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SNSのプロに聞く、大人向けのSNSとの上手な向き合い方 2020/03/11 #テンカイズ

Twitter、Facebook、Instagram、YouTubeにTikTok。今や個人だけでなくビジネスの世界とも切っても切れない関係となったSNS。ビジネスパーソン、特にマーケターにとってどのSNSが今後来るのか?または廃れていくのかというのは気になるテーマです。現在のSNS業界の見取り図と、今年のトレンドについてプロのご意見を伺っていきます。

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MCは宇賀なつみさん、プレゼンターはNewsPicks野村高文さん

収録の様子は【番組公式YouTubeチャンネル】でご覧になれます!

宇賀:今週のゲストをご紹介しましょう。アクセンチュアデジタルのマーケター、田中裕子さんです。よろしくお願いします。ではまず田中さんの自己紹介、どういうことをやってらっしゃるのかを伺ってもいいですか?

田中:アクセンチュアという会社にいるんですけども、今コンサル業界もデジタルのマーケティングの波が来ていて、それでちょうど広告代理店から転職したタイミングでガツガツそれをやっていると。特にメインでやっているのが、SNSのメインユーザーである10代20代のZ世代って言われるような子達が今何をトレンドとして捕まえてきてるのかっていう、新しいプラットフォームをどんどんどディグっていくっていうところとか。あとはすでにみんなが使ってるもの、使われ方が毎年アップデートされていくので、それを研究し尽くして企業さんに役立てるっていうふうな活動をやっていますね。

野村:なので今日は「2020年のSNS」っていう大きなテーマでお話を伺えたらなというところです。

宇賀:それこそTwitterとか10年以上経ってますもんね。どう変わってきた、今はどういう使われ方をしてるって言うのはありますか?

田中:ありますね。やっぱりTwitterもそうですし、日本人で一番最初はmixiの文化だった。

宇賀:私大学生の時、mixiでした!

野村:私も大学生の時やってました!

田中:やっぱりmixiもTwitterもそうなんですけど、1回新しいサービスが始まるタイミングってみんな物珍しさで一気にアカウントを作るんです。その翌年ぐらいに「日本人の人数の何千万人が登録」とかが入ると、ちょっとふざけちゃう子が出てくるんです。なので一時期バカッターみたいなことが言われて、ユーザーが一瞬離れるんですけど、それを超えたら生き残るっていうのがソーシャルプラットフォームすごい面白いとこ。
なので最初3〜4年かけてじわじわ国内でユーザー増やした後に、1回ちょっとテレビとかに取り上げられ始めるとみんなちょっとふざけて自分が出たいって感じになっちゃうんで、その後に5年ぐらい経つと定着してくるっていう感じがあります。

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野村:1回ここはふざけたプラットフォームだよねって言って、下火になってそのまま失速するパターンっていうのもあるんですか?

田中:あります。某6秒動画とかですね。
いろんなものがあったと思うんですけど、海外から輸入されているものも多いですね。Facebookとかが要は日本のローカライズっていう形で日本人に最適化していくのかって点を、すごい見られてるという感じがあります。

宇賀:最初日本人は匿名性を好むから2chとかが流行ってた時で、Facebookは馴染まないんじゃないかみたいなことも言われてたじゃないですか。それもいろいろあって変わってきた?

田中:Facebookだけすごい面白くて、ちょっとmixiとまた別なんですよ。
おっしゃる通り完全に実名なので、冠婚葬祭メディアというか昔のイエローページがFacebookになってるっていう感じなんですよね。なので赤ちゃんが生まれたとか、自分が病気しましたとか上司がたまに言ってたりするから「大丈夫?」みたいなことをコメントしてると思うんですけど、そういう冠婚葬祭プラス、もっとカジュアルに自分の仕事とかを知り合い限定でシェアしたりとかするっていう、結構リアルに近いイエローページ、ホームページみたいな感じの立ち位置がFacebook。なのでFacebookはそんなに炎上しないんです。やっぱり実名なので。定着してます。

宇賀:見られて困らないことしか書かない。

野村:Facebookが実名の日本ではそんなに根付かないんじゃないかと思われていたんだけど、でもこんだけ広まって今の冠婚葬祭メディアとしての位置を得たのはそれは一体何だったんですかね?

