「千と千尋の神隠し」は面白くない?

私はジブリ好きなんですが、「『千と千尋の神隠し』つまんない」って言う人も中にはいます。何でだろうなと思ったので、ちょっと書いてみます。


「千と千尋の神隠し」
上映された当時、今の「鬼滅の刃」くらい日本中で騒がれて、大半の子供達は見たんじゃないかなと思います。
私もその一人でした。当時の事を回想するとこんな感じだったと思います。

最初の引っ越しの場面。引っ越し先に張り切って向かうお父さん、対して何だか冷めてるお母さん。そしてその両親に付き合わされて、車の後ろでゴロンとしてる子供の千尋。ここまではただの日常です。

よくわからない道に向かって走り出すお父さん。やめよーよーという千尋。何となく嫌な予感が漂います。すると得体の知らない石像があり、その先にはトンネルが。さっきまでの嫌な予感がさらに不気味さを増してきました。


そして嫌がる千尋に耳を貸さず、どんどん両親はトンネルの先へ行きます。


そしてトンネルの先にはまるで別世界のように綺麗な風景が現れました。綺麗ですが、映画を観てる側としては、不気味さはまだ残ります。
そしてさらに進むにつれ、台湾のような街並みが現れて、そこに並んでる料理に釣られて勝手に両親は食べ始めます。千尋はやめなよと言うけど、両親は耳を貸さず。観てる側としても「それはダメだろ」と子供ながらに感じました。
仕方なく千尋は両親を置いて行きますが、謎の美少年ハクと出会います。優しそうだけど、何者か分からない怪しさがあります。


暗くなると、この街の全容が徐々に分かり始めます。両親が豚になった姿は子供目線で見ると、メチャメチャ怖いです。ホラーです。千尋はこの瞬間、自分自身の力でこの世界を切り抜けることを宿命づけられました。


それから色々な神様達や湯婆婆と出会い、なんやかんやあって「贅沢な名前だね、今日からお前は千だ!」お風呂屋で働くことになります。そしてめっちゃ汚い神様を洗うことになります。メッチャ汚い神様を洗うのに千尋が四苦八苦してる姿は「がんばれー!」と応援したくなります。そして最後の「よきかな…」と言って大量の金品を置いていき、風呂屋が大喜びする様は観てるこちらも喜べます。


そしてカオナシ。最初は「あ…」しか言わないから、「何だこいつ」くらいにしか思えなかった奴が、急にカエルを丸呑みして「コイツヤベー!千逃げろ!」と観てる側をハラハラさせます。その後湯葉葉と戦ったり、千にクサイのを食わせられて弱体化したのは「なんかよくわからないけど、千のお陰で事態が収まって良かったー」って観てて思いました。


その後ハクの呪いを治すために千は銭婆の所へ行きますが、千は先程暴走したカオナシにも手を差し伸べています。ここは子供ながらに、「大丈夫かな」と言う気持ちと「もうカオナシは怖いやつじゃ無くなったんだな」という気持ちと「千は優しいな」という気持ちになりました。


そして銭婆のところへ行き、ハクも呪いが治って二人で空を舞いながらハクの本名を聞くシーンは何故だか分からないけどこちらも感動的な気持ちになってしまいました。


最後に湯婆婆のところへ戻り、両親の豚が居ないと答えて「大当たり〜」となってグランドフィナーレ。トンネルを抜けて現実の世界に帰ってエンディング。

「千と千尋の神隠し」の何が面白いって、全体の構成が綺麗だったり何か伝えたいものがあるといった面白さでは無くて、現実の延長にありそうな世界観や、特長あるキャラクター達がそれぞれの想いを持って行動している姿や、良い所で流れてくる久石譲の音楽や、そういった瞬間瞬間を観てる側の気持ちをこれでもか、と揺さぶってくる感じ。ストーリーが綺麗じゃ無いからこその次は何が来るかわからない面白さ。「伝えたいものが何か」といったテーマがある訳じゃなく、そこを求める層には刺さらなかったんだと思います。そういった面白さを私は認めたいです。

ちなみに2回目に見た時は、やはり面白さは半減してしまいます。「次はこうなるんだもんな〜」と思いながら見ているからです。そうだとしても「千と千尋の神隠し」は子供の頃見てて凄い楽しかったです。

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