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『ウエディング・ハイ』見た直後の雑記

大九明子監督、バカリズム脚本の『ウエディング・ハイ』。

いやーー、まさかの超傑作ウエディング/ウエディングプランナー・コメディ群像劇映画だった!!!!

中村倫也が演じる石川彰人と関水渚が演じる新田遥の結婚披露宴を中心に、結婚する二人、家族、友人、会社の上司、学生時代の後輩、ウエディング・プランナーたち、遥の元カレなどを交えた群像コメディ。

パッとした設定はロバート・アルトマン監督の『ウエディング』に似てる、というより、オマージュ作品とも見れる。『ウエディング』が結婚披露宴の24時間を描いた作品だったのに対して、『ウエディング・ハイ』は結婚する二人が結婚披露宴の計画を立てる所から始まり、これを費用計算やプランナーとの話し合いから作り上げる。その徐々に結婚披露宴本番に向うサマがあたかもマラソンランナーの「ランナーズ・ハイ」や登山家の「クライマーズ・ハイ」に似た盛り上がりでのドタバタコメディで展開する。

本作のキモはこれを複数のキャラも結婚披露宴本番に望む、それぞれの「ウエディング・ハイ」を見せる部分にある。披露宴を支えるプランナー達はもちろん、祝辞を読む者、祝辞映像を提供する者、乾杯の音頭を取る者など、あらゆる人物の「ウエディング・ハイ」を展開。個人的には高橋克実が演じた上司編や皆川猿時が演じた関連会社の男編が見事過ぎた。

さらに中盤から披露宴進行上のトラブルが起きる。ここでは篠原涼子が演じるウエディング・プランナー目線が多めになり、これが伏線から彼女自身のストーリーなどを次々と展開。

これだけでもウエディング・コメディ映画として十分に高く評価出来るが、本作はさらにその上をいった。具体的なことはネタバレになるのでフワッとしか書けないが、あらぬ方向のエピソード、展開が盛り込まれていて、このおかげで単なるウエディング・コメディ群像劇のさらに10歩上をいく映画になった。これに関するシーンは伏線から意外な繋がりがお見事としか言いようがない。

全体的に結婚披露宴企画、前日、本番のあるあるを元にしたバカリズムの脚本と、元お笑い芸人の大九明子監督の経験やアルトマンの『ウエディング』へのリスペクトと薄っすら感じさせる『卒業』の香りが見事に融合した奇跡のコメディ群像劇である。

※ロバート・アルトマンの『ウエディング』を見直したいが、配信してないんだよなー(笑)。

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