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「詩をつくる教室」 第5期 2回目

文月悠光さんが講師の「詩をつくる教室 言葉のレッスン」第5期の2回目です。
初回に提出した自由題の作品の個別の講評となります。

わたしの提出した作品の講評を振り返る形で、講座の様子をお伝えしたいと思います。

夏掬

泡だてられて
雲の群がる
光をこぼして、夏の降る

青は青く氷になれ
赤は赤く金魚になれ
夏の色に満たされて
夜になっても帰らなくていい
雲も降りて綿菓子になれ

雲にまぎれて降りてくる星の
口の中ではじける
夏の予感
鼻緒の痛み
ビニール袋の水の重さ

***

まずはタイトルですが、「夏掬」という言葉は存在しないので、読めません。あえて読むとすれば「かきく」ですが、読めないことを伝えました。存在しない言葉ということを、きちんと先生が調べてくださっていたので、安心しました。というのも、別の講座で、辞書に載っている言葉なのに意味を取ってもらえなくて残念な思いをしたことがあったので。

夏を掬う、という意味も汲み取ってもらえたので(まあ、これは他に意味の取りようもないけれども)個人的にはこれから常用していきたい。

講評の中では、色の使い方を評価してもらいました。それゆえ、最後の行の「ビニール袋の水の重さ」が余韻を削ぐような形になっていると指摘されました。その部分も色を感じさせるものである方がよいこと。
ビニールという単語から連想されるものは確かに色彩の面でも貧相です。その安っぽさがいいような気もしますが、ここは再度考えてみたいところです。

この詩が縁日の様子を切り取ったものであることは読者に伝わると思います。夏に訪れるちょっと可愛らしい、いじらしい、みたいなものを表現したかったのです。青い時代の夏の夜。

そうするとビニール袋がかえって似合っているような気もするけれど、凡庸な作品となる要素のようにも感じます。そう、そこからもう一歩踏み込むとか、跳躍するとか、あるいは、間の連に持ち帰ることのできる一行を織り込まないといけない。

それが詩を書くことか! と心のどこか、あるいは内側のわたしたちが快哉を叫ぶ。

前回の講座の記事の中で

その輪郭の、毛並みのようなものには触れることが出来るようになってきた、とも思う。

そういう風に書いている。続けていることで、なんとなく、もう少し、詩の、その体に触れることができるようになってきた気がする。毛並みのあるそれは、きっと大きな獣だ。いや、もしかしたら大きな蛾かもしれない。そうだったら嬉しくなっちゃうかも。オオミズアオのお腹に触れ、翡翠色を夢想する。

講座を続けていて、一番変化のあったことは、詩を読むことができるようになったこと。まだ完全に読めるようになったとは言えないのだけれど、文字が滑ってゆくことは少なくなった。

自分にとって詩は数学のように難しいもの。それを理解することに憧れがあるけれど、飲み込むたびにフリーズしてしまうもの。

今は、少しずつ味わうことができるようになってきている。読まないと書けないというのは、詩でも小説でも変わらないことだと思うので、最初のハードルは越えられそうな気がしている。

もっと詩を楽しみたい。

そのために、もっとたくさんの詩に触れること。

講評に戻ります。
「夜になっても帰らなくていい」は少し怖い印象があると指摘がありました。講座の中では、思い出せなくて答えられなかったのですが、その表現は、緩くなる門限を意識したものでした。開放感に近いかな。
でも、怖さがある方がいいと思うし、好みだし、ここももう一歩踏み込んだ表現を考えてみたいと思いました。

「ゆめかわいい」ところも描きたかったので、その部分も理解してもらえて嬉しかった。ただ、読み返すともう少し違う、幅のある表現があったのではないかと思います。自分の中の課題としては、詩の推敲を覚えること。

(でもね、ピントが合う瞬間、綺羅星を見つけちゃう瞬間、徐々に見つかってきているの。だから、毎日、読み、書かなくちゃ。そしてやっぱり適切な指導は欲しいと願う)

以上、今回の講座の自身のハイライトでした。
90分の講座に19名の参加者がいるので、ひとりひとりに割り当てられる時間はわずかです。先生とのやりとりは緊張するから、なかなか言葉をまとめることができず、こうやって思い出したことを書き出しています。

それでも、他の方の詩の講評は興味深いし、新たな発見もあって嬉しい。様々な詩とその解釈を聞くことで、なんだか自分の詩の輪郭が見えてくるような気がする。

***

朝日カルチャーでの文月先生の詩の講座は今季を持って終了となるとのこと。
新たに毎日文化センターで始まります。

時間は120分だし、全6回というスパンもとてもいい。
ただ、電車の路線が病気を発症した時の経路で、その時の状態を思い出してしまうので、今もひとりで向かうのは難しい。
そう考えていたのだけれど、あ、別のルートにすればいいじゃん! と思いついたので、きっとこの新しい講座にも参加します。

そう、西武新宿線に(高田馬場から)乗れないなら、中野で中央線に乗ればいいじゃない。

バスの時間は少し長くなるけれど、通っている病院の最寄駅だし、問題なし。

新しい講座に通えば、丸一年以上、詩の教室に通うことになり、目標が達成できます(2019年、わたしは「詩の勉強をする」という年に位置付けています)。

というわけで、もう少し詩の勉強を続けたいと思います(クレジットカードの締め日を確認。申し込みはギリギリになっちゃうかな)。

朝日カルチャーの講座はまだ1回残っているので、また来月を楽しみにして。

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