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社会に浸透させたいカウンセリング!カウンセラーに聞く、日本のカウンセリング事情 2020/11/04 #テンカイズ

コロナ禍が不景気や所得の低下に大きな追い打ちをかけ、中小企業のみならず大企業の経営陣から日々現場で働くビジネスマンまで、今働く人々のメンタルヘルスが見直されています。体の健康はもちろん、心の健康はどのように守られるべきなのでしょうか。

MCは宇賀なつみさん、
プレゼンターはGO代表・クリエィティブディレクターの三浦崇宏さん。
収録の様子は【番組公式YouTubeチャンネル】でご覧いただけます。

宇賀:今夜のゲストをご紹介します。女優でメンタルヘルスカウンセラーの永夏子さんです。よろしくお願いします。

永:よろしくお願いします。

永さん、小竹さん、南さん、佐伯さん_210215_1

宇賀:三浦さんがご紹介してくださったんですよね?

三浦:GOも永さんと顧問契約していて、社員のメンタルヘルスケアの面倒を見てもらっています。社員がどうしても上の人に言えないこと、周りに言えない悩み、辛い事がある時に、誰かに話して心の平穏を取り戻すみたいなことが必要かなと思って。


<日本ではまだまだ定着していない?カウンセリングとは>

宇賀:永さんは女優としてもご活躍されていますが、メンタルヘルスカウンセラー。これは資格があるんですか?

永:そうですね。
私は芸能界でずっとお仕事させていただいたんですけども、芸能界ってメンタルヘルスの専門家というか、簡単に相談できる窓口みたいなものがなくて、でも必要なんじゃないかという思いがずっとありまして。その思いで2018年に自分で会社を設立して、カウンセラー業と女優業をやらせていただいています。
それに伴って取得した資格が、EAPメンタルヘルスカウンセラーという資格。EAPというのがエンプロイ・アシスタンス・プログラムという、従業員の支援の専門家みたいな形でケアができる資格なんですね。なのでGOさんとか企業の方々と契約をさせていただいたり、あともちろん個人的なご相談でも活動をしています。

三浦:経営者とかビジネスパーソンのヘルスケアをやっているってことですね?

永:ビジネスパーソンのみならず、芸能界の方、一般のお仕事なさってる方、主婦の方とか、いろいろな方がいらっしゃいます。

三浦:僕の会社もみんなハードワークしてるから、僕が社員の気持ちに寄り添えてるかってだんだん不安になってきちゃって。そんな時に永さんをご紹介いただいて、僕もカウンセリング受けて、「これはみんな受けたらきっと気持ちが安定して、仕事のパフォーマンスも上がるだろうな」と思ってお声掛けして、会社としてお願いしました。

宇賀:日本だとあんまり「カウンセリング文化」がないですよね……どういうことを具体的にするのか、教えていただけますか?

永さん、小竹さん、南さん、佐伯さん_210215_2

永:ケースバイケースなんですけれども。EAPという資格自体アメリカではポピュラーで、フォーチュン誌トップ500企業は95%以上、上位の100社は100%が制度として導入しているようなものなんです。
でも日本の社会全体が、メンタルヘルスとかカウンセリングに対して敷居が高いというか、気持ちが病んじゃってから行くもの、心療内科とか精神科に近いようなものっていう意識があると思うんですよね。そういう部分ももちろん持ち合わせてはいるんですけども、そこに至るまでの日頃のメンテナンスのような未然医療みたいなものだったり、働きやすさ、ご自身のパフォーマンスが存分に発揮できない状況を改善しようっていうことなんです。もちろん精神疾患、体調不良も含むんですが、そもそもEAPは「しっかりと自分が働きたいように働けるような状態にする」っていう目的があって、組織と個人と両方の相乗効果を狙うということ。なのでメンタルシックの前段階、よりカジュアルで、より身近なものっていう捉え方をしていただけると分かりやすいかな。

三浦:うちの社員はみんな、月に1回必ず相談するようにしてるんです。
「今、実は上司にすごく怒られてしんどいんです」っていう事件が起きてから連絡するよりは、毎月ベースで定期的にやるのが結構いいなと思ってて。
そうすると、いつもと違って自分自身に向き合うじゃないですか。「あれ?なんで私ってこんなに今イライラしてるんだろう?」とか、「なんか最近うまくいってないけど、これってどういうところに問題があるんだろう?」って普段はそんなに考えないけど、永さんとかカウンセラーの方を通じて自分とちゃんと向き合ってるっていう事な気がするんです。

