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【透明文芸部】 タイトルの決め方

丹宗さんの下記エントリーにコメントをしていたのですが、ひとつの記事として書けそうに思ったので、部活動としての投稿。

タイトルの決め方を紹介するのは、手の内を見せるようで、少し迷ったけれど、そういうことを共有する場だと思い、そしてそれが自分の活動になんらかのよいことを与えるように思うので綴ってみます。作品紹介にもなるし、きっといいこと。

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エコー
元々は「双子のお話」という仮タイトルがついていました。ある時、ふと「エコー」という言葉が、この小説において二つの意味を持つことに気がつきました。
検査としてのエコー。こだまとしてのエコー。実態を得られなかったゆえに、反響する内側の声。とても遠いところへゆく、一日の物語です。

続編の構想があります。タイトルとロケーションは決まっています。
「ドレスコード」。舞台はパリです。

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オールトの雲
小説としては最新作となるこの物語。当初は1月から個人の雑誌を立ち上げようと思っていて、そのメインとなる小説でした。でもLINE MUSICの企画が始まったので、これは乗るべきだと思い、ローンチを早めました。
このタイトルは「市川春子作品集(1)虫と歌」の中の日下兄妹を読んでいるときに目に飛び込んできた言葉が発端となっています。

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そういえばadvantage Lucyのアルバムにもoolt cloudってあったなと思い出しました(でも、このスペル間違ってますね。oortが正しくて、もしかして他の意味があったりするのだろうか)。
オールトの雲についてはウィキペディアでどうぞ。

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マジックアワー
この作品はエブリスタへ投稿している作品です。折を見て、noteの方にも掲載するようにしたいと思っています。
マジックアワーは写真用語です。

日没前の薄明かりの時間帯は、まるで魔法(magic マジック)のように芸術的写真が撮れてしまうことからそうよばれる

ウィキペディアより。脚注に
清水博之 (2005年3月31日). “デジタルカメラの基礎知識(13)マジックタイムでアート気分?”. All About. 2014年9月19日閲覧。
より引用されているという表記があります。

カメラ女子の物語を思いつき、このタイトルにしました。いつか書く予定の前日譚・後日譚は「ブルーアワー」となります。

この物語が映画実写化される時にはエンディングはぜひこの曲で。

でも、バンドはどうなっちゃうの……?

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マーガレット,リリィ,リリィ,ローズ
こちらは今、見られないかな? 定期購読マガジンとして連載していた作品です。イギリスを舞台にして四姉妹の日常を描いた連載小説。
紹介文にこう書きました。

「Margaret,Lily,Lily,Rose」はジョン・シンガー・サージェントの絵画のタイトルを、また、毎回、冒頭に見られる詩は、マザーグースの「ばらはあかい」をそれぞれもじったものとなります。
アイキャッチの写真は、四姉妹の考える素敵なものたちを、ほしいままに並べてゆこうと思っています。

絵画の正確なタイトルは「Carnation, Lily, Lily, Rose」カーネーションという名前は違うな、と思ったのでマーガレットに変更。好きな絵、なのです。来日していた時に観られなかったので、いつか現地で観たいと願っている絵画です。

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それと、すてきななにもかも
童話集のタイトルです。紹介文がこちら。

おんなのこが主人公となり、活躍する物語を集めました。そんな理由もあって、タイトルはマザーグースの「おんなのこって なんでできてる?」の中、And all that's nice の部分からつけました。谷川俊太郎さんの訳を参考にしています。

12の童話がありますが、その中からふたつを取り上げてみます。

モリー、うしろむきに歩く
これは、実はRADWIMPSの曲を聴いていて思いついた童話です。

グラウンドゼロ - RADWIMPS

この歌に「どれだけ後ろ向きに 歩いてみても未来に向かってってしまうんだ」という歌詞があります。ああ、なるほどな、と思い、待てよ、でももし過去に戻れちゃったらどうなる? と考えたところでこの童話ができました。
描いている風景もまるで違います。でも、ある種の希望は共有できているのじゃないかって勝手に思っています。

ナターシャと星のなみだ
ナターシャは湖畔のお屋敷に療養に来ています。そこに「星のなみだ」と呼ばれる白鳥が渡ってきます。美しい白鳥なのでそう呼ばれると聞かされますが……。ナターシャは、その白鳥が「星のなみだ」と呼ばれる本当の理由を知ることができるでしょうか。

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ディクショナリー
辞書を紐解き、物語りする。寓意に満ちたふたりの友情の物語。
キーアイテムをそのままタイトルに持ってきました。

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蝶の鱗
鱗粉て、鱗という字を使うのだなあ、と思って、そこからまずはspin a yarnで短い物語を書きました。

それを短編小説に膨らませたのが「蝶の鱗」です。人魚姫は蝶になったのじゃないかと夢想しながら。
茅野カヤさんの絵を表紙に使わせていただいているのですが、それはあらかじめ備えられていたかのようにぴったりで。

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【しりとり】 くだものつみ
こちらは読むと分かります。何気にダブルミーニングです。

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アネモネダイアローグ
予告でこんな風に書いています。

ボリス・ヴィアンの「日々の泡」を下敷きとしていますが、ミシェル・ゴンドリー監督の映画「ムード・インディゴ うたかたの日々」も参照しています。「日々の泡」の映画作品です。
作品の中でも、影響を受けた創作への言及はあるので、分かるものはそちらに譲るとして、物語で明記されていない作品について、ここで明らかにしたいと思います。
それらは次のアニメ作品の場面です。
・少女革命ウテナの決闘広場。
・STAR DRIVER 輝きのタクトのゼロ時間。
つまり、この小説はバトルものです。それがうまく表現できていればいい。
そしてもうひとつ。
・交響詩篇エウレカセブンの48話「バレエ・メカニック」の冒頭。
アネモネの独白から、この小説のタイトルは生まれました。アネモネダイアローグ。ほんとは、アネモネモノローグなのだけれど、なぜかアネモネダイアローグという言葉が浮かび、花たちのかしましいおしゃべりが聞こえてきました。それで、モノローグは未草独白(スイレンモノローグ)に譲りました。

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スイレン・モノローグ
こちらは透明文芸部の前身である、透明批評会に提出した作品です。その批評を受けて改稿・改題したものとなります。

この物語は、水辺に咲くスイレン(睡蓮)がおしゃべりをし、月の光をつかまえ、旅をするという、すこし変わったお話です。

タイトルは、そのままなのですが、随分奇妙な物語ではあります。

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で、透明批評会のことが出たところで、透明文芸部の部活名の由来も分かったことと思います。丹宗さん企画による透明批評会、その新しい展開として透明文芸部があります。風通しよく居心地のいい、そんな場所(部室)になったらいいと願っています。

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ノートを常に持ち歩いているのですが、その1ページ目には必ず、今書きかけのものと、まだ書き始めていない小説や童話のタイトルを書き出します。こんな風に。

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一応、まだ伏せたいものもあります。今はだいぶ少ないですが、またノートを目一杯埋めたい。

noteに投稿している作品はまだありますが、ひとまずこの辺で。
参考になることはあったでしょうか?

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