東工大1年4Qの授業振り返り (2020)
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東工大1年4Qの授業振り返り (2020)

今回で大学1年生での授業振り返りは最後になるかと思います。来年度も行うかどうかは決めていません。
表題の通り、東京工業大学での講義の第4Q(12月~2月)にかけてのものを振り返っていきます。3Qの所では書かなかった、後期実験に関することも取り上げます。

点数はどんなに良くても悪くても書くようにしてきました。今回の記事でも成績公開後には点数を貼ろうと思います。

(2021/3/4 追記:開示された点数を公開しました。またコンピューターサイエンスと物理学実験第二のレポートも貼ってみました。見るとしても参考程度にしてください。)

以前の振り返りはこちらです。

 

4Q

最後の第4Qでは、講義期間におよそ1週間の正月休みが挟まります。そのため、小中高で何度もあったような「冬休みの宿題」が出る科目もありました。悪しき文化です。

 

- コンピューターサイエンス第二

3Qのものではfor, while, 再帰など基本を扱うPython学第一でしたが、4Qではもう少し高度な内容を扱うようになりました。全教員のする授業内容が載っている文書があるのでその内容を抜粋すると、

数の表現と誤差・再帰・ソートアルゴリズム・計算量理論・インタプリタ・コンパイラ・抽象構文木・最短経路問題・メモリ

といったものが中心になります。若干高度な内容にはなりましたが、オンライン授業でも演習の際の質問はZoomやDiscordで行うことができ、課題もそれほど難なく解けました。コンピューターサイエンス第一ではまだ基礎的な部分を多く教えられましたが、第二ではかなり実務で使える内容、来年の情報系科目に繋がっていきそうな科目が多かったです。

(今まであまり公開してきませんでしたが、やることの雰囲気やイメージの把握をしてもらえればと考えたので、ソートアルゴリズムの回で作成したレポートを以下に貼り付けます。考察が不十分な箇所は目を瞑っていただけると助かります。あとコピペは大学ではバレやすいので気をつけてください)

(プログラムやレポートの提出, 96)

- メディア論A

1年目最後の文系教養科目には社会科学系のものを選びました。講師は元々、あの日経ビジネスで記者をしていたようで、講義からもその面影が伺えます。

授業の内容は、メディアとは何かという根本から始まり(今まで考えていた概念より広いものだと教わります)、重要な要素:ハードウェア・コンテンツ・プラットフォーム、そしてマネタイズ、誰でもマスメディアとなれることなど、メディアについて広く扱われました。また「メディアの仕事は8割くらい理系」という主張があるのですが、最初はよく分かりませんが、7回の話を聞くとかなり納得します。授業内でGoogleフォームによるアンケートを行い、その結果についての講評・解説もしました。

今年度の最終レポートの内容は、「2023年までに誕生している、コロナ時代の新しいメディアの発明」というもので、かなり苦戦しました。アイデアばかりは何ともならず、あまり良いレポートになりませんでした。
(毎回の考察+最終レポート, 98)

- 線形代数学第二

内容は前期の線形代数学第一とは少し別方面に進み、ベクトル空間と基底・表現行列・固有値や対角化といったものを扱いました。かなり抽象的です。

個人的には、微分積分学第二よりもかなりついて行くのが大変でした。あまり「この定義や計算のお気持ち」が示されることはなく、ただ(最初に定義→)定理→証明→定理→証明→…という流れが続いていて面白さもそんなに与えられず、つらかったです。恐らくこれが平常なのでしょう。微積で説明が分かりやすい教授に当たっただけかもしれません。自分で具体例を見つけて手を動かす、また物理や化学で意識して使ってみるなどしてやり過ごしました。

ただ、(普段の授業が単調かつ無感情であまり期待していなかったのですが)課題で自分の解法が合っているかメールで質問したところ、自作の解説プリントを添付してとても丁寧に返信して下さったことを覚えています。予想を遥かに上回るフィードバックで感動していました。内容や文面を考えてからメールするときちんと返してくださるので、考えても調べても全く分からない、理解につまずくことがあった時は、もし普段の授業が好きじゃなくても教員に質問してみるといいと思います。

結局、期末試験でチャレンジ問題に全く手が出なかったので、temの理解は所詮その程度だったようです。線形代数は難しいですね。
(毎週の小課題+オンライン試験, 100)

- 量子化学基礎

量子化学は高校の原子物理の延長になります。前期量子論から入り、量子力学や量子化学の序論を扱います。(時間非依存の)シュレディンガー方程式も解きますが、厳密に解くのは1次元井戸型ポテンシャルだけです。

