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「関西オープンフォーラムとは何なのか?」と質問してみた。

銭けっと」なる珍妙な名前の大会を主催している分際で言えた筋合いではないが。「関西オープンフォーラム」なる(私にとっては)内容の解り難い大会に去年から参加している。
その略称を「KOF」と云い、全世界で累計2800万本以上を売り上げたメガヒットゲームと同じ略称を持つ、ある意味悲劇性の強い大会である。
先日弊店にて、KOF実行委員様が事前告知イベントを開いて下さったので、その折りに「KOFとは何なのか?」という疑問を率直にぶつけてみた。

IT界隈の方にとっては常識なのかも知れないが、「オープンソース」という単語が漠然とし過ぎていて私にはずっと理解出来なかった。
だから委員の皆様とゆっくり話を出来る状況を迎えた時、真っ先に問うてしまった。

「オープンソースとは何ですか?」と。

色々と懇切に教えて頂いたのだが、明らかに咀嚼し切れていなかったので、翌日文章に纏めて委員の方に確認して頂いた。
まずは私の提出文章から。

【私の提出した文章】

オープンソースを私なりに要約すると以下の通り。

『ソースコードを広く一般に公開し、誰でも自由に扱ってよいとする考え方。また、そのような考えに基づいて公開されたソフトウェアのこと。』 →0

かつて、ソフトウェアはパッケージで販売されていた。
当然、そのソースコードは制作者の著作物であり、対価の支払なしにソフトを使うことは許されなかった。 →1

だがインターネットの性質(無限拡散・無料化圧力)に起因するのか、自然発生的にオープンソース運動が発生する。 →2-5

解り易い例を挙げると、マイクロソフトに対するカウンターとしてのLinuxの勃興を想起して貰えれば良いのかも知れない。 →6-7

今でこそIT界の帝王ビル・ゲイツもオープンソース肯定派(その本心は不明)だが、KOFが起ち上がった頃は「オープンソースは撲滅すべき癌細胞!」と激しく攻撃していた。
→8-9

かつては、IT草創期にはアングラ的看做されていた考え方こそがオープンソースなのである。 →A-E

【委員様からの返信】

この文章を提出した所、幾つかの修正点を挙げて下さった。
委員様からの修正点は以下の通り★印を付けた文章全てである。本文の→に対応する。


★0 「自由に」という語は多義性があり、「オープンソース原理主義者」から宗教戦争・テロ攻撃の恐れがあります。
「自由に扱ってよい」ソフトウェアには「FFFTP」などもありますが、
これはソースまで広く一般に公開していないはずです。
「オープンソースで自由に扱ってよい」というのは一般的に間違ってはいませんが「自由を制限するオープンソースライセンス(例:GPL)があります。
これは「『公開や頒布を制限する』自由」を奪うライセンス形態です。

★1 パッケージで販売されていたのは「パッケージ販売のベンダー製作のソフトウェア」(ベンダーが著作権を有し、その権利により有償販売のみを認めていたソフトウェア)ですね。

ユーザが作ったソフトウェアは、それは作者が著作権を行使して、あるいは著作権を放棄してパブリックドメイン(Public Domain)としPDS(Public DomainSoftware)として「印刷媒体」「テープ」「フロッピー」などで配布されました。
時代が下って(国内で)パソコン通信が盛んになると、その入手経路から「オンライン・ソフトウェア」と称されることもありました。
しかし、フリー(自由)・フリー(無料)・オープン(開放性)・オンライン(入手ルート)は宗教戦争の結果、厳密に区別されることとなりました。

★2 歴史としては、ユーザによる公開や頒布(当時は名称が決まっていない)があり、インターネット(およびその前身のarpanet)ができ、最後にビジネス用語としてのオープンソースの定着があったと認識しています。
概念としてのオープンソース的なものとインターネット的なものは平行・並走の関係と思われます。

★3 上述のとおり、国内ではパソコン通信での拡散圧力が強かったです。
オンラインでは電話代などの通信費が開発者も利用者もバカになりませんでした。
そこで、これらを雑誌の付録(フロッピー、後にCD)としたり、
CDを主体としたムック本である「PACK5000(5000本のソフトを収録したので)」(ベクターデザイン:当時)などが刊行されました。
これらのソフトウェアは無償ではあったものの、ソースまで公開されていたものは少数派でした。

