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【Jリーグ第16節】FC東京 2-3 横浜FM

■ 2023年6月3日(土) 15:00キックオフ
■ 味の素スタジアム

台風の影響で前日は日本全国で激しい雨となり、東京はこの日も午前中雨が残ったが、昼前から晴れて暑いくらいの天気になった。飛田給駅から味スタまでの通りを歩行者天国にしてキッチンカーが出店する青赤ストリートを実施、ムードを盛り上げた。

川崎、鹿島、神戸と上位との対戦が続き、今節は昨季のチャンピオンである横浜をホームに迎える。難しい相手なのは間違いないが、逆に正面からぶつかることのできる試合になる。我々の現在地を知るためにも、また星勘定としても勝ち点3をもぎとりたい。

前節、途中出場でパフォーマンスのよかった青木をアンカーで先発起用、またU20ワールドカップから戻った松木をベンチ入りさせた。CBは森重と木本のコンビになった。仲川は古巣との対戦になる。

布陣

スウォビィク
長友 木本 森重 徳元
小泉 青木 安部
仲川 オリヴェイラ 渡邊

前半

試合はいきなり動いた。1分、左サイドから中央にほうりこまれたクロスにゴール前で合わされ失点。実際には1分もたっていないゴールで早くも0-1とビハインドを背負う。徳元が足をすべらせフリーでクロスを入れさせてしまった。

しかしその後は東京がボールを持ち、横浜陣内で攻撃をしかける時間が長くなる。12分、徳元の右CKのこぼれに仲川が詰めるが枠外に。これが東京のファースト・シュートとなる。16分にも徳元のFKのこぼれ球を森重が詰めるがこれも枠外に。

19分には安部が右サイドの深いところから折り返したボールに渡邊が合わせるが敵DFに当たり、さらにこぼれ球にも詰めるが枠外。21分にも渡邊が右サイドから持ち上がりカットインしてシュートを放ったがバーの上に。

この時間帯は東京が強度の高い守備で奪ったボールを素早く前線に展開、コンビネーションからフィニッシュにまでもちこめており横浜を押しこんでいる。この流れでゴールを陥れたい。

すると34分、青木が右裏のスペースにパスを出すと仲川がこれを追って走り、右サイドの深いところから中央に折り返す。するとニアに飛びこんだオリヴェイラがジャンピング・ボレーで合わせゴール。1-1と同点に追いつく。

オフサイドの可能性ありということでゴール・チェックがかなり長く行われ、ドキドキしながら待たされたが最終的にゴールは認められた。おそらく仲川の裏抜けがかなりギリだったのだろう。

さらに43分、左サイドから渡邊が中央へクロスを放りこむと、中央のオリヴェイラが頭で合わせ、敵GKに触られながらもゴールに入り2-1と逆転。敵DFのあいだにきれいに入りこんだ。渡邊のクロスも精度が高かった。

アディショナル・タイムには徳元のCKに森重が頭で合わせるがボールは惜しくもバーを直撃。さらにこぼれ球に仲川が詰めるが敵GKがセーブ。決めておきたかった。追加点は挙げられず2-1で前半を終えた。

開始早々に失点したものの、そこからは東京が主導権を握り攻撃をしかけて逆転に成功した。しかしこのまま終わる試合ではない。ゲームマネジメントの巧拙が試合を決める。守りに入らず追加点を挙げて勝ちきりたい。

後半

東京は後半開始から小泉に代えて松木を投入。代表帰りの松木を起用する予定の交代かと思われたが小泉がケガとの情報も。50分、オリヴェイラがドリブルでエリアに侵入、右寄りからシュートを放つが枠外に。

52分、仲川のパスを受けて裏に抜けた長友が深いところから折り返すと、ファーの渡邊がフリーでヘディング・シュートを放つがバーの上に。この後半の立ち上がりに決めておきたかった。その後は横浜が前に出て自陣で守備に追われる時間が長くなる。

すると62分、右サイドからゴール前に放りこまれたボールに敵FWに合わされ、2-2の同点に。これもオフサイドの可能性で結構長い時間ゴール・チェックが行われていたが最終的にゴールは認められた。

66分、渡邊に代えて塚川を投入。67分、右サイドでの競り合いで松木と敵FWがボールを奪い合い、敵FWが顔を押さえて倒れる。プレーはそのまま続けられたがVARが介入、OFRの結果、松木がヒジで相手の顔を打ったと判断され退場に。

試合後にリプレイも見たが、確かに松木のヒジが敵FWに当たっており退場の判断はやむなしか。もっとも松木は故意に敵FWの顔にヒジを入れたわけではなく、競り合いのなかでのアクシデンタルな接触で、警告でも十分だったとは思う。厳しい判断でひとり少ない戦いを余儀なくされる。

