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NPOと政治について

体当たりNPO運営記(24)2017年8月記
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今日は横浜市長選挙ですね。NPO会員の皆さんがこのメルマガを読む時には、すでに投票を終えられているか、あるいは雌雄が決しているタイミングか(もちろん横浜市民でない方もいますね)、、、それでも選挙の話題は重要だと思うので、意を決して書いてみます。

森ノオトがNPOになって5年目、この間、NPOはとても「政治的」な要素が強いなあ、と感じています。
一方で、特定非営利活動法において、NPOと政治の関わりについて、以下のように規定されています。

NPO法人は、法第2条2項2号において、その行う活動が、

(1) 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することが主たる目的とするものでないこと。
(2) 政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とするものでないこと。
(3) 特定の公職の候補者若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とするものでないこと

特定の政治主義や候補者・政治家を支持したり反対することを「主たる目的とした活動」をしてはならないとされています。内閣府のNPOホームページにおいては、(2)については主たる目的ではなければ政治活動は可能であり、(3)においてはNPOによる政治家の個人批判はその内容、時期、方法によっては規定に反するとされています。ちなみに認定NPO法人の場合は、一般のNPO法人に比べてより厳格な政治的中立が求められます。

そもそも、わたしは政治に関心があります。政治を仕事にしようと思ったことはありません。小学生のころ、ニュースを見れば政治家の汚職、贈収賄の話題ばかりで、「政治=汚いもの」というイメージが強く刷り込まれていました。両親は選挙を欠かしたことがなく、特に国政選挙の時は開票速報を見て一喜一憂するのが当たり前の風景でした。大きな権力に対して批判的な感覚があって、その幼いころの強烈な印象を社会人になっても引きずっていたなと思っています。

その感覚が変わったのは、3.11、東日本大震災と原発事故です。社会のシステムがどうつくられているのか、その源をさぐるなかで、政治と向き合わざるを得ませんでした。政治に対して市民の要望を伝えていかなければならない。そのために、地元の政治家ときちんと語り合い、橋渡しをしてもらわなければ……と、今でもNPO会員として森ノオトを支援してくださっている、当時国会議員だった山崎誠さんと一緒に、大臣を訪ね歩いた5年前の夏の日が、いまのわたしの大きな原点となっています。

わたしたちの暮らしの元、社会システムの方向性を決める、新しい仕組みをつくるのは、政治です。特に地方政治(横浜市政)は、教育、医療、毎日のごみの分別や、地域の景観、道路の利便性、家の建て方改修の仕方など、「日々の暮らし」に密着しています。システムの大きな方向性を定めるのは国政ですが、具体的な生活をどう組み立てていくのかという意味では市政への感度を高めていくことは重要です。選挙だけが自分の意志を伝えるすべではありません。実は選挙の後こそ、政治がどう動いているのかを見て社会がつくられていく仕組みに対して働きかけていく、市民として大切な時間なのかな、と思います。

身近な市議会議員が何を言って、どんな仕事をし、またなんの情報に詳しいのかを知ると、政治と社会と暮らしの関係がよくわかるようになります。森ノオトの会員にも市会議員がお二人いて、それぞれの得意・関心分野でご活躍をされています。森ノオトのリポーターでもある青木マキさんなら子育てや介護、福祉や環境の分野。餅つき王子の異名もあるほど地域を細かく回っている藤崎浩太郎さんならば、地域の課題やまちづくり、対話の場づくりやICTツールの利活用など、市政の専門家として、ご相談することもあります。

そもそも、NPOの成り立ちを考えると、公(行政)だけでは解決できない社会課題を、市民の力で解決していこうという新しい仕組みのもとで始まり、日本では1998年に成立しまだ20年の歴史です。1998年、わたしはまだ大学生で社会福祉を専攻しており、ゼミで関わっていた、寿町の日雇い労働者や、貧困や虐待で居場所のない子どもたちをケアする児童福祉施設、障がいのあるこどもやCP(脳性麻痺)者の支援をする市民団体の活動が、NPO法のなかで変わっていくのを目の当たりにしていました(2001年には全国ボランティアフェスティバルかながわが開催され、当時市民記者としてボラフェスの取材、広報活動を一手に引き受けたのは懐かしい思い出です)。

森ノオトは、グローバルに進む地球温暖化問題に対して、個々人のライフスタイルの変容を呼び起こすために、わたし自身が得意とするメディアの力を使って、啓発活動をしていこうと立ち上げたNPO法人です。目的である「環境と調和する都市生活」を実現するために、手法としてのメディアやイベント、対象としての生活者という切り口で運営していますが、その目的を達するために輪を広げていこうと、拡大解釈をしながら様々な事業をおこなっています。
特に、逼迫した行政課題が多いなかで、地球温暖化対策は優先度は高いものの緊急性が高くないと判断されがちで、対策は後回しにされがちですが、実は重要な課題であることには変わりなく、官の動きを待つばかりでなく民が率先して動いていこうという位置付けかな、と思っています。

目的を達する効果を最大化するためには、官と手を携えることは重要で、官と対立するのではなく、提案して協働していく道を模索したいので、「誰がリーダーとなっても、手を携えたいと思ってもらえるNPO」として、森ノオトは在りたいと思っています。

人口、特に生産年齢人口が減少することで税収が減少する局面下で、行政が支えきれない課題を率先して解決しようと動くNPOの存在意義はますます高まってくるでしょう。政策を読み込み、その先行く提案をできるようなNPOであるために。また、「わたしたちがやりたいこと」ばかりでなく、「受益者の真のニーズをとらえているか」を考え、市民の代弁者であるために、メディアの機能を最大限に活用しながら、多様な主体と手を携えらえる団体でありたいと思っています。

今日の横浜市長選挙、固唾を飲んで見守っています。ぜひ、NPO会員の皆さんにも、横浜市政に関心を持っていただきたいと願っています。

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