さんかく展 【小説】火曜日の美術館
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さんかく展 【小説】火曜日の美術館

 本当に久しぶりのギャラリー訪問だ。この「物語」も長い間、更新することができなかった。もちろん、緊急事態宣言下であったことは大きな理由なのだけれど、冬から初夏にかけて寝込んでいたことも、それに拍車をかけた。

 都心へは先月、病院のついでの用事があり出かけたので、電車が久しぶりというわけではなかった。それでも、とても緊張した。ギャラリー訪問の前に薬をちゃんと飲めばよかったな。

 少し上滑りしているところはあるかもしれない。それでも、今、じわじわと余韻を感じながら書いている。時間が経っても、空間の余韻が馨っている。

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 訪れたのは神田の高架画廊。明日10/11まで開催されている『さんかく展』を鑑賞するために。
 作品を観ることはもちろんだけれど、作品を展示しているひとりが友人の茅野カヤさん。
 カヤさんとは、現在Twitter上で【March hare sings】という作品を発表している。カヤさんが絵を描き、わたしがそれに物語詩をつけている。

 こちらのツイートのリプライを追ってゆけば、全作品を閲覧することができます。一年間毎日更新をし、【March hare sings】も明日、いよいよファイナル。展示の最終日に巡り合ったのは、なんだか不思議な嬉しさがある。

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『さんかく展』に戻る。展示しているのは、川口ヱリーさん、茅野カヤさん、yさんの三人。

 出迎えてくれるのはyさんの球体関節人形。

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 扉の向こうに気配を感じ、足を止められて、すっと入り込んでしまう人が多いのじゃないかと思う。紫陽花をイメージした作品と聞く。紫陽花である理由は、ぜひ足を運んで直接、三人の誰かから聞いて欲しいと思うけれど、それでこの空間に似た気配が行ったり来たりするんだろうと気づく。2階にもyさんの作品は並んでおり、ぜひその造形と「気配」を感じて欲しい。きっとその視線の先を追ってしまうはずだから。


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 川口ヱリーさんの作品はモチーフがエロティックなんだけれど、伝わってくる雰囲気はポップでかわいらしい。写真の作品は、観た後、ハッピーエンディングなタイトルを知って、こういうの好き、と思う。結局、魅入られて絡まれて幸せじゃん、ていうの、おどろおどろしく表現しがちだけれど、そこが軽いタッチで楽しい。コケティッシュな魅力がそれぞれの作品から、軽妙に流れていて、飽きない。写真にすると少し色の雰囲気が変わってしまうので、ぜひ直接作品を見て欲しいと思う。


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 茅野カヤさんの作品は、テーマやモチーフ、そのタッチも繊細で、配置されているひとつひとつを追いかけると、ふっと絵の中に入り込んでいる自分に気づきます。そして絵の中の誰かと目が合います。まばたきをして抜け出せないなら、それは幸せなこと。永遠に彷徨う権利が与えられます。ぜひ、絵の中に迷い込んでみてください。いろんな物語が響いてくるはず。あなただけに開かれた物語が必ず存在しています。

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 駆け足での紹介、明日までの開催ということで、ひとりでも多くの方に届いたらと思い、エントリーしている。祝日でなくなったことは残念だけれど、足を運べる人は、ぜひぜひ。

 それぞれの作品が違う魅力を持っていることはもちろんなのだけれど、それでもひとつひとつの作品に、ふっと手を掴まれるような引力があることは確かです。

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さんかく展
2021年10月9日(土)〜11日(月)
12:00~20:00(最終日18:00まで)
川口ヱリー 茅野カヤ y

高架画廊
〒101-0044 東京都千代田区神田鍛冶町2-11-17
TEL:080-3720-1115(受付時間 11:00~19:00)


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サンキュー。綿毛と一緒に舞うような、自由な時間がありますように。
私の世界はどこまでも平ら、レイヤーの目を入れたり消したりして、時々君の前に現れよう。物語を書きます。刺繍をします。インクの子どもたちの声を聞きながら。ホームページ http://www.roverdover.com / ヘッダー画:茅野カヤ