保護者からの質問1

これまでの記事を見ていただいて、Facebookのほうからいくつか保護者の方からの質問がありましたので、ここで一般論的な答え、自分なりの考えを述べさせていただきます。ご質問があった方には、直接答えや自分なりの検討を返信させていただきました。

さて、保護者からの質問は複数ありましたが、ほとんどの保護者に共通してあった質問は「どういった講師の方が良いのですか?」です。
これまでに何度か記載・説明しましたが、明快かつ絶対的な解答ありません。

その理由は、
「生徒のタイプ、生徒の学年、学校や普段の学習のフォロー、志望校のレベル、志望校の問題形式、料金体系」
と考えるべき要素が複数あり、総合的に判断せざるを得ないからです。
ちなみに以下では「先生」と「講師」の言葉がありますが、あくまで個人的な感覚・主観ですが、「講師」は受験問題の解説ができる人で、「先生」はその他勉強全般を教える人、といった印象で使い分けています。もちろん重なっている場合もあります。

そこで今回は中学入試についていくつかパターンを載せておきますので、ご参考に。
ある意味一番大切なところですが、今回料金についての見解は省略させていただきます。

●小学校低学年
「とにかく優しい先生」
まずは勉強を嫌いにならないよう、席について、先生の話をきちんと聞くこと、テキストや問題集に向き合える学習習慣を身に着けさせることが最も大切です。私は勉強を、スポーツや芸術活動の習得・練習と同じように捉えていますが、こと受験勉強に関しては、スポーツや芸術活動とは異なり、厳しくすることで得られる効果は非常に少ない、場合によっては害があると考えています。苦手意識、マイナス思考があるだけで学習効果に如実に現れるからです。

●中学受験(私立)
「様々な入試の問題の傾向を把握している講師」
いわゆる御三家などの超難関校や、一般的に難関校とされる場合は大手の進学塾の中から、生徒のタイプに合った塾を選ぶのが良いでしょう。必ず一つに決めず、通える範囲にある塾に体験に行ってその中から選ぶことが重要でしょう。同じ系列の中でも後者によって雰囲気や担当者との相性によって、生徒が受ける印象全く異なることも多々あります。交通機関を使えるのであれば、いくつかの駅にある塾を周ってみても良いかもしれません。いくつかの塾を周ってみて、生徒と相性の良い講師がいる塾が最も合格可能性が高い塾といえるかもしれません。
それ以外の中学受験生であれば、生徒の性格を見て集団か個別をまず決めるべきでしょう。これらの生徒の場合、学習効率を基準に考えたほうが良いでしょう。例えば集団塾の週3日3コマずつの授業と個別塾の週1日1コマの料金が同じであったとしても、集団でただ机に座っているだけの生徒であれば目の前や真横であれこれ声掛けしてくれる個別指導のほうが良いでしょうし、逆に個別指導でもただ問題集を解くだけの授業形態であれば集団授業のほうがまだよい場合もあります。この場合も同じように生徒との相性が良い講師を見つけることが最も大切だと思います。
やはり大手の塾ほど様々な私立中学の情報が集まっているため、高偏差値帯の学校の受検を考えている場合には大手の塾を検討を優先すべきかもしれません。

●中学受検(公立中高一貫)
「記述問題の指導ができる講師」
公立中高一貫校の受検の場合、基本的には生徒の学力次第です。公立中高一貫校で要求される「賢さ」「よく考える能力」を既に身につけている生徒であればどの塾であろうが集団・個別問わず必ず受かります。
ここが公立中高一貫校合格の難しいところですが、自分が担当した生徒の中では1か月で合格した生徒もいれば、他塾に3年間通っても合格できなかった生徒もいます。

まずはいくつかの模試を受けてみて、生徒の現状の学力・合格可能性を判断することが大切です。大雑把に言うと合格の第一ステップが読解力、第二ステップが作文力・記述力です。
読解力がある程度あれば集団でも個別でも対応可能ですが、必ず自分が作った作文・解答をこまめに添削・解説してもらう環境が必要です。読解力が不足している場合は個別指導のほうが望ましいでしょう。集団塾においても読解力が伸びる生徒はいますがやはり伸びる可能性は読解力がそもそも備わっている生徒ほど高いのが現状です。個別指導においては読解力をそばで直接伸ばす指導がやりやすいため、作文力・記述力と合わせた対策が可能です。ただし国語をきちんと教えられる講師が少ないため、授業のレベル自体は集団塾のほうが良い傾向にあることが多いです。
都立中合格の最終ラインは作文力・解答記述力が要求されるため、他の生徒以上に実力を伸ばす場合にはよりもこれら作文・記述力を底上げする必要があります。生徒が作成した解答の添削・解説を丁寧に実施している環境が整っているかどうかチェックすることが保護者の役割になるでしょう。

●総括
受験・受検に絞った話をすると、総じて講師に必要な能力は「入試問題の傾向と生徒の能力・性格を把握して、これらを有効的に活かした指導ができること」に尽きると思います。
当然ですが、このためには毎年入試問題を実際に解いておくことが必要になります。
この点、学生であろうが、職業講師であろうが、忙しさを理由に「ただ解説部分を読んでいるだけ」「わかる範囲でそれらしく教えているだけ」などの講師が一定数いることも事実です。保護者の方がチェックすべきポイントは、塾の終わりや翌日に塾で学習した内容が身についているかを質問してみて、生徒がきちんと答えられているのであればよい授業でしょう。特に私立の中間層以下、公立中高一貫校の入試問題であれば、保護者の方が聞いても内容は伝わるため、授業見学が可能であれば積極的に利用してほしいと思います。
また、保護者面談では、担当講師に入試問題について直接質問してみるのも良いかもしれません。特に、実際の入試問題を使いつつ、生徒の学力に即して具体的な説明ができる講師であれば、信頼に足る講師でしょう。やはり抽象的、誰にでも当てはまるような説明をする講師であれば指導力不足であることは否めないでしょう。

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