佐野元春│GREATEST SONGS COLLECTION 1993-2004│収録バージョン事前検証
9月にリリースされる佐野元春の新しいベスト盤に収録される曲のバージョンを事前に検証する企画。いよいよ「DISC THREE : MOTOHARU SANO GREATEST SONGS COLLECTION 1993-2004」だ。
DISC ONE : MOTOHARU SANO GREATEST SONGS COLLECTION 1980-1984
DISC TWO : MOTOHARU SANO GREATEST SONGS COLLECTION 1985-1992
track#01 ザ・サークル
Radio edit version
この辺からは発表からの経過年数が少ない(それでもこの曲で27年経っている…)ので、あまり別バージョンが存在せず素っ気ない記載になる曲も多いかも。
この曲は1993年のアルバム「THE CIRCLE」に収録された。
その後、翌年にリリースされたリミックス集「Dance Expression of THE CIRCLE」にアート・オブ・ボーイズによるリミックス・ロング・バージョンが収められている。
この曲の既発表のバリエーションはこの2つだけであり、その後のコンピレーションにもほぼ収録されていない。事前に発表されているバージョン名からすれば、今回のアルバムには未知のショート・バージョンが収められるようだ。
【リリース後の答え合わせ】
「未知のショート・バージョンが収められるようだ」どころの騒ぎではなかった。今回収録されたのは1994年にリリースされたリミックス集「Dance Expression of THE CIRCLE」に収められているリミックス・バージョンを編集したショート・バージョン。そう来るとは思わなかった。バージョン名も「Remix & Radio edit version」と修正されている。
track#02 トゥモロウ
'99 mix version
この曲は1993年リリースのオリジナル・アルバム「THE CIRCLE」の収録曲として発表された。
その後、翌年にリリースされたリミックス集「Dance Expression of THE CIRCLE」にアート・オブ・ボーイズによるリミックス・ロング・バージョンが収められている。
2000年にはコンピレーション「The 20th Anniversary Edition」に収録される際、アウトロのフェイド・アウトを早めるやり方で、アルバム収録のオリジナル・バージョンより1分ほど尺を縮めたショート・バージョンが制作されたが、この時にはリミックスは行われていない。
同じアルバムでリミックスされた曲には「'99 mix version」というバージョン名が付されているが、この曲のバージョン名は「Edited version」とのみ記されており、編集のみでミックスに手が加わっていないことが示唆されている(リミックスしたうえで編集もした曲には「'99 mix and edit version」というバージョン名が付いている)。
したがって今回の「'99 mix version」という表記はなぞだ。この曲は1999年には編集はされてもミックスされていないのだから。もしかしたらお蔵入りになったリミックスが聴けるのかもしれないが、リリースを待って検証が必要な曲のひとつだ。
【リリース後の答え合わせ】
コンピレーション「The 20th Anniversary Edition」に収められたショート・バージョンが収録されている。バージョン名は「Edited version」と修正されている。
track#03 エンジェル
Radio edit version
この曲も1993年リリースのアルバム「THE CIRCLE」の収録曲として発表された。翌年にリリースされたリミックス集「Dance Expression of THE CIRCLE」にアート・オブ・ボーイズによるリミックス・ロング・バージョンが収められている。
2012年のコンピレーション「SOUND & VISION」にも収められたがバージョンはオリジナルと同じで、これまでのところオリジナルとリミックス・ロング・バージョンの2つのバージョンしか発表されていない。
今回のアルバムでは「Radio edit version」とクレジットされているので、おそらくは新たに編集されたショート・バージョンが収められるものと思われる。まあ、オリジナルが6分半近くあるので縮めたくなるのもムリないかも。
【リリース後の答え合わせ】
アルバム「THE CIRCLE」収録のオリジナル・バージョンの2コーラス目と間奏の前半をカットして編集、2分ほどサイズを短くしたショート・バージョンであり本作が初出。
track#04 レインガール
'99 mix version
1993年リリースのアルバム「THE CIRCLE」の収録曲として発表された。アップ・テンポなポップ・ソングではあるがシングル・カットはされていない。翌年にリリースされたリミックス集「Dance Expression of THE CIRCLE」にアート・オブ・ボーイズによるリミックス・ロング・バージョンが収められた。
2000年にはコンピレーション「The 20th Anniversary Edition」に収録されたが、その際には渡辺省二郎によって再ミックスが行われ、また2コーラス目をまるまるカットする手法でオリジナルより1分半短く編集された。この時のバージョン名は「'99 mix and edited version」となっている。
