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ビッグデータ幻想を破壊するカオス理論

 最近こういう気張った感じの宣伝文句ありますよね。

ビッグデータ革命!勝者総取りの予測可能な未来に乗り遅れるな

 学術系風の人からこんな発言もあったり。

物理法則がほぼ解明されている現在、物理法則に基づく予測モデルデータ計算能力があれば未来は予測可能、その時はすぐそこに来ている。

 本当に全てが予測可能な未来はすぐそこに来てるんでしょうか?準備しないと勝者に総取りされてしまうんでしょうか?

 答えは NOです

予測可能な未来は来ない

 なぜなら完璧な予測モデルモデルへの入力データが手に入ったとしても完璧な予測は出来ないからです。

 それは人間が完全に誤差の無いデータ計測をすることが出来ないからです。

最先端技術の計測誤差は非常に小さい、そんな細かいこと気にしなくても、予測は大きく外れない

 という意見もあります、モデルによってはそれは正しいですが、それが通用しないモデルがあります、カオス的な特徴を持つモデルです。

カオスとは?

 初期値の非常に小さな差が、時間の経過と共に無視できない差となる特徴を持ったモデルをカオスと呼びます。

簡単なカオス

 この数式、ロジスティック写像と呼ばれてるものです。

 数式に慣れてない方には一見難しく見えますが、やっている計算は非常に簡単です。

やっている計算
"入力データ" と "1から入力データを引いたもの" を掛け、その結果を4倍する 入力データが0.1だとすると
0.1 x (1-0.1) x 4 = 0.36

 計算した結果が、次の計算の入力になります

  非常に簡単な数式ですが、この数式はカオスの特徴を持っています。

 上の例では初期値を0.1にして3回計算を行い、数値の推移をみてみました。これを50回繰り返してその結果をグラフにしてみましょう。

 なんだか複雑な動きをしてますね。今度はこの初期値 0.1のグラフ(青色)に初期値 0.1000001 のグラフ(赤色)を重ねてみます。

 15回くらいまではほぼ同じ結果のようにみえますが、その後の大きく異なる動きになっています。

 2つの初期値の差はわずか **0.0000001 **です。これが初期値の差に鋭敏なカオスの特徴です。

 この特性のため、どれだけ観測精度を上げても、時間の経過と共に差が増幅されていくため、一定の時間内でしか予測ができないのです。

詳しいとこはwikiをご参照ください
ここで言う予測できないとは、決してランダムということではない。その振る舞いは決定論的法則に従うものの、積分法による解が得られないため、その未来(および過去)の振る舞いを知るには数値解析を用いざるを得ない。しかし、初期値鋭敏性ゆえに、ある時点における無限の精度の情報が必要であるうえ、(コンピューターでは無限桁を扱えないため必然的に発生する)数値解析の過程での誤差によっても、得られる値と真の値とのずれが増幅される。そのため予測が事実上不可能という意味である。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 自然界の現象にはカオス的な特性を持つものが多くあります。天気もその代表例です、天気予報の予測が難しいのはこのカオス的な特性が一つの要因になっています。

 今日はカオスについて書いてみました。最後までお付き合いありがとうございました!

Photo by Darius Bashar on Unsplash

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