Twitterのこわい人が言うには、かなり教科書が行間を飛ばし過ぎだったり分かりづらかったりするそうです。こちらのクラスでは教科書とは独立した進度が取られ、教授自作のスライドを見ながら授業が進んでいきました。前期の無機化学基礎・有機化学基礎で習った結合性/反結合性軌道の正体やs/p/d/f/…軌道の正体などが分かっていきます。

ちなみにですが、東工大20のもちみくんのブログのページに、教科書の行間を埋める記事もあります。事情によりここではリンクを貼れないのですが、同学の方はそちらも参考にどうぞ。
(小テスト+対面試験, 98)

- 線形代数学演習第二

上述のように、線形代数学第二がとても抽象度高めで難しかったので、演習も必然的に厳しかったです。問題文が読みづらいという感覚になりました。
ただ、手を動かしてみると案外時間が掛からず解き終わってしまうことも多かったように思います。解き終わってから見ると「なんでこんな簡単に答案が書ける問題に時間を掛けていたのだろう」という気持ちになることも多かったです。

こちらのクラスでは毎週A問題、隔週で難しめのB問題の提出が求められ、B問題をどう解き切るか毎回悩むという結果になりました。
(演習×7, 100)

- 英語第四RW

(必修英語に関しては教員によって難易度・課題量が大きく異なります)
3Qの英語第三RWとほとんど変わりません。英文解釈をしたりポートフォリオを片付けたりしました。
(期末課題のみ, 95)

- 電磁気学基礎2

3Qの電磁気学基礎1とほぼ変わりません。読み上げがなされました。最後の最後に、読み上げ以外の話がされたのでまとめておくと、ここまでマクスウェル方程式から始める電磁気学をもとに話を進めてきて、マクスウェル方程式から静電気・静磁気・電磁誘導といった話題を導き扱ってきたが、ここから繋がる話題として電磁流体・プラズマ・幾何光学・量子光学など様々なものがあるそうなので、今後も何かあったらマクスウェル方程式に戻ろうねということでした。

クラスによっては、マクスウェル方程式は最後の最後でしか取り上げないようなのですが、今回この教科書で電磁気学に取り組んでみると、マクスウェル方程式をなぜ最初に取り上げないのだろうと疑問に思いました。教科書のまえがき

電磁気学を学ぶ以上、どこかの段階で必ず、ダイバージェンスやローテーションの概念、および、ある程度のベクトルの演算の理解が必要となります。その際の理解の障壁は、それらが本当に難しいからではなく、むしろ、不慣れからくる心理的問題から生じるのです。どうせ必要なら、早い段階で習得するのが1番良いのです。

とあって、まさにこの説明の通り、この方針でも良いなと感じていました。
(オンライン試験のみ, 100)

 

3~4Q

前回の記事で書けなかった、3~4Q通しでの科目をここで述べます。なお、物理学実験第二は、実際に実験を行ったのは4Qだけです。

- 物理学演習第二

今季はZoomなので、2週間に1回(後期計6回)問題が送られてきて、それを解いて提出するだけの単位になりました。第二では電磁気学が中心ということで、講義で扱った内容に関連する問題が各回8問ほど出題されました。8問は他クラスと比べて多いのですが、一発ネタな問題も数多くある(円筒から一部くりぬかれた電荷などが典型例)ので、それほど苦労せず終わりました。

あまり演習が上手く行かないという方でも、こういった演習本があると便利かもしれません:

これでなくても、典型問題の場合は図書館にある教科書や演習書を見れば解法は載っています。自力で考えても全く手が出ない場合は見ても良いかもしれません。
(演習×6, 96)

- 化学実験第二

化学実験第一とは違い、5回の実験全て対面で行えました。また色々な機器も使うことができて、ディスカッションで話したりレポートで書いたりする内容も深くなってきて面白かったです。第一のときにしたような操作ミスも減りました。

実験のテーマは、temが行った順に

一次反応速度定数:酢酸エチルを加水分解させてゆき、中和滴定を行って滴定値をグラフにプロットすることで一次反応速度定数を決定する。
メチルオレンジの合成:スルファニル酸やジメチルアニリンから、メチルオレンジの結晶を得て収量などを調べる。
解離定数の測定:未知試料が与えられるので、それらの溶液のpHを調整して分光光度計で旋光度を測定し、試料を決定する。試料原液が~10⁻⁵ mol/Lと希薄であるにもかかわらず、とても良い精度で値が算出できる。
フラボノイドの化学:みかんの皮からヘスペリジンを抽出し、定性的な実験を行って溶液の変化を観察する。
糖類の化学:ショ糖、果糖など糖類に対してフェーリング試験など定性実験を行う。さらに、ショ糖の加水分解をゆっくり行い、旋光度から加水分解の反応速度定数を求める。

いずれも操作は多く、予習には苦労しましたが、変化を見られて楽しかったなと思っています。これが今年は抽選でしか受けられないというのが残念に感じます。
(実験×5, 95)