田中:Facebookって、mixiとかTwitterが上がってきた後とかその前後ぐらいで来てたと思うんですけど、結構そっちのSNSがナンパに見えてたと思うんですよ。何文字以内で。
なので自分一人の人格の中でもTwitterの気分の時もあれば、Facebookみたいにちゃんと真面目な情報を発信したいっていう時もある。ちょっとその内容Twitterにはそぐわないよねっていう時、使い分けがうまくできてたっていうのはありますね。

野村:確かにそうですね。自分の記憶を辿っていても、Facebookの方が意識が高い投稿していた記憶があります。

宇賀:確かに冠婚葬祭っていうのが今しっくり来ました。年賀状とか暑中見舞いみたいなものをちゃんと出すみたいな、そういうイメージあるかもしれないですね。


<一人一人がキュレーター化しているInstagram>

宇賀:Instagramはどういう特徴がありますか?

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田中:Instagramはこれも年々変わって来ていると思っていて。
インスタがブームになったのが2〜3年ぐらい前だと思うんですけど、その時やっぱり一番最初に飛びつくのはその当時20代だった子たちだと思うんですよ。プラットフォームをバッと上げるのって10代後半から20代前半の子達だと思っているんですけど、その人たちが押し上げてそのまま大人になっていくと。
それこそ雑誌で言うと、VERYとかアラサーとかそれぐらいの世代の人たちがずっとずっと続けてるようなものなんです。それがある種、0次、1次インスタ世代だったりして、今私が思うのはビジュアルメインの作品発表とかプレゼンテーションの場になってるなと。
小説が結構投稿されてたりとか、10枚めくれるのでちょっとしたショートショートみたいなものとか、自分の作品を発表する場になってる。
モデルさんとかは普通に美しくて可愛いから自分の写真集的な形になってきてるし、私はイラストとかも書くんですけど、これを見たら私の作風が分かりますよって名刺代わりに自分の自己紹介になるようなものになった。

野村:そうするとやっぱり作品代わりなんで、日常を乱雑にあげるっていうよりも、ちゃんと意思を持ってキュレーションしてあげていくことになっているんですかね?

田中:そうですね。日常をあげるっていうのは、それも一つのキュレーションなんですよね。
要は一人一人がキュレーターになってるっていうのがInstagramの面白さなので、例えば野村さんがお魚好きだとすると、野村さんの投稿見たら今日は鯛の刺身で、今日はサンマ焼いたのを食べてるみたいな。それはそれで日常だけど統一感はあるわけですよね、野村さんっていうフィルターを通じて。それはその人があげてるっていうだけで、割と実現できるものなのかなと思います。

野村:自分のこだわりというフィルターを通じた日常をあげていく。

田中:おっしゃる通りです。こだわりが絶対必要です。

宇賀:Twitterが単につぶやきだとすると、Instagramって雑誌を編集していようというか。自分の中に多分いろんな個性があるんですけど、例えば食っていうジャンルの雑誌を編集するとしたら自分の食べたものだけあげてくとか、ファッションだったらファッションだけあげていくみたいな感じで、みんな上手く編集してるなーっていうのは感じますね。

田中:さすがです。結構ヘビーユーザーですね。

宇賀:今面白いのが、私も一応TwitterとInstagramのアカウントを持ってて、個人でやってるので公式ホームページも持ってるんです。そこから出演情報とかお問い合わせとかできるようになってるんですけど、取材でお会いする方とか、呼んでいただいて番組出たりすると、そのスタッフの方に必ず「インスタで見ました」とか「Twitterにあげてましたよね」って言われるんですよ。

