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spin a yarn

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私の世界はどこまでも平ら、レイヤーの目を入れたり消したりして、時々君の前に現れよう。 石川葉による小さなお話の連作。
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2020年1月の記事一覧

【spin a yarn】
夜の散歩。手袋を脱ぐ。マフラーをはずす。
あたたかくて体は楽になる。
心は寂しくなる。
我儘と言う。本当に?
センチメンタルな杞憂で
いつか、とこしえの春のようになったら
戻りたくないけど、懐かしい。
なんて、屈託ない顔をしているかもしれない。

【spin a yarn】
不思議という名の主の使いがあるのだから、わたしは不思議を求めよう。
不思議を偶像としない。
不思議を通して主の栄光を賛美する。
それはあったし、これからもあるだろう。
不思議、とつぶやく時、わたしは天を仰ぐ。

【spin a yarn】
雪の歌は引き算の音楽。
そう、引くのよ。
今度、弾くのをやめて、引いてみたら。

【spin a yarn】
夢で出会った友達の名前を呼ぶ。
目を覚ます。
こあい。
涙を流していた。姿を思い出せず、ぬくもりを思い出せず、ただ名前だけが残った。
「こあい」
きっと君のことを知っていて、寂しいよ。
また遊びに来て。寂しいことを覚えているよ。君の名前を覚えているよ。

【spin a yarn】
匂いを纏いたいと思う。香水ではなく、よりナチュラルなもの。
相談をする。
ニールズヤードのがいいんじゃない?
うん、それがいい。
バレンタインギフトのリクエスト、それを見つけるデートをする。
気に入ったものに巻かれたい。一番手前のスカーフにする。

【spin a yarn】
今日も体がうまく動かない。遅刻する旨の連絡をし、ゆるゆると準備をする。長く眠ったのだけどな。胸の内でインクの子どもたちが騒いでいる。沢山、沢山の物語が心にある。それに奉仕できる人生はいつか来るだろうか。今すれば。早くしてよ。笑いながら駆け回っている。