- 物理学実験第二

化学実験は前期と比べて実験回数も増え、内容は元々充実していて良かったのですが、物理実験は今年の場合すぐ終わってしまい、何も考えていないと何も得られなさそうなほど実験で行う手順が少なかったです。元々実験装置は準備されていたので用意の必要もありません。そして何十組かのデータを得て、計測が終わるとすぐ追い出されるだけなので、何とも言えない気分です。

実験は3回だけで、担当したテーマは

交流回路と共振:RLC回路に交流電圧をかけ、その周波数と電流の関係を調べる。得られたデータからQ値(ピークの品質)を求めて理論値と比較する。
物質によるβ線の吸収:アルミ板の厚さを測り、またアルミ板を放射線源とGM計数管の間に入れて計数を測定する。その厚さと計数に関してグラフを描くと、ある厚さから突然計数の減少傾向が変化するため、それを調べてβ線の吸収係数を測定する。
(この吸収係数µは係数に対してN(x)/N₀=exp(-µx)という関係を満たすのですが、そのµ[g cm⁻²]はアルミ板でなくても何でも良いらしいです。そのため勝手に紙など密度既知の板状のものを持ち込んで実験しても似た結果が得られそうです。出来ませんでしたが)
電気抵抗:銅線を加熱しながら可変抵抗をいじってホイートストンブリッジの平衡を作り、銅線の温度と抵抗値の組をいくつか算出する。サーミスターという市販半導体でも同様の操作を行う。
(今回は最終レポートだったので、実験の目的から原理、装置、手順、結果、考察まで全て記したレポートを提出することになりました。他の回ではA4で1~3ページで済む小課題です。)

コンピューターサイエンスと同様に、こちらの最終レポートも一応ここに載せてみますね。電気抵抗というテーマで、実験自体はとても簡単だったんですけど半導体について色々な考察ができました。

教科書は充実しており、誤差伝播の話は初めて知りましたし、各実験についての記述が細かく記されていて分かりやすかったです。
(実験×3, 100)

 

 

結果発表

こんな感じになりました。GPAもGPTも両立できて満足です。

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GPA、3.96→4.03→4.18→4.28って上がっていったんですけど、その中で何かを変えられたわけでもないので、単に運で何とかなったような気もします。

修得科目平均点は95.81点でした。

 

まとめ

1年目の52単位分の授業の紹介は以上になります。実は4Qで院別専門科目の物質理工学概論Cを取っていません。取れなかった理由は、大学にはCAP制という制度があるためで、

1単位は,授業時間外も含め45時間分の学修をもって付与されます(大学設置基準)……学年(4月~3月)を通して 履修申告できる授業科目の単位数の上限を48単位として制限します。……ただし,当該年度の年度GPAが3.00以上だった場合は,翌年度の上限単位数が56単位になります。また,新入生……の前学期において学期GPAが3.00以上だった場合は,当該前学期に履修申告した単位を含め,当該年度(4月~3月)の上限単位数が52単位になります。

という事情があるためです。これが無ければ60単位くらい取って色々な科目のこと見られるのだけどなという気持ちがあるのですが、これは大学の制度であり、それに上限に当たってしまったのは自分が十分に履修計画を立ててこなかったからなので、ただただ受け入れるしかありませんでした。
皆さんは計画的な履修を心がけましょう。

 

とはいえ、東工大1年目で得られたものは多いです。文系教養科目が予想していなかった方向に進んでいくほか、確かに高校生の頃から大学の数学や物理の話は少しだけ聴いてきましたが、数学や物理では確実に新たな知見が得られました。Zoom講義ではあったといえ、得たものは大きいと思っています。

外の世界がこんな状況である中で、52単位どれも中途半端に止まることなく学習・履修できたのは、東工大の教員の方々が多くの準備を重ねてきてくれたからだろうと思われます。感謝しています。

また、大学に来てみて、かなり自由に勉強できるなと感じていました。課題の提出期限前はかなり忙しくなりますが、それ以外のタイミングでは時間も心の余裕もあって、temの場合は1ページずつじっくり読むと決めた本を何冊か完走でき、そして11月に挑戦したTOEICも上手く行くなど、理想的な精進スケジュールが取れました。とても楽しい1年間でした、合格して入学できて本当に良かったです。

 

 

これで以上になります。この1年間の授業の大まかな振り返りを目指して始めましたが、新入生の方々や他の方々に、これは参考になるのでしょうか……。
分からないこと、詳しく知りたいことがありましたら気軽に、周りに沢山いる東工大の人に聞いてみてください。この記事より参考になる情報が転がっているはずです。

長い間ありがとうございました。

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東工大に来たよ!