対して言っている自己嫌悪の歌なのかも。おんなじこと何度も言ってて、ほんとに酔っぱらってる感じが好きです。
⑪神聖かまってちゃん「源氏蛍」
この曲はむかし仕事でゴタゴタがあって最悪だった時期に毎日聴いてました。いつも大袈裟なことばっか書いてて申し訳ないのだけど、でもこのバンドに関してはいなかったら本当に死んでたので助かりました。いちばん好きというか、なんか、特別枠みたいなバンドです。サウンド的にはエイフェックスツイン好きな人におすすめです。
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