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聴導犬ソーシャライザーになるための条件について

大木奈ハル子です。
私は40代半ばの主婦で、50代の夫と猫のおばけちゃんの2人と1匹で、東京都港区にある築50年以上の1DK29平米しかない、「大都会のクソ古くてクソ狭い賃貸マンション」で暮らしています。

2020年の秋から、(福)日本聴導犬協会の聴導犬ソーシャライザー(子犬育てボランティア)をはじめました。

こちらのnoteでは、ソーシャライザーになって知ったことや、体験したことを記録していきます。
少しでも聴導犬とソーシャライザーを広めるお手伝いになればと考えています。

聴導犬ソーシャライザーは、聴導犬の候補犬(子犬)を預かって、育てるボランティアです。


😅 興味はあるんだけど、どうやったらソーシャライザーになれるの?

ほとんどの方がそう思われると思います(私なんて直接面接で話を聞いてもよくわからなかったもんね)。

そんな人のために当記事では、聴導犬のソーシャライザーになるための条件や、どんな人に向いているかについてまとめました。

※当記事は公式見解ではなく、私なりに感じたり理解した聴導犬ソーシャライザーについての活動内容になります。
ソーシャライザーに興味を持ってくださった方は、日本聴導犬協会に直接お問い合わせをしてください。


聴導犬ソーシャライザーという言葉の意味

一般的にソーシャライザー(socializer)は、「社会活動に参加する人」という意味があります。

それに加えて、聴導犬のソーシャライザーは、「聴導犬の候補犬を預かって社会科訓練をする人」という意味を持ちます。

socializer=socialize+er

socializeの意味:社会生活に適合させる、社交的にする(weblio英和辞典より)
-erの意味:〜する人


聴導犬ソーシャライザーの活動内容

🔽ざっくりと聴導犬ソーシャライザーが何をするか🔽
聴導犬の候補犬となる子犬を2ヶ月ほど預かる

子犬を預かって一緒に生活していく中で、
・子犬たちにたくさんの愛情を注ぎ、人間のことを大好きになってもらうこと
・お散歩したり、ドライブしたり、オープンカフェに出かけたりと、さまざまな社会化体験をしてもらうこと
この2つが聴導犬ソーシャライザーの大きな役割になります。

聴導犬ソーシャライザーになるための条件

預かった子犬が、聴導犬になるためのお手伝いをするのがソーシャライザーなのです。
(福)日本聴導犬協会のホームページには、ソーシャライザーになる条件として5つの項目があげられています。

① 犬をひとりっきりにする時間が少ないご家庭
② 室内飼いができるご家庭(子犬ですので、いたずらはします)
③ 月1回のパピークラス(長野県宮田村、または、東京、または関西方面)に、できるだけ参加できるご家庭
④ 日本聴導犬協会の育犬方針に従ってくださるご家庭
⑤ 人間の子供を育てるように、愛情をもって、甘やかすことなく育ててくださるご家庭

この5つをなるべくかみ砕いて説明し、さらに私なりに感じた条件を追加しました。


【① 犬をひとりっきりにする時間が少ないこと】

聴導犬はユーザーとずっと寄り添いながら暮らします。
ソーシャライザーは、留守番がなるべく少ない環境で一緒に暮らすことで、子犬にとって聴導犬としての訓練のお手伝いをします。

要相談ですが、1人暮らしでも在宅で留守が少ない環境だったり、狭い家でもペット可のマンションなら、ソーシャライザーになることができます。

我が家は1DKの狭小マンション(ペット可賃貸)ですが、
「吠えが少ない10キロ以下の犬」という条件のパピーをお預かりできることになりました。


【② 室内飼いができること】

①でも書きましたが、聴導犬はユーザーとずっと寄り添いながら暮らします。
聴導犬のソーシャライザーになるためには、完全室内飼いができる環境を準備する必要があります(玄関で飼うはNGです)。


【③月1回のパピークラスに参加できること 】

(福)日本聴導犬協会は、長野県宮田村に本部があり、東京都八王子市、兵庫県芦屋市に支部があります。
このパピークラスは毎月1回土日祝日のいずれかに開催されます。
ソーシャライザーはお預かり中の子犬と一緒に、長野県、東京近郊、兵庫近郊でパピークラス(社会化レッスン)を受講する必要があります。

どれぐらいの頻度での参加が必要か協会のスタッフさんに伺ったところ、
1年のうちに10回ぐらいは参加してほしいとのことでした。


【④ 日本聴導犬協会の育犬方針に従えること】

聴導犬はペットとは違います。
たとえば子犬でかわいいからと、人間の食べ物を与えたり、人間の膝に乗って暮らすことが癖になってしまうと、聴導犬になるための訓練で矯正する必要が出てきて、犬にとってストレスになってしまいます。

ソーシャライザーは聴導犬の候補犬を訓練するのではなく、たくさんかわいがって、社会化のお手伝いをするのが役割です。
でも、かわいいからと言って何もかもを許し、その後の訓練の邪魔になるようなことはしないように、(福)日本聴導犬協会のスタッフさんの指示に従って暮らす必要があります。

聴導犬はおすわりは「シット」待ては「ウェイト」という言葉がけをします。
もし、ソーシャライザーが「おすわり」「待て」でしつけたら、訓練がはじまったら子犬たちは混乱してしまいます。


【⑤ 人間の子供を育てるように、愛情をもって、甘やかすことなく育てられること】

以下は(福)日本聴導犬協会のホームページの記載文です。

協会の候補犬となる子犬たちは、ほとんどが捨てられたり、人との嫌な経験をした子が多いです。その子たちの「悲しい嫌な記憶」を少しずつ癒して頂くために、基本のしつけよりも愛情を一番に与えていただきます。人がいじめた犬は、人が治すしかありません。(引用:日本聴導犬協会ホームページより)

