翻訳会社テクノ・プロ・ジャパン | Techno Pro Japan, Inc. | TPJ

翻訳会社テクノ・プロ・ジャパンです。 創業35年目を迎え、IT・テックをメインに、リー…

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翻訳会社テクノ・プロ・ジャパンです。 創業35年目を迎え、IT・テックをメインに、リーガル・法務、半導体、機械全般、観光、ビジネス等、さまざまなドキュメントの翻訳を手掛けています。 このnoteでは、英語や日本語を読む・書く・翻訳する方を対象に、役立つヒントを共有いたします。

マガジン

  • 翻訳技術向上

    訳し方、原文の捉え方、日本語の使い方など、英日翻訳で役立つTipsをご紹介。 シリーズではないので、気になるトピックから読めます!

  • 文章力・作文技術

    日本語の文章力・作文技術の向上に役立つ情報をご紹介しています。毎日の業務で日本語に向き合っている翻訳会社のスタッフが、気になったこと、気付いたこと、学んだことをシェア。文章本のご紹介なども。ぜひご覧ください。

  • 法務翻訳つれづれ

    こんