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spin a yarn

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私の世界はどこまでも平ら、レイヤーの目を入れたり消したりして、時々君の前に現れよう。 石川葉による小さなお話の連作。
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2018年8月の記事一覧

【spin a yarn】
いつか星を詰めたラトルを君に。
まばゆく瞬く物語を確かに君に。

【spin a yarn】
ひとつ星を友にする。
思いは光よりも遅いから、おしゃべりはきっとままならない。
占わず、聴く。
瞬き、うたうのを。
友なら光の加減を見て、時には励ます。
いつか光よりも早く跳べるようになったらゆくね。
いくらか年老いた君に会いに。

【spin a yarn】
きっと君には見えないけれど、わたしのワンストラップシューズのかかとを合わせたら、星がカチリと瞬くよ。拾って欲しいわけじゃない。ただそういうことが嬉しいんだって、気づいて欲しい。君にもそんな嬉しいがあるのかな。かっこつけるのと少し違う、ご機嫌になるやつ。

【spin a yarn】
たてがみをなびかせる海馬。海のタイニーメリーゴーラウンド。
蛸のテント、上下に揺れるから、海牛のホップ、海兎のジャンプ。
墨が撒かれれば、ナイトメリーゴーラウンド。深海魚のネオンを点けて。
パレスにはほど遠い。海の街角、トラベリングメリーゴーラウンド。

【spin a yarn】
こらえきれず溢れだした涙のような雨に遭う。何かあった?
雲が首を振る。星は瞬いている。
ぼたぼたと零れ続けるから、イヤフォンを外す。家に着くまで待って、と言えずに、傘も差さず打たれる。私はね……。雨の中、ひとり言して歩く。
雲は止まる。星は瞬いている。

【spin a yarn】
ポシェットに入れておくのは、キャンディかチョコレート。絵画やクローゼットや本の中で役に立つ。
君が食べることもあるけれど、友達のしるしにあげることが多い。
もしかして、準備を忘れた君に教えてあげる。
(瞬く星の多くが、ポッピングするコットンキャンディ)

【spin a yarn】
風が騒ぐと、心は荒れた海になる。
わたしは船の底で、床をノックする。
時折、答えるものがいる。
サラワナイデ。
リンゴ50コ。
林檎箱ひと箱を、甲板から荒れる海に投げる。
真白い手を見た。
わたしは安心して揺られながら眠る。
ここは、すでにゆりかごよ。

【spin a yarn】
私は2つの高校に、合計5年通った(卒業した)。後の方は単位制の高校。私服の高校だからワンピースやスカートを履いて登校していた。さりげなく言うけれど、私は男だよ。未だ悩みの中にいる私だけど、タグを付けて投稿する。選択肢は探せばあるよ、ということだけ綴る。

【spin a yarn】
インディゴサーカス。
道化師の涙で生まれる、箱庭サーカス。
手乗りの象、蜘蛛の空中ブランコ、蚤の玉乗り。
それらみな、藍色に染まったままのインディゴサーカス。
零れた涙で天幕を張れ。
どよめきと喝采を、仮面をつけて聴け。

【spin a yarn】
うつむいても星があり、頬張れば、胸がときめく。空を仰ぐ。
繋いでみれば奥行きがあり、いつか、文字同士にもそれをつけたい。
少し怖い感じのする童話を上げたけれど、小さな友達は最後まで聞けるかな。
心の惹かれるを広くしたい。
星の嬉しい。
夜空の嬉しい。

【spin a yarn】
眠っているインクの子どもを起こす。君の出番が来たみたい。これから時間をかけておめかししましょう。
跳ねるようなリズムの楽しいやつで。そしていくらかテクニカル。
難しいことはこちらが考えるから、君は思いっきり跳ねるといいよ。
表紙の刺繍も、決めたからね。

【spin a yarn】
疲れて眠り、蜘蛛が紡いだ布団にくるまれ眠る夢を見る。
コットンを裂くようにして、間に入り眠るのだ。
そういう布団を作れる蜘蛛を飼う人と、疲れた蜘蛛を治療する人が登場する。
夜の眠りで、続きが見たいと願っている。

【spin a yarn】
昼の空の高かったこと。夜に訪れる安堵。
手術の成功を主にお伝えし、感謝する。
多くの人が祈りに覚えてくれたこと。どうか、皆さんの上に、祝福が豊かにありますように。
明日、迎えに行く。足取りの困難はあるけれど、軽いこと。
よい予感のステップにしよう。

【spin a yarn】
足の小指の骨を折り、さっちゃんは今、入院中。明日(というか今日)手術をする。成功をひたすら祈る。後のことの不安も色々あるのだけれど、今はとにかくよくなることを。昨年から続く身内の入院は6人目。友達から届く明るいことを頼りにしている。皆、元気で、と祈る。