永:カウンセラーは基本的にお話を聞いてその中から質問していくような形で、こちらから何かお話ししたりアドバイスしたりっていうことよりも、ご自身がモヤモヤしたり何かわからなくなっちゃってることを一緒に整理していくみたいな形を取っているんです。
例えば、イライラしているという事実があります。じゃあそれって具体的にどのような場面でイライラを感じましたか?みたいなことからどんどん紐解いていくんです。そうすると、意外なところで自分が実はこの事が嫌だったんだとか、そういうことに気づいていただける。1ヶ月に1回お話を伺ってそういうことを整理していくと、その方とのコミュニケーションの中で「今回すごく元気がないな」とか「すごく充実してらっしゃるな」とか、そういうこともわかってきたりするんですね。なのでコンスタントにお時間を取っていただけるのは、とってもありがたいことだなと思います。

三浦:結局「カウンセリング」って言うと、プロの人に何かアドバイスをもらうような気持ちになっちゃうと思うんですけど、そうじゃなくて。自分自身の体、気持ちの変化にちゃんと目を向けるっていう事を一人だと意外にやらないのに対して、相手がいるからこそようやく自分のことをちゃんと見られるっていうことが一番大事な機能な感じがします。

永:お忙しい方だと、ご自身を振り返る時間、向き合う時間っていうのを気づいたら逃してしまっている方がすごく多くて。会社に行けないくらいの不調が出てから、実は体調が崩していましたっていうことになってしまわないように、「月に1回この時間だけはご自身としっかり向き合ってください」という意味でも効果はあるなと思います。

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<なぜカウンセリングは日本に浸透しないのか>

宇賀:今、日本ではどのくらいの企業が導入しているんですかね?

永:2000年に厚労省から『労働者の心の健康の保持増進のための指針』というものが発表されてから、日本でも急速に普及はしたんですが、今のところまだ4分の1ぐらいに留まっているというデータがあります。

三浦:4分の1くらいですか……。

永:もちろん会社の規模にもよりますけど、まだまだ普及もしていなければ、認知もされていないというような現状ではあります。

宇賀:日本人だと抵抗のある方も多いのかなって想像してしまう。プライバシーの部分を晒さなきゃいけないような気もするし。あと特に職場だと「上には従わなきゃいけない」とか、まだまだ根性論みたいなものが残っている世界もあるし、取り入れづらい文化もあるのかなと思っちゃいますね。

三浦:心のことって他人に相談しちゃいけないとか、恥ずかしいみたいな印象があるじゃないですか。なんなら「カウンセリングかかってるんだよね」って言うだけで、ちょっと病んでしまった人とか、すごくネガティブに捉えられる空気がまだありますよね。
でもこれってサプリ飲んでるみたいなもんだと思ってて。普段から健康を気にしてサプリ飲んで、大きい怪我病気を防いでるんだよっていうのと同じようなもの。飲んでみて体に合わなかったらすぐやめちゃえばいい。

宇賀:良い例えですね。アメリカのドラマだと、夫婦でちょっと何かあるとすぐカウンセリング行こうってなるじゃないですか。あれも日本だと、そんなことしたら恥ずかしいっていうか、すぐ離婚危機みたいに思われちゃうみたいな感じもあるのかなって。

永:国民性はすごく大きいと思います。日本人がシャイだったり、あと頑張る精神の美学が根付いていたり。私も自己開示が苦手な人間なのですごく気持ちが分かりますし、話したいと思うタイミングまでこちらが伺ってもあまり効果的ではなくて、ご自身がそういう気持ちになった時に話していただく。それまでにはしっかり守秘義務もそうですし、「誰かに噂になっちゃわないかな」とか「どう思われるかな」とかを含めて、すべて安全でこの人間に話して良くなるんだろうなって思っていただけるまで、ちゃんと時間をかけることを心がけています。

宇賀:では最後に永さんの今後の展開、そしてメンタルヘルスの今後の展開を教えていただいてもよろしいですか?

永:先ほどもでたように、「カウンセリングはサプリだ」みたいな感じ。
セルフメンテナンスとして、皆さん美容院に行ったり、歯医者さんに行ったり、そういう意識がすごく高まっていってジムに行って体調整えようとかいうような世の中になってきている中で、内面のことに関しては自分で何とかしようとしちゃっている。国民性とか、ある美学みたいなものもあって、なかなか自己開示って難しいと思うんですけど、セルフメンテナンスの一環としてご自身の内面ともう少し丁寧に向き合っていただいて。恥ずかしいことでもなければ、むしろ意識の高いことだっていう感覚を持っていただけるといいなと。
ちょっと試しに行ってみようかなっていうような軽い感じで1回試されて、サプリと一緒で相性もあると思いますので、いろいろ試していただいて行きつけを見つけていただくみたいな感じにしていただけると浸透すると思います。

宇賀:今夜のゲストは女優でメンタルヘルスカウンセラーの永夏子さんでした。ありがとうございました。

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