本を読もうとする人と読まされる人。「カブトムシ」から感じた何か

酔っぱらいですよ、もちろん。

大学の教養の授業でソシュールの記号論に興味を持った。
それから、図書館に籠って哲学書を読み漁った。ソクラテスから。
何度も読んだ。
色んな人が書いた西洋哲学の書籍を沢山読んだ。
そして、フッサールにたどり着いた時に、自分の中の何かが壊れて、崩れ落ちて、、再構築された。

もちろん、勉強したことは、ほとんど忘れている。
人間には忘れるという機能がある。
つぶさに覚えている奴は、それしか勉強してないアホの可能性が高い。
だから何かをやたら難しく解説してる人は、こいつもしかしたらアホの可能性あるな、とちょっと思いながら読んだりする。
なぜなら実戦の中で多くは忘れられて、重要なエッセンスだけが残る。
私はそう思う。

無論、私の専門は他にある。
同じ専門を勉強していた私の知人に、哲学やらを勉強している知人はいなかった。
大学のカフェテリアで友人と雑談してた時に、わたしのジーンズのポケットに入ってたのは、哲学や言語学に関する新書だった。

だからといって、そういうことに興味を持たない人を見下してるわけではない。
私の人生はある意味で損。

時々、幻想に囚われて完全に埋没してしまえる人が幸せなのかな、羨ましいな、と、とても悲しい気持ちになるときもある。
映画「マトリックス」でも、そういうシーンがあった。
敵であるAIに、イイ女を用意してくれ、と言って内通してしまう禿げのブサイクおやじが出てくる。

イイ女というのは真理。
幻想であっても真理なのかな。
よくわからない。でも、怖いよね。
真理そっくりの幻想が現れたとき、あなたは拒否できる？

だから、幻想を生み出すシステムそのものを問う必要がある。
幻想であってもイイ女を否定できないなら、つまり、科学的にもう抵抗できないってことだと思う。

結局、自分の性分として、そんなクソッタレな幻想を見せるやつらに腹が立つ。
本当にクソッタレばかり。
こういう気持ちになることが、知る者の義務ってやつなんだろうね、しらんけど。
よくわからないけど、そんなことを考えながら、今日も酔っぱらって筆を執っている。

この「マトリックス」って映画を偉大な映画にしたのは、そのシーンがあったから。と勝手に思ってる。
幻想であってもイイ女なら、それはきっと十分にイイ女である。
あのシーンが無ければ、単なるアクション映画だった。

愛すら幻想として与えてくれる社会があったなら、貴方はそれを疑える？
おそらく、十分に信じれてしまうことになる。
もう、そんな社会が近づいている。

自分が、なんであの時ソシュールに興味を持たのだろう、と色々考えてみると、自分の幼少期の記憶にたどり着く。
籠に入ったカブトムシが、飛ぶことができないように注射を打たれていると知った時、どれほどショックだったか。

だから、家の近所の大きな木にカブトムシを逃がした。
飛べないのなら、きっとそのうち死んでしまうだろう。
でもね、籠の中でもいずれ死んでしまう。
窮屈な場所で見世物として生かされてるだけ。

それからもう、カブトムシを飼うことはなかった。

もちろん、ソシュールとは論理的につながらない。
でもきっと「何か」がつながってる。
「？」て思った。カブトムシに注射が打たれてるの？って疑問と、記号？って疑問は同じ「？」。

あはは。やっぱつながってた。
記号にされて羽を捥がれてたのか。

とにかく、そんなガキだった。
クッソ、こどものときからイケメンかよ。

そんな幼少期の自分を今思い出すと、思いっきり両腕で抱きしめたいガキ。もし今タイムリープ出来るなら、その当時の自分に会いに行って、おまえはマジでめちゃくちゃに正しいガキだよ！ってワンワン泣きながら抱きしめてると思う。

だから自分は正しかったと感じる。
よくわからない。理由はないけど、ただ、ただ、純粋にまともなガキだったと思う。

正義論って本来理屈で理解するものなのだろうか。

「ナウシカ」の中でも似たような描写があった。
木の根元にオームの妖精をかくまってる子供の頃のナウシカに、「人と虫とは分かり合えない」と諭す大人たち。

まじで宮崎駿は天才。
おれのことを映画にしやがって。
カブトムシを逃がすところをたぶんこのジジイに見られてた（笑）

感じよう。
おれたちは、きっと意図的に感覚を奪われている。
という気がする。

コンクリートジャングルって、感じることを意図的に奪う装置じゃないの？
感じる、感じれる直観力というのはとても大きな武器になると思う。
それがコンクリートに吸い込まれてる気がする。

じゃあ、どうする？

コンクリートはやっぱマズいよね。
ぶち壊そう。

日本中の解体業者を雇って幻想のビルをぶち壊すしかない。
（何度も言っていますが、わたしは左翼ゲリラではなく、普通の一般人ですｗ）

そういうところで暮らすことに、まずは違和感を感じなきゃね。

おわり