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【Jリーグ第15節】神戸 3-2 FC東京

■ 2023年5月27日(土) 14:00キックオフ
■ ノエビアスタジアム神戸

天気のいい土曜日、神戸も暑いくらいの好天のようだ。おとなしく自宅DAZN観戦。前節鹿島と追いつく形で引き分けており、週央のルヴァンカップでもほぼ主力のメンバーでスコアレス・ドロー。日程的には厳しいが現在地を確認するために重要な試合。

木本に代えてエンリケをCBで先発させた以外は前節と同じ先発。多くの選手がルヴァンカップのC大阪戦から中二日での試合となる。日曜日開催にしてくれればいいのに。ルヴァンカップで負傷退場したバングーナガンデはベンチ外。

布陣

スウォビィク
長友 森重 トレヴィザン 徳元
小泉 東慶 安部
仲川 オリヴェイラ 渡邊

前半

立ち上がりは互いに主導権を取ろうと前に出てぶつかりあいとなるが、10分を過ぎたあたりから神戸がセカンド・ボールを回収する動きが顕著になり、これを素早くトップに当てられてゴール前で苦しい守備を強いられるシーンが増える。

20分、右サイドで縦にしかけられ、深いところからクロス・ボールを入れられると、中央でクリアしきれずファーに入りこんだ敵FWに流しこまれて失点、0-1と先制を許す。クロスに対しゴール前で敵FWをフリーにしてしまう悪癖が出た感じのお粗末な失点。

その後も勢いを得た神戸に押しこまれる時間帯となるが、スウォビィクの好セーブもあってなんとかしのぐ。東京は神戸の前プレを受けてパスがズレるケースが多く、せっかくのマイ・ボールも前線に運べない。

36分、スウォビィクのフィードを仲川が収めて敵ゴール前のシーンになる。安部がエリア内のこぼれ球に詰めて振りぬくがボールはニア・ポストを直撃、ゴールは決まらない。これが入っていればというシュートだったが…。

すると41分、敵のプレスを受けたスウォビィクが足をすべらせてフィードをミス、これを敵に拾われ、左サイドからゴール前にクロスを流しこまれる。これをニアで引っかけられ失点、0-2とリードを広げられる。奪われ方が悪く後手にまわった。

さらに44分、敵陣からのスルー・パスから裏に抜け出され、スウォビィクとの一対一を作られる。これを冷静に決められて0-3に。セカンド・ボールをことごとく拾われてワンサイドにされたまま前半を終えた。

神戸はさすが首位だけあってインテンシティが高く、戦術がよく整理され共有されているうえ、プレー精度も高い。東京の不甲斐なさもあるが今の神戸の強さをのびのびと表現させてしまった。後半まずは1点から。

後半

後半から渡邊、東慶に代えて塚川、青木を投入、中盤で時間を作り前向きにボールを運ぶ目論見だろう。暑さもあってか3点のリードを得た神戸が前半ほどのプレスをかけなくなり、東京がボールを持つ時間が次第に長くなる。

49分、徳元のロング・スローからオリヴェイラが落とし、最後は青木がシュートしたが枠外に。オリヴェイラがオフサイドと判定されたようだ。53分にはやはり徳元のスロー・インから塚川にボールが渡りシュートを放つが敵DFにブロックされる。枠に飛んだいいシュートだった。

57分、ほぼ正面30メートル弱あたりでFKを得る。これを徳元がけるとボールは壁に当たって高く上がり、その落ちぎわを取りに行った敵DFの腕に当たりPKの判定し。確かに身体から離れた手にボールが当たってはいるが、身体を不自然に大きく見せたわけでもなくやや厳しい判定か。VARでも判定は維持された。

59分、オリヴェイラがいつものアレでゴール左隅にPKを決め1-3と2点差に。もう頼むからふつうにけってくれといつも思うんだが。

その後は互いにプレスがかからないなかオープンな展開となり、東京が追い上げる流れに。65分、トレヴィザンが自陣でカットしたボールをそのままドリブルで持ちあがり、エリア手前から強烈なミドル・シュートを放つが枠の外に。

さらに67分には、エリア内に入ったボールをオリヴェイラが落とすと安部がシュートするが敵DFにブロックされる。71分には徳元の左CKにトレヴィザンが頭で合わせるがゴール右へ。チャンスは作るが最後のところが決めきれない。

76分、仲川に代えて俵積田を投入。引き続き東京が押しこむ時間帯となっており、79分、塚川がオリヴェイラとのワンツーでエリアに入りシュートを放つがバーの上に。81分、安部に代えてペロッチを投入、おそらくオリヴェイラとの2トップにして4-4-2的な感じにしたかもしれない。

