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「奇貨居くべし」とは

「奇貨居くべし(きかおくべし)」という言葉は、中国の歴史書『史記』に由来する成語で、「珍しい品物は、手元に置いておけば将来大きな利益を生む可能性がある」という意味です。
日本語では「将来の利益を見越して、有望なものを手元に置いておくべきだ」や「得がたい好機を逃さず利用すべき」というニュアンスで使われます。

語源と由来

「奇貨居くべし」は、司馬遷が著した『史記』の「呂不韋列伝」に出てくる言葉です。

呂不韋(りょふい)は漫画「キングダム」でも登場するので有名な人物ですが、戦国時代末期の中国、秦の大商人であり政治家でもあります。
彼が「奇貨居くべし」と言ったのは、特別な状況でのことでした。

当時、彼は商売で多くの利益を得ていましたが、ある日、未来の秦の王である子楚(しそ、後の荘襄王)に出会います。
子楚は当時、あまり有望視されていない王族の一員でした。
呂不韋は彼を見て「この男は、将来、大きな権力を持つ可能性がある」と直感し、子楚を「奇貨(珍しい品物)」に例えて、彼の援助を決意します。
そして呂不韋は、自分の財産を惜しまずに子楚を支援し、彼の地位を向上させました。
後に子楚が秦の王位に就くと、呂不韋も大いに報いられ、権勢を誇ることになりました。

言葉の成り立ち

「奇貨」は「珍しい価値のある物」を意味し、「居くべし」は「手元に置いておくべきだ」という意味です。
つまり、珍しい価値ある物や将来性のある人や事柄を見つけたら、それをすぐに見逃さず、将来のために自分の手元に置いておくべきだ、という教訓的な意味を持ちます。

現代での使い方

現代でも、この言葉はビジネスや投資、人的な関係の中で使われます。
例えば、まだ無名だが才能があり将来有望な若者を支援したり、将来的に価値が上がりそうな株や不動産に投資する場合などに「この人(もの)は奇貨居くべしだ」といった具合に用いられます。

関連エピソードと教訓

呂不韋のエピソードは「先見の明を持ち、リスクを取ることで大きな利益を得る」という教訓を示しています。
無名の王族を支援することは一見リスクが高いように思えますが、呂不韋は長期的な視野で判断し、大きな見返りを得ました。
これは現代においても、リスクを恐れずに先を見据えた判断が重要であることを示しています。

まとめ

「奇貨居くべし」とは、将来の大きな成功や利益を見越して、今はまだ評価されていないものを大切に育てる、という考え方を表す言葉です。
これを理解し、活用することができれば、ビジネスや人間関係、さらには自己成長においても大きな成果を得ることができるでしょう。


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