★4 当時(1990年台前半まで)、インターネットは国内では商用解放などが行われるまでは、タテマエとして「学術研究」が表に出ていたので大学や研究機関、一部の企業しか接続されていませんでした。
そのため拡散圧力としてはパソコン通信(PC-VANやNIFTY-Serve、アスキーネットなど)が優勢でした。

★5 時代が下り、テレホーダイが登場し、パソコン通信各社が「インターネットプロバイダ」へと華麗な変身を遂げると、インターネットの拡散圧力が優勢となりました。
そしてその後、パソコン通信は終焉を迎えました。

★6 「Windows10」がメジャーになった、あるいは2016年ころからでしょうか。
WindowsでLinuxを使う「WSL(Windows Subsystem for Linux)」なる謎技術が公開されました。

★7 KOF2016ではマイクロソフトのテクニカルエバンジェリストを基調講演の講師として迎え登壇いただきました。

★8 そうですね。「癌細胞」よりは「ウイルス的性格」と評しているが正しいかもしれません。

参考:OSDN > Magazine > カリブ海に広がるLinux https://mag.osdn.jp/04/11/11/0149227
また、攻撃先はオープンソースのうちでもLinuxに代表されるGPLですね。

★9 スラドのネタとして https://srad.jp/story/01/06/20/1332210/ があります。
ビル・ゲイツ、GPLは「パックマンのような性質」

★A これはどうでしょうか。どの時点を「草創期」とするかによりますが、
ユーザは自由に(自身のソフトウェアを)やりとりしていたので、どう表現すべきか。
確かに「マーケットには出回らない」という点では「アングラ的」が正鵠を得ていると言ってよいでしょう。

★B 市民権を得だしてすぐにKOF2002(正式名称は「関西オープンソース」+「関西コミュニティ大決戦」)が開始されました。「無かった」と断言すると宗教戦争やテロに巻き込まれます。

★C 1995年にWindows95が発売され、「逸般の誤家庭」ではない一般のご家庭でもインターネットが普及しはじめました。

そしてブラウザとしてはオープンソースの「Mozilla」がマイクロソフトの「Internet Explorer」と熾烈な闘いを広げました。

サーバサイドではLinux(OS)やApache(ウェブサーバ)などが広く使われていました。

★D もう一つ補足しておきます。
 IT業界の標準的ノートパソコンの雄であるMac各種ですが、
 Mac OS X(2000年に登場)は一部がオープンソース由来ですし、
 Linuxなどとも相性がよいです。
 詳しくはWikipediaなどで。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/MacOS#Mac_OS_X_Public_Beta_(Siam)

★E これらの認知があり、関西オープンフォーラムがスタートしました。
当時は企業出展は有償、コミュニティや非営利団体は無償でした。
つまり「KOFスタート時点において『オープンソースは金の匂いがプンプンする(ビジネスになる)』『市民権を得た』状態」でした。

今でも金の匂いはしますけどね、もちろん。


本文を編集したために対応関係がなくなったコメント
★F オープンソースカンファレンス(Open Source Conference: OSC)とKOFは別物ですが、ぜひOSCにも言及していただきたいです。

OSCは2004年にスタートし、北海道から沖縄まで全国展開です。 

参考(Wikipedia情報):https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B9


コメントへの補足

★印はスタッフ個人の見解が含まれており、中には誤っている点があるかもしれません。
これについては一人の視点でしかないため、どうかお許しいただきたいです。


【11月8日9日は大阪南港ATCへ】

との返信を頂けた。
ここまで私にリソースを注いで貰えるとは思っていなかったので
「こんなことなら、最初から寄稿をお願いすれば良かった」
と感じている。

『私達の欠点は1を聞かれると100を答えてしまうところなのです!』

と事前告知イベントの時も仰られておられたので、何かを知りたいと欲している方にとっては自信をもって推奨出来る大会だと思う。
今年は是非とも、古参IT市民との交流を意識して、KOFに臨みたいと考えている。


【本文の著作権について】

委員氏からの提案もあったので、本記事に限っては「CC BY-SA」とする。

CC BY-SAとは

(作品を複製、頒布、展示、実演を行うにあたり、著作権者の表示を要求し、作品を改変・変形・加工してできた作品についても、元になった作品と同じライセンスを継承させた上で頒布を認める。) 

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