82分、敵陣中央で得たFKを森重が右サイドに開いた塚川にサイン・プレーで渡すと、ここから塚川がシュートしたボールが対応に出た敵DFの腕に当たりPKとなる。こちらはまさに上げた手がシュート軌道に入って当たっており文句のないPK。

84分、このPKをペロッチが決め2-3と1点差に。残り時間も同点を目指して前がかりに攻めたが取りきれず、結局そのまま試合は終了し、2-3での敗戦となった。

戦評

前半、神戸に押しこまれセカンド・ボールをほとんど拾えないなかで3点を奪われたが、後半立て直し、PKとはいえ2点を返した。終盤は完全に東京のペースになったが、いかんせん前半のビハインドが重すぎ追いつけず。試合展開の拙さで大事な試合を落とした。

数字的にはシュート数10-9、CK4-10、ポゼッション52-48と五分以上の戦いにも見えるし、時間帯によっては確かにそうなのだが、前半押しこまれたて続けに失点してゲームプランもなにもなくなってからの反撃をフェアに評価するのはむずかしい。

PKは押しこんだ結果奪ったものではあるが、ゴール結局その2本のみで、前節同様流れからは取れておらず、ポジショニングで優位を作りボールを動かしながら敵をはがして押し上げて行くという本来の道筋を進んでいる感がしてこないのがキツい。

特に前半、相手のプレスも厳しいなかで、リスクを意識してか思いきって前につけることができず、後ろでのミスで自滅し自ら試合を難しくしているのは鹿島戦と同じ。リードされ、また疲れも出て敵のプレスが緩んでからしか前に出て行けないのならこういう苦しい試合を繰り返すことになるだろう。

ある程度現実的な戦い方をして勝ち点を積み上げながら内容をレベルアップして行くというのがあるべきだが、時間帯や局面によって戦い方を調整するゲーム・マネジメントや、思い通りに行かないときの変事対応力など、基本的な戦術だけでなく、勝利に向けて不断に状況を読み、それに対応して行く力が問われているのではないか。

アルベル監督は基本戦術の落としこみに対しては高い意識があると思うが、戦いの現場で策を駆使して勝利を引き寄せる勝負師としてのしたたかさは正直よく見えず、そのために壁にぶち当たっているのが現状ではないかと思う。

この試合でもうまくボールを動かせる局面はあったし、ひとりひとりの選手は必死に戦っているのに、それが勝利に向けて有効に組織されていない感が強かった。ベースとなる戦術の共有、徹底は図らなければならないが、戦いにおいてスクランブルの選択肢はなければならないし、そのうえでなぜそれを発動しなければならなくなったかを検証しながらレベルを上げて行くものだと思っている。

シーズンも半分が過ぎようとしていて、この段階でできてることとできてないことの棚卸は必要。選手が合ってないのか、落としこみができてないのか、監督やコーチング・スタッフの能力が足りないのか、それとももともとどうやってもこれくらいは時間がかかるもので地道に根気強くやるしかないのか、それを検証してクラブからステートメントを出してもいい時期に来ている感がある。

今リーグで上位にいるクラブも戦術を積み上げる段階で結果の出ない時期はあったし、そこを耐えきったか投げ出したかで収穫の季節が訪れるかどうかが決まると僕はまだ思っているが、クラブはそこをどう見ているのか、考えを聞きたい。

これで15試合を終え5勝6敗4分で勝ち点19(1試合あたり1.27)、順位は暫定で10位だ。上位との差は確実に開きつつあり、今季の残り半分をどう戦うか、なんとなく戦うのはリスクが高い。

評点

[評点はドイツ式(最高1~最低5)]:
スウォビィク(4) ファイン・セーブもあったが足元が怖い。
長友(5) 押しこまれ対面との勝負に苦労した。
森重(5) DFラインをコントロールできず背走に追われた。
トレヴィザン(4.5) 高さ勝負には負けなかった。
徳元(5) 前半はマッチアップで後れをとった。
小泉(4) 後半は巻き返す起点になった。
東慶(5) 後ろを向いての守備が多かった。
安部(4.5) 後半は積極的に前に出た。
仲川(4.5) 受けたボールの落としどころが見当たらず。
オリヴェイラ(4) 必死で収めたがその先がなかった。
渡邊(4.5) 苦しいところで持たされ打開むずかしかった。
===
青木(4) ルヴァンカップから好調。先発で見たい。
塚川(4.5) 後半の推進役になった。
ペロッチ(4.5) ポストとして生きる。PKはよく決めた。
俵積田(-) 時間短し。特徴は出せた。

さすがに前半0-3は重たかった。

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