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ドラマ『レ・ミゼラブル』

現在NHKで毎週日曜日23時〜よりドラマ『レ・ミゼラブル(原題:Les miserables)』が放送されている。

以下、nhkのサイト記載のあらすじ。

希望は生まれる そこに愛ある限り

フランスの文豪、ヴィクトル・ユゴーの名作が、リアルでスケール感たっぷりの映像でよみがえる。(全8回)

時は1815年のフランス。一斤のパンを盗んで投獄されたジャン・バルジャンは19年もの間、服役することに。刑期を終えたあと町に出るも、行き交う人々の冷たさに心がすさむ。
そんな中、ある一人の司教と出会ったバルジャンは、司教の心からの優しさに触れ、人生をやり直そうと決意するが…。

レミゼ過去

著者ヴィクトル・ユゴーによるレ・ミゼラブル (上) (下) (角川文庫)
角川文庫に限らず多くの翻訳本が発売されている不動の小説である。

何度も何度も映像化・舞台化・アニメ化とリメイクされ続けている。そして日本人ならほとんどの人が好きであるミュージカル版。おすすめミュージカル作品には必ず上位に入る。

私も当然好きで、歌のレッスンに行けば必ず練習する代表曲も『レ・ミゼラブル 』から何曲もあるだろう。女性なら「I Dreamed a Dream」「On My Own」は鉄板。老若男女問わず人気な「One Day More」は言うまでもない。コロナの影響によりブロードウェイ全公演が休止になり、

キャスト陣が各々で歌ってる姿を撮影し集結した動画が素晴らしいです。泣けます。

日本人によるミュージカルも何度も再演され、2021年も上演が決定されているようです。無事上演されますように。

レミゼミュ


このタイミングでのドラマ化。

ミュージカル版も好きな私だが、やはり女優の端くれとしては、役の心情や物語性が気になる人間はドラマ版が好きである。

いや2012年製作の映画ミュージカル『レ・ミゼラブル』も大好き。

ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ、ヘレナ・ボナム=カーターの熱演は当然素晴らしい!当然泣きました。素晴らしいのだが、どうしてもミュージカルの曲の印象が強すぎ、曲に泣かされているところもあるはず。『ミス・サイゴン』も作曲されてるクロード=ミシェル・シェーンベルクにやられているわけです。

一時期はミュージカル出演もしていた人間が言うのは何だが、いや、好きだからこそなのですが、ドラマ性があるからこそ歌い始めることへの難しさが常につきまとう。海外の方はその流れが確かにスムーズ。上手い。でもやっぱり一縷の違和感が残る。

それは何故なのか?

いつも考える。歌のレッスンを受けている人間として、また近年声楽家と一緒に作品続ける人間として感じたこと。

それは歌というものは、とてもパワーのいるもの。歌うということは、とてもエネルギーが必要なのである。

パワー、エネルギー=生命

と私は思っている。ということは、パワフルな役が歌う、これから生きていくんだーという役が歌う、単純に楽しいから歌う、それはまだわかる。逆に死のどん底であったり、死に際の歌に違和感があるのである。もちろん感動的。泣ける。でも普通の人間であるほど死に際に一曲歌えるなら、そのエネルギーがまだ残っているなら「まだ生きていける!」と思ってしまう…。

そして歌っている間の時空。それまでのドラマの時空より突然緩やかに流れることがどうしても私の気になる点なのだろう。感情的なナンバーであるほど止まってるに等しい。何度も言うが泣けるんです。しかしその時空が止まるような違和感がドラマでは当然なくスムーズで、ダイレクトに役の感情を感じれる。受け手により感じ方に差があることが面白い。

最近の個人的好みが余白のある作品。

ミュージカルはとてもわかりやすい。ドラマだと感情を台詞にはしない。表情と間で生み出される。素晴らしい俳優さんほど何とも言えない表情や絶妙な間を生み出す。

今回のドラマ『レ・ミゼラブル』も素晴らしい。

まだ前半部分なので(4月5日に投稿)ファンテーヌの見せ場で盛り上がっている。たまらん。どんどん悲惨になっていく状況と髪の毛と歯を売るシーンのリアルな痛々しさ。まだ花の時代の年齢なはずの彼女が子供の為に、言葉通りの身も心もボロボロになっていく姿が可哀想でたまらない。ジャン・バルジャンとのちょっとしたかけちがいによりファンテーヌがあそこまで落ちぶれてしまった時のバルジャンの罪の意識を感じる表情がとても伝わる。

ファンテーヌの見せ場であるなら、ミュージカルだと「I Dreamed a Dream」だ。良い曲である。しかしこの曲を歌わないことにより、ファンテーヌの生命がどんどん失われていくことがダイレクトに表現され、感情移入が更に止まらなくなる。

今晩放送はジャン・バルジャンとコゼットの出会いだ。また数年経ち、それぞれの役の環境変化やあの革命の話に繋がっていく。楽しみだ。


補足。nhkのドラマのサイトの中のコラムが面白いです。


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