代表の有馬もとさんに、ソーシャライザーとして何をすべきか伺った際には、このようなお返事をいただきました。

ソーシャライザーさん宅では、しつけも服従訓練もそれほど重きを置いていただいてません。愛情。
べたべたした愛情を子犬に与え、人間を信じ、仲間として支えられる子に育てていただきたいと、願っています。


【その他条件】

ここからはソーシャライザーになり、私なりに感じた条件をいくつか。

【⑥ なるべく自家用車がある人(レンタカーを頻繁に借りるガッツがある人)】

ソーシャライザーの子犬預かりや交代は、主にパピークラスで行います。
犬を連れて行って、連れて帰る際には車が必須です。

我が家は自家用車がなく、パピークラスにはレンタカーで参加しています。
つまりは、自家用車がなくてもソーシャライザーにはなれるのですが、自家用車がない場合は、毎月パピークラスの日にはレンタカーを借りる必要があるということを理解した上で、ソーシャライザーになる必要があります。

あと犬が病気の際は、聴導犬協会指定の動物病院に連れて行く必要があるため、
そのたびにレンタカーを手配して連れて行くというのはちょっと大変だなと感じました。
自家用車なしでソーシャライザーになるには、それなりの経済的負担と覚悟が必要かも。


【⑦ ケチじゃない人】

預かった犬のフードやおもちゃ、犬の服や食器などは支給してもらえます。
医療費も負担する必要はありません。

ソーシャライザーは、パピークラスの往復の交通費や、社会化訓練としてカフェなどで飲食した際の費用、動物病院にかかる際の交通費などが自己負担となります。
消耗品としては、ドッグフードに混ぜるための生野菜や、肉、ヨーグルト、消毒に使うリステリンなどがソーシャライザーの自腹となります。

我が家がパピークラスに参加する場合、開催地がそこそこ遠かったため、レンタカー+高速代+ガソリン代で1日の交通費だけで余裕で1万円超えてました。
他にも
・犬の手作りフードを作るためにフードプロセッサーを購入
・犬が滑らないようにカーペットを購入
・お迎えしたら犬の抜け毛が思ったよりすごかったので、掃除機を買い換え
・病院に連れていくためにペットキャリーを購入
・犬専用のベッドを購入(←ここまでは絶対必要な出費)
・おもちゃ(←ここからは単なる自己満足)
・かわいい犬服
・かわいい犬用食器
・かわいい犬用マット
なんやかやで初月で5万円以上は使っちゃいました。笑

大した金額じゃないっていうとそれまでですが、それなりに継続してお金がかかりますので、それを負担に思わない方が向いていると思います。

【⑧モノが増えても平気な人】

我が家は1DKと狭いこともあり、家具などをなるべく置かず、家電や洋服などは最低限で暮らしてきました。
が、ソーシャライザーになって、カーペット、ブレンダー、ペット用ベッド、ペットキャリーなどが増えました。
ドッグフードやペットシーツは1ヶ月分をまとめて預かるので、月初はかなりボリューミーです。


😅 体感だと荷物が倍ぐらいになった気がします。笑

ソーシャライザーをはじめるまえには、お預かりする子犬だけでなく、子犬用の荷物が増えることをあらかじめ予測して、犬用品のスペースを確保しておくことをオススメします。


【⑨ 子犬のイタズラを許せる人】

子犬はやんちゃです。
イタズラによって、壁紙を破いたり、家具を壊したりする可能性もあります。
その際に壊れた家具は、自腹で修繕したり買い替える必要があります。

いたずらに対して腹を立て、しつけと称してぶったり、怒鳴りつけたりする人はソーシャライザーに向きません。

🔽候補犬のひさちゃん(引用:協会代表の有馬さんFBより)🔽

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この写真を見ても「やれやれ仕方ないなあ」と、苦笑いで済ませられるタイプの人でないと、子犬も人もアンハッピーに暮らすことになります。


まとめ

こうやって書くと聴導犬のソーシャライザーは、さもお金がかかって大変な活動であるように感じますが、全然そんなことはなくて。
実際にペットを飼うことと比べれば、はるかにお金はかかりません。

私は犬と暮らしたことがなかったので、何かわからないことがあると日本聴導犬協会のスタッフの方に相談できるのはとても心強いです。
犬の特性を活かして能力を伸ばし、健康に育てるプロフェッショナルに指導してもらえることは、大変素晴らしい経験です。

もしソーシャライザーとしての活動を長く続けることができなかったとしても、今後自分でペットを飼うことになった際に大いに役立つと思いました。

犬と暮らしたいけれど今まで飼ったことがなく不安という人は、お迎えする前に1年ほどソーシャライザーとして活動することで、犬の育て方を覚えることができます。

犬と暮らしたいけれど高齢で10年20年と飼う自信がないという人や、引越しが多い職種で数年後にペット可の住宅で暮らせるかわからないという人にも、およそ2ヶ月(最長で8ヶ月)という期限付きで犬と暮らせる、ソーシャライザーはおすすめです。

聴導犬になれるようにたくさんかわいがって、可能性を信じて子犬を育てることで、私たちも成長することができて、社会に貢献もできるソーシャライザーという活動は、とても有意義なうえに、子犬もソーシャライザーも日本聴導犬協会もハッピーになれるトリプルwinなボランティアです。

日本聴導犬協会の出した5つの条件に当てはまり、私が感じた4つの条件もクリアしている人はぜひ検討してみてください。

🔽ソーシャライザーとパピーウォーカーの違いを私なりにまとめました🔽


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