73分、オリヴェイラと青木に代えてペロッチと東慶を投入。ペロッチの方がボールが収まると読んでの交代か。少なくとも守りきるという布陣ではない。4-3-2的な布陣に見える。

その後も東京は積極的に前に出るが、奪われると後ろで厳しい形になる繰り返しで次第にオープンな展開に。84分、仲川に代えてアダイウトンを投入。守備はリスクだが勝ちに行く覚悟を決めたと見えた。

88分、徳元のロング・スローからのこぼれ球に東慶が詰めるが枠外に。すると89分、エリア内での混戦からゴール前で押しこまれ失点。2-3と逆転される。

8分のアディショナル・タイムにはアダイウトンにボールを集め、また森重も積極的に攻め上がるなど捨て身の攻撃をしかけるがゴールは遠い。45+3分、徳元の右CKをファーの塚川が折り返し、安部がシュートするが枠外。

45+8分、徳元のFKに森重が頭で合わせるがこれも枠外となり試合終了。結局2-3で逆転負けとなった。

戦評

開始早々に失点したがその後は強度高く戦いコンビネーションもよく前半のうちに逆転したが、追加点を決められないでいるうちに徐々に横浜にペースを握られ追いつかれた。その後厳しい退場でスクランブルになり、積極的に戦ったものの最終的に逆転を許した。

内容的には上位を相手に一歩も引かない戦いで一度はビハインドをはね返すなどやりたいことは明確に出せたし、どちらかといえば我々の勝ちゲームだった。退場でひとり少なくなった後も勝ち点1を守りに入るのではなく勝ち越しをねらったが、その分オープンになってやられたのは覚悟の上でありやむを得ない。

数字を見ればシュート数17-13、CK8-2、ポゼッション44-56とポゼッションこそ譲ったものの攻撃はできていた印象で実感と合っている。アクシデントもあって結果だけがついてこなかった。

松木の退場は厳しい判定だったし、主審が10人いれば10人とも退場にするようなファウルではなかったと思うが、一方でひとりも退場にしないようなものでもなく、ドタ勘では10人のうち3人くらいが退場とするくらいのレベル感だと思う。

事象があった時点でファウルを取り、松木に警告が出ていればあるいはVARは介入しなかったかもしれない。退場の可能性のあるプレーがノー・ファウルで見逃がされていれば明白な間違いだが、警告か出ていればそれはそれで裁量の範囲だったように思う。

高い強度でしつこくボールを奪い、そこにサポートが入って取りきったボールをオープンに展開し縦に付けて行くという攻撃ができているシーンも少なくなく、松木が退場になるまでは集中してボールを動かせていた。続けて行きたい。

失点はいずれももろさが出た印象で、このレベルだとわずかなギャップも見逃がしてくれないということだろう。試合の流れが変わった2点目が残念だった。やるべきことはまだまだ多い。

あと1試合でシーズンも折り返しになる。ここまで16試合で5勝7敗4分で勝ち点19(1試合あたり1.19)はまったく納得のできない戦績で、首位神戸とは勝ち点差14。まったく手ごたえがないわけではないが、できたと思っていたことがまたすぐにできなくなったりと、確実に前に進んでいる実感が持てないのが苦しいところ。

このスタイルで底上げを図るためにはまだまだやるべきことはあるし、性急になにかを判断する局面ではないと思っているが、どこまで時間をかけるのか、具体的な目標設定が必要になってくるのではないか。行こうとしている方向自体が間違っているわけではないと思うので、苦しい時期だが力をつけるために続けて行くしかない。

評点

[評点はドイツ式(最高1~最低5)]:
スウォビィク(4.5) ファイン・セーブもあったが3失点は大きい。
長友(4.5) 粘り強くカバーを続けた。
木本(4.5) 敵の攻撃を寸断するのに苦労した。
森重(4) 鬼気迫る守備だったがかなりムリしたのでは。
徳元(5) 対面の相手に完敗。まだまだ伸びしろ。
小泉(4) 前半での交替はケガか。心配。
青木(3.5) アンカーの手本を見せた。素晴らしい。
安部(4.5) 強度高く戦い中盤のダイナモに。
仲川(4) 古巣相手に手加減なし。アシストを記録。
オリヴェイラ(3) ゴールはいずれも素晴らしかった。
渡邊(4.5) プレーにムラあり。枠に行きたかった。
===
松木(-) 時間短し。しっかり受け止めてほしい。
塚川(4.5) ひとり少なくなり立ち位置むずかしくなった。
東慶(4.5) 視野の広さで青木にかなわず。
ペロッチ(4) 倒れ方がアレでファウル取ってもらえない。
アダイウトン(-) 時間短し。そろそろゴール見たい。

チームは、クラブはどこに向かうのか。クラブがこの状況をどう認識しているのかはっきりしたステートメントがほしい。

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