田中:そうですよね。わかります。

宇賀:その人のこと、初めてのことを調べるときに、公式ホームページではなくてもうSNS見てくるんですみんな。

野村:でもそれは本当にそうだと思いますね。
私も取材をする立場なので初めての方の時はその人の情報を下調べして行くんですけど、今一番考えてることが現れてるのはやっぱりSNSなんですよね。実績は実績としてもちろん公式ページを見るんですけど、人となりがより濃く現れてるのはSNSなんだろうなって感じはします。

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<Z世代を理解するために、まずはやってみる!>

宇賀:10代20代の若い子が最初にバッと広めるっておっしゃっていましたけど、ここまで広がっちゃうと今の若い子は何が一番熱いんですか?

田中:Tik Tokはやっぱいろんなマーケティング施策とかもやってきてるのでどうなるかなって、去年勝負だったっていうのを業界内で言われてる感じがあったんですけど、私は結構しっかりやられてたなって印象を受けていて。
Tik Tokは特殊なものだけじゃなくて、こんなにたくさんバリエーションがYouTubeのようにあるよって認識され始めたんですね。
一時期、結構歳が上の男性、おじさんの投稿とかが増えて、一瞬若者が少し引いちゃいそうな時期があったんですよ。なんですけど、それを通り越して今予備校の先生とかが15秒でわかる微分積分の頭の足しみたいなことやったりとか、実用的なところを見て若い子たちがもう1回いくっていう新たな使い方が見えてきたので浸透してきたなっていう気はします。

宇賀:やっぱり若い人って、おじさんおばさんが入ってくるとちょっとやだってなるんですか?

田中:どっちかっていうと年齢というより、そこのルールをわかってない人が入ってきたっていうのが嫌なんですよね。

野村:ルールがわかってない人。

田中:Tik Tokだったら、おじさんおばさんでも全然オッケーなんだけど、30代以上はそんな可愛い美魔女っぷりをやるんじゃなくて、ちょっとはっちゃけて欲しいみたいなことだったりとか。ちょっとずつ空気感、ムードが違いますよね。Twitterとかも。

野村:それですごい気になるのは、マーケティングをされてる方って大人じゃないですか。Z世代の方にアプローチするとしたら絶対的年上じゃないですか。同年代の目線からはもうどうしても語れない。その場合どういうことに留意すべきなんですかね?

田中:留意すべきなのは、結構マーケターあるあるなんですけど、コンテンツとかプラットフォームのことを知識としてインプットしてても自分でやってないって人が異常に多いんですよ。
私はTik Tokの仕事を某シャンプーメーカーで外資のところでやったことがあるんですけど、最初ちょっと失敗するんじゃないかっていうベースでその得意先から相談を受けたんです。それはもう成功させなきゃいけないと思って、必死でやろうと思った時に、まさに野村さんおっしゃったように年代がわかんない子達の気持ちをわかるには実際にやるしかないと思ったので、1週間8時間やってたんですよ。

野村:8時間!

田中:土日とかにやってみたりとか。
あとアカウント2つ作るっていうのはすごく重要で、自分のそのままのリアルな年齢を反映したものと、その子たちの年代になってなりやりきってみるっていう2パターンでちょっと検証してみる。そしたら徐々に見えてくるんです、こういうの嫌がられるなとか。まずはやってみるっていうのがすごい大事。

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<デジタルネイティブ世代の子どもと上手に向き合うには>

宇賀:でも田中さんって、例えばファッション誌の読者モデルをしたりとか、カルチャー誌の編集長をされていたりとか、バンドのボーカルをされていたりイラストを書いていたり、Podcastデビューもしているというマルチですね、本当に。

田中:そうなんです。渋滞してるって言われます、情報が。

宇賀:疲れないんですか?全部100%できるんですか?

田中:スケジュールで言うと、すごいよく聞かれるんですけど、ショートスリーパーなので3時間ぐらいしか毎日寝てない。3時間を24−3÷2が仕事で、その半分がプライベートと子どもと遊ぶ時間って言う感じですね。

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野村:結構分割して、この時間を仕事、この時間はもうお子さんとしっかり接するっていうふうにしてるんですか?

