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【読書日記】「現代経済学」

経済学は20世期半ば以降急速に多様化しています。そこから生まれている様々な知見は、経済の専門家だけでなく、全ての人にとって有益な視座を与えてくれるものであると筆者は考えています。

一方であまりに多様化した経済学は、その全体像が掴みにくく、とっつき辛い存在になっているという声もあります。

この本は、そんな多様化した現代の経済学の全体像を把握するのに最適です。

今後のビジネス環境、社会環境を検討する新たな視座を得たい方、ぜひご一読ください。経営学、マーケティングに造詣の深いビジネスマンの方にも、ビジネスを検討する上での新たな視座を提供すると思います。


以下は、筆者が理解のため読書メモとして記したものです。

新古典派経済理論

本書で最初に紹介される20世期の主流派経済学。

市場取引によって、みんなが取引前よりよい状態になる(少なくとも悪くはならない)という想定を置いた理論。各個人が合理的な行動をすること、市場が完全競争市場であることを前提としている。

ゲーム理論

お互いが相手の出方を読む「戦略的状況」を定式化した理論。

人は自分の好みと推測に基づいて意思決定を行い、自分のコントロールできない事象については、確率を用いて判断材料にするというのが意思決定理論である。

完全競争市場では無い環境に置いては、加えて意思決定の際に「相手がどうでるか」を参加者同士が推測し合うという状況も発生する。この状況を扱うのがゲーム理論である。ゲーム理論はその後の経済学様々な発展の源泉になっている。

おり、1990年以降のノーベル経済学賞にはその影響を受けたものが多数ある。

行動経済学

従来の経済学が「合理的な人間」という仮定を置くのに対し、「実際の人間の行動」をベースに経済モデルを構築しようというアプローチが行動経済学である。行動経済学により経済学の活動は他の社会科学との学際的な分野にも拡大している。

従来の合理的モデルを完全に否定するものではなく、融合することで経済モデルを進化させようという位置付けという見方ができる。

実験経済学

実験は難しいと言われる経済学の分野に実験的アプローチを取り入れたのが実験経済学、2019年のノーベル経済学賞は貧困対策に実験経済学の手法を使った研究に授与されている。

制度経済学

従来の経済学では市場メカニズムにより最適な取引環境が実現する部分は説明していたが、実際にその取引がどのようになされるかは説明してこなかった。取引を成立させるにあたっては、取引するに足る信頼度を持った取引相手の探索、製品の品質確認、など色々な調査が必要になる。このような取引のリスク・煩雑性を補うため契約、企業体、政府など様々な市場外の仕組みが存在する。これを制度という。

以上、簡単ですが私の読書メモをご紹介させていただきました。網羅的でなく、不正確なところもあるかもしれませんが、ご参考になれば幸いです。


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