その後、2011年には、セルフ・カバー・アルバム「月と専制君主」では、ワルツにアレンジされたアコースティック・バージョンでリテイクされた。2012年のコンピレーション「SOUND & VISION」にも収められたがバージョンはオリジナルと同じ。
今回のアルバムではバージョン名が「'99 mix version」となっているので、「The 20th Anniversary Edition」収録の再ミックス・バージョンが収録されるものと見られるが、バージョン名に「edit」のニュアンスが入っていないのが気になる。'99年に作成された再ミックス・バージョンが編集前のフル・サイズで収録されたりするとちょっと驚くが、まあそんなことはないだろう。
【リリース後の答え合わせ】
「The 20th Anniversary Edition」に収められたリミックス・ショート・バージョンをベースにしながらも、それよりはフェイド・アウトがやや遅く10秒以上サイズが長い新ショート・バージョン。
track#05 天国に続く芝生の丘
'00 mix version
1996年リリースのオリジナル・アルバム「FRUITS」収録曲。2000年リリースのコンピレーション・アルバム「GRASS」に再ミックス(バージョン名は「'00 mix version」)が収められており、今回のアルバムにはこのバージョンが収録されているものと思われる。
オリジナルではアルバムの次の収録曲『夏のピースハウスにて』へのブリッジとなっている部分が再ミックス・バージョンではカットされており、その分、15秒ほどオリジナルより短くなっている。ミックスそのものには一聴して分かる顕著な違いはないと思う。
この曲に関してはこれ以外のコンピレーションには収められていない。インストルメンタルの『夏のピースハウスにて』と合わせて、亡くなった母親へのレクイエムとなる曲であり、佐野自身によるブルース・ハープが印象的だ。
【リリース後の答え合わせ】
事前検証通りアルバム「GRASS」収録の再ミックス・バージョンと同じもの。
track#06 ヤァ!ソウルボーイ
Original version
オリジナル・バージョンと書いてあるのでオリジナルなんだと思うが、それでは1行で終わってしまうので一応振り返っておく。
この曲は1996年5月、アルバム「FRUITS」からの先行シングルとしてリリースされ、同じバージョンが7月発売のアルバムに収録された。
その後、「THE SINGLES EPIC YEARS」(2006年)、「SOUND & VISION」(2012年)にも収められているが、いずれも当初のシングルと同じオリジナル・バージョンである。
まあ、いずれにしてもコンパクトながら名曲であることは間違いないし、佐橋佳幸のギターが神なのも間違いない。HKBにおける佐橋のリードの中では文句なく最高の演奏(バンド結成前ではあるが)。なお、シングルにはカップリングでヒロ・ホズミによる「Up-Soul Version」が収められている。
【リリース後の答え合わせ】
事前検証通りアルバム「FRUITS」収録のバージョンと同じもの。
track#07 経験の唄
Original version
アルバム「FRUITS」からの先行シングルとして1995年11月にリリースされた『十代の潜水生活』のカップリング。翌年7月発売のアルバムに収録された。
その後は「The 20th Anniversary Edition」(2000年)、「SOUND & VISION」(2012年)に収録されたが、いずれも当初のシングルと同じバージョン。
結局、この曲は今のところオリジナル・バージョンただ一つだけが世に出ている状態で、今回のアルバムでもそうなるということのようだ。まあ、あんまりミックスをいじるような曲でもないということなんだろうな。
【リリース後の答え合わせ】
事前検証通りアルバム「FRUITS」収録のバージョンと同じもの。
track#08 楽しい時
Original version
1996年1月、アルバム「FRUITS」からの先行シングルとしてリリースされた。シングルにはオリジナル・バージョンの他、「千客万来バージョン」と「Instrumental」が収められた。同年7月には同じバージョンがアルバムに収められたが、その際には曲の終了後に短いバンジョーの演奏が追加されている。
その後、「The 20th Anniversary Edition」(2000年)、「THE SINGLES EPIC YEARS」(2006年)、「SOUND & VISION」(2012年)に収録されているがいずれも当初のシングルと同じオリジナル・バージョン。
今回のアルバムも同じくオリジナル・バージョンが収録されるものと思われる。
【リリース後の答え合わせ】
事前検証通りシングル・リリースされたオリジナル・バージョンが収録された。
track#09 君の魂 大事な魂
Alternate version
2003年12月、シングルとしてリリースされた後、翌年7月リリースのアルバム「THE SUN」に収録されたが、アルバム・バージョンの方がアウトロが長く、シングル・バージョンは一部を編集したショート・バージョンであったことが分かった。
その後、シングル・バージョンは「THE SINGLES EPIC YEARS」(2006年)、「SOUND & VISION」(2012年)に、アルバム・バージョンは「The Very Best」(2010年)に収録された。
今回のアルバムでは新しいバージョンが収録されると予め告知されている。
【リリース後の答え合わせ】
新たにミックスされた新バージョンで音の感触が異なる。オリジナル及びシングル・バージョンではいずれもカット・アウトとなっているところを手前からフェイド・アウトしてサイズも短くなっている。