田中:接するってしてます。ただし、全ての時間にかぶさっているのがSNSっていうのはあります。常にAlways Onですね。子ども達と遊んだりする時も、私あんまりちっちゃい画面でやっぱり何か見せるの良くないと思っているので、大画面で。

野村:お子さんがSNSをやりたいとか、あとネットの世界ってちょっと怖いところもあるじゃないですか。その辺の向き合い方ってどうされてるんですか?

田中:SNSを避けて通れはしないと思ってます、これからの子どもって。
ということは、リスクもあるけど、すごいポテンシャルと夢と希望と未来も詰まってるのがSNSなので、それを生かすも殺すも親御さんのリテラシー次第なのかなと思っていて。
これはさっきのマーケターの話に戻ってくるんですけど。「Tik Tokは危ない」って親目線で語られるけど、こうやって踊ったりして楽しいよねって目線も実際にやっていたらわかりますよね。なので向き合い方って意味だと一緒に楽しむっていうのが正解かな。

野村:一緒に楽しむ。そこまでできている親御さんはそんなにいないんじゃないって感じしますよね。

田中:一緒に楽しむの一個前の段階で言うと、ちゃんと自分も子どもがやってるアカウントをちゃんと見ておくっていうのは絶対に大事だし、ソーシャル時代だからこそ親子の絆ってすごい試されてるなって思っていて。
なかなか報告しないけど、SNSではぽっと言っちゃって、それが炎上したりっていうちょっと怖いリスクもあるので、そういう意味で信頼関係がない方はアカウント教えてくれないですよね。せめて鍵アカはいいよと。本アカを教えてって言おうかなと思ってます。

野村:例えば自分の子どもさんが何かちょっとミスしちゃって炎上しちゃったりしたらどういうふうに声をかけるんですか?

田中:まずちょっと冷静になろうと。多分炎上しちゃった時に子どものケアも大事なんですけど、そもそもSNS上に広がらないように火消しをするっていうのを親はやんないといけないと思ってます。企業とかのアカウントとかだったらあんまり反応せずに、2〜3日したらその熱がちょっと落ちてくるからその後に冷静に対応を見極めましょうってことも結構あったりはするんですね。
ただ個人だと本当に被害が大きくなったりとか写真とかいろんなのがプライベートな情報が流布しちゃうこととかもあるので、まずそれを消すっていうところとか。火に油を注ぐ人って絶対いると思うんですよ、「それやめて」って言ったら逆に拡がっちゃうのが、Twitterだったりもする。
具体的に言うと、拡散メディアのTwitterが一番危険だと思ってるんですけど、Tik Tokとか消しちゃえばいい話なので。なので親御さんはマストでTwitterはやったほうがいいと思います。絶対お子さんがやると思うのでこれから。その上で炎上ちょっと落ち着いたかなという時に、何がダメだったのかなっていうのを否定せずにこれからもTwitterとかSNSで楽しく使って欲しいなって言うのがあるので、それをしっかりとお話する感じですかね。

野村:つまり自分がやっぱりやってないと、何が起きた時に守るための行動も取れないってことですね。

田中:自分が失敗したりしないとわかんないんです、痛みとかが。私は日々いろんなアカウントをやってる時失敗してもいいようなアカウントも作ってるんですけど、その中で攻撃されたりする時もあるわけです。だからそれでこういうふうにしたら大丈夫なんだっていう、自分の中でリスクの対処法っていうのをリテラシーとして身につける。

野村:誰でもタダで使えちゃう分、未熟のまま入っていって言っちゃいけないこと言ってしまって怪我をするみたいなパターンが結構あると思うんですよね。だからそのためにそれを防ぐって言う最低限のリテラシーは誰でも持っといた方がいいなと思います。

宇賀:今日はアクセンチュアデジタルのマーケター田中裕子さんさんをお迎えしました。ありがとうございました。

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