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「詩をつくる教室」 第5期 3回目

文月悠光さんが講師の「詩をつくる教室 言葉のレッスン」第5期の3回目、新宿で行われる講座は、今回が最終回です。
初回時のワークショップ「写真から言葉を紡ぐ」で拾った言葉を元に作った詩の講評となります。
今回もわたしの提出した作品の講評を振り返りたいと思います。

影の狼

影の渡り
もういないものの例えとして
影の狼の渡り
結晶してさらわれる

光がきらきらと痛み、朝
木々の影に身を潜める
空耳の遠吠え
影にまぎれる むつみあう

闇がぽとりぽとりと垂れる、夜
尻尾の先がくすぶることもない
脚を夜に浸す
空の底を染める 駆け抜ける

さよなら
朝が来るよ また輪郭が燃える
さよなら
夜が来るよ 影と煤と闇は見分けがつかない

写真は石敷きの川。露出はだいぶアンダー。木々の影が暗く写り込んでいる。

ワークショップの時に書き出した言葉は以下のもの。

言葉の割れる あるいは結晶する 広がる カビでも
涙は皮膚に ファンデーションを割って
影は沈んで 揺れながら眠っている
ああ そうやって影の降る
伸びて夜は まとう 流れを
狼は影を渡って逃げる

他の設問に答えた言葉は以下のもの(設問は省略)。

滅び 影の狼 猫のあいさつ 影の渡り 影の狼の渡り
結晶してさらわれる 溶けてしまう
光が痛み 影を見間違い 仲間の影と出会う 安堵
不安、さよなら
   夜が来る おそれー消える
   朝が来る おそれーさらされる
きらきらと痛み 空耳の寂しさ
        遠吠えが聞こえる
        影にとける
          まぎれる
          むつみあう
カチリカチリと 氷の張る不安
        結晶する不安
わああああん
うわああああん

意外に書き出した言葉を詩に落とし込んでいます。
言葉を書き出すことは自分にとってはそれほど難しいことに感じなかったので、この方法は今後の詩作に非常に役に立つと思われます。

今回の講評で指摘があったのは
さらわれる、むつみあう、駆け抜ける、燃える
これらの言葉、語尾の部分。そこに工夫が必要ということ。
確かに今の形はリズムを生み出すけれど、それは単調なものになっているかもしれない。
迷いながら言葉を加えた最後の行が、かえってよい結果を生んでいること。

このようなテクニカルな部分に踏み込めたことは、いくらか自分の成長を感じています。
もう一度、書いた詩を振り返り、いつかの時に発表できればと思います。

今回の他の方の講評で「ショートムービー」という言葉が先生からあったけれど、自分はもう少し絵画的なアプローチで、アニメーションを志向してもいいのかな、と思いました。そうしたら、新しい詩の形を見つけられるかもしれない。

詳細な詩の解説もできるけれど(講座では少しその説明もしたけれど)、この場ではそれはとどめて、読む方に委ねます。自分でも、不思議、と思いながら書いていますし。
それは、以前書いたエントリーにあるように

じゃあ
詩や絵画や音楽は

もちろん、世界の秘密そのもの
だってそこに世界があらわれているじゃない、とわたしは嘯く

世界の秘密そのものにわたしは近づいているかな。
ううん、それはもうここにあるし、あとはきっとわたし次第だ。

それで、新しい講座に申し込みもしました。

もう少し、もう少し詩に戯れ泳ぎたい。まだ、戯れられる今だから。楽しそうに詩を書くの、なんて言われたい。

ものを書く時のわたしの姿は、どうも、とても恐ろしいらしい。声をかけることを憚るような、殺気だった気配をたてているらしい。
だから、とても楽しそうには書けないだろう。全然、それは構わない。世界の秘密のひとつになれるのならば、やっぱり滅びてもいい。

白いわたしたちがウインクをし、手招く。
(おかえり)
深く息を吐く。白い炎に足を踏み入れる。

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