track#10 彼女の隣人
Radio edit version
1992年11月、シングルとして発表された。その後、翌年11月リリースのアルバム「THE CIRCLE」に収録されたが、シングル・バージョンとはミックスが異なる。
シングル・バージョンは「THE SINGLES EPIC YEARS」(2006年)、「SOUND & VISION」(2012年)に、アルバム・バージョンは「The 20th Anniversary Edition」(2000年)に収録された。
今回の事前告知では「Radio edit version」となっているが、シングル・バージョン、アルバム・バージョンともサイズは同じであり、これまでにショート・バージョンは知られていない。いずれかのバージョンを一部編集した新たなショート・バージョンになると思われる。
【リリース後の答え合わせ】
アルバム「THE CIRCLE」に収録されたバージョンをベースに、イントロを4小節カットしてサイズを10秒ほど縮めたショート・バージョン。
track#11 ヤング・フォーエバー
Original version
1997年11月、アルバム「THE BARN」からの先行シングルとしてリリースされ、翌月発売のアルバムに同じバージョンがそのまま収められた。
翌年4月リリースのシングル『Doctor』のカップリングに新録のアコースティック・バージョンが収録されたが、それ以外の別バージョンはこれまで発表されていない。
「The 20th Anniversary Edition」(2000年)、「THE SINGLES EPIC YEARS」(2006年)、「The Very Best」(2010年)、「SOUND & VISION」(2012年)などのコンピレーションに収められたがいずれもオリジナル・バージョン。
今回もオリジナル・バージョンが収録されるようだ。
【リリース後の答え合わせ】
事前検証通りアルバム「THE BARN」収録のバージョンと同じもの。
track#12 ロックンロール・ハート
Radio edit version
アルバム「THE BARN」収録。その後、「The 20th Anniversary Edition」(2000年)、「SOUND & VISION」(2012年)に収録されたがいずれも同じオリジナル・バージョン。
今回のアルバムではショート・バージョンとの事前告知なので、新たに編集して尺を縮めたバージョンが収録されるのだろう。カットできる部分はそんなにないようにも思うが。
【リリース後の答え合わせ】
カット・アウトしているオリジナル・バージョンを手前からフェイド・アウトすることで30秒ほどサイズを短くしたショート・バージョン。
track#13 風の手のひらの上
Radio edit version
アルバム「THE BARN」収録。その後、「SOUND & VISION」(2012年)に収録されたが同じオリジナル・バージョン。
今回のアルバムではショート・バージョンとの事前告知なので、新たに編集して尺を縮めたバージョンが収録されるのだろう。この曲もどこをどう編集するのか難しそうだな。
【リリース後の答え合わせ】
オリジナルのイントロを一部カットしたうえ、オリジナルではカット・アウトしているアウトロを手前からフェイド・アウトすることで30秒以上短く編集したショート・バージョン。
track#14 希望
Original version
アルバム「THE SUN」収録。その後、「SOUND & VISION」(2012年)に収録されたが同じオリジナル・バージョン。
今回のアルバムでもオリジナル・バージョンがそのまま収録されるようだ。
【リリース後の答え合わせ】
事前検証通りアルバム「THE SUN」収録のオリジナル・バージョンと同じもの。
track#15 月夜を往け
Original version
2004年5月、アルバム「THE SUN」からの先行シングルとしてリリースされた。7月にアルバムに収められる際、改めてミックスがやり直されており、シングル・バージョンとは微妙に異なる。
その後、「THE SINGLES EPIC YEARS」(2006年)にシングル・バージョンが、「SOUND & VISION」(2012年)にはアルバム・バージョンが収められた。
今回のアルバムに収められる「Original version」がどちらを指すのかはっきりしないが、発表順から言えばシングル・バージョンがオリジナルのはず。リリースされてから確認しなきゃだけどここの聴き分けはかなり難易度が高い。
【リリース後の答え合わせ】
シングル・バージョンではなくアルバム「THE SUN」収録のバージョンと同じものが収められた。『Wild Hearts』や『また明日…』と同様に、シングル・バージョンとアルバム・バージョンが異なる場合に単に「Original version」とだけクレジットされても困る。
track#16 太陽
Alternate version
2004年7月リリースのアルバム「THE SUN」に収録されたナンバー。2012年のコンピレーション「SOUND & VISION」にも収録されているが同じオリジナル・バージョン。
今回のアルバムには新たにミックスされたバージョンが収録されると事前に告知されている。
【リリース後の答え合わせ】
告知通りオリジナルとは音の質感が異なる新しいミックスで本作が初出。
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