WBCが日常からいなくなる

 WBCが終わった。

 侍JAPAN王座奪還!最強証明!異次元オオタニサン!さまざま飛び交った。村上最後に一本、吉田の13打点、ドラマもさまざまあった。感激で泣いたこともあった。

 いろいろあった。
 いろいろあったのに、1番よく聞いたのはこれだった。

「寂しくなるね」

 お祭りが終わる頃の哀愁。しばらく名場面集はTV等で放送され続けるだろう。そう簡単にこの興奮は冷めやらぬ、とは思うのだけど。
 しかし、リアタイの試合のワクワク感は戻って来ない。

 関東地方の視聴率が最高を超えただとか、岩手県が1番視聴率が高かっただとか。肝心の「何を基準に……」というところを覚えていないのだが、とにかく日本国民が熱狂したのは分かる。

 どうしてWBCを観たのか。

 一個人の感想では……
「話題が欲しいから」観たのだと思う。

 TwitterをはじめとしたSNS、普段の家族との会話でも勿論、これまでの大きなトピックを、避けて生きていくには少々難しい数ヶ月だったと思う。特にここ数週間に至っては、ひっきりなしに報道されていて、まず耳に入らないことがない。Twitterでも、ミュートしない限り「大谷」の2文字は、毎日のように目にしたのではないだろうか。

 そうすると、必ず誰かが話題に上げた。
「昨日の大谷観た?」
 話を続けるためには、試合を知らなくてはならない。
「観たよ!164キロとか凄いよね!」
 そんなうちに、大谷がいかに超人かを知って、もっと話したくなって、また次の試合を観戦する。

 それが、これからどんどん減っていく。
 大リーグで大谷はもっと活躍するだろう。吉田も期待が高まる。ヌートバーにスポットが当てられるニュースも増えるはずだ。
 けれど、WBC2023は終わった。

 「昨日の1点でさ」から始まる話以外に、話題を考えなくてはならない日々が始まる。
 WBCが与えてくれたのは、わたし的には、日常のスパイスだったのだろう。やはりペッパーミル。

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