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那覇見聞録「技術同人誌読書会を通して見た那覇」

那覇読書会を終えたので、その感想を書き残す。



離島論

例え誰からも受け入れられなかったとしても、沖縄で読書会を開催する事は決めていた。

出発前、「あんな離島にまで行くなんて熱心ですね」と何人かの方に言われた。

馬鹿々々しいので何とも返さなかったのだが、的外れなご感想である。

世界全体から見れば日本国こそが離島なのである。

(地理的のみならず、文化・政治的にも)

もし沖縄をケアする方策を見けられないのであれば、我が国自体を救済することも不可能事であろう。

沖縄の所得を向上させる方法を模索する事こそが、日本人全体を豊かにする道なのである。


大会会場について

会場は那覇市内に位置するコワーキングスペース「OKINAWA Dialog」である。

テックを中心とした様々なイベントが催されており、意識して安価で緩い空間を作っておられる印象。

擂鉢状の奥行(ギリシア・ローマの劇場タイプ)を持っており、音楽系のイベントが多く開かれているとのこと。


エンジニアの給与水準

那覇に来て現地エンジニアの皆様とお話しした所、やはり諸地方同様に賃金水準が安い。

しかも「ゆいまーる」という講システムが地域・一族・学校・職場など至る所にあり、見えない出費が大きい。

加えて、沖縄人同士で受発注する仕事は「うちなー価格」と呼ばれるお友達料金が適応されてしまう事が多く、フリーランスが現地で食べて行く為の障害がやや目立つ印象を受けた。

裕福な生活をしているのは、東京から来たor帰郷して来たエンジニアである。

「東京価格でリモートの仕事を取り、沖縄価格で暮らす。」

という生活は中々快適であるらしい。


沖縄の技術書著者事情について

読書会には、まぁし様@chocodogmagicなる技術書典にも出展経験のエンジニア様が来られ、著書を献本下さった。

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他にもガジェット系の同人誌を長年発行されておられる方も来訪された。

そう、やはり沖縄にも技術書の著者は存在したのである。

ただ残念ながら、現地においてその執筆実績はあまり周囲に知られておらず、自然東京で興った技術同人誌ブームも伝えられていなかった。

実際に参加者同士の交流が始めると、やはり地元に著者が存在したことに対しての感激の声が挙がり、彼ら同士の交誼に繋がっていた。


沖縄の特殊性を鑑みた上での地方活性化策

沖縄は気候温暖なリゾート県という事もあり、非常に外部からの移住者が多かった。

わざわざ海を越えて移住してくらいなので裕福な者も多く、それがエンジニアの場合は多分に技術とコネを既に持っての移住であるケースが多く見られた。

(少なくともテック分野に限っては)彼らと地元の交流が十二分であればある程、産業の活性化が強まることであろう。

現時点で不十分に見えたのは、やはり地方ではイベントが少なく、知的な交流の場を見つけにくい状況に起因するのであろう。


東京の強みは、整備されたインフラ網や膨大な人口もそうだが、何より自己向上の為のイベント(非常設的な交流環境)が充実している事により、個々が最適解を見出し易い点にもある。

インフラや人口を模倣する事は困難であるが、小イベントのフォーマットは幾らでもトレース可能である。

よって地方が活性化していく為には、(ハコモノではなく)まずは勉強会文化を吸収する事こそが近道であると、私は強く再認識した。


補足

私も宿泊して頂いた経験があるのだが、ユニークで有能なエンジニアと話してみた時、「ギークハウス」の出身者が非常に多い。

(今回の那覇読書会にもギークハウス関係者が来訪してくれた。)

このギークハウスこそが、テックを通して我が国を再興させる鍵であると私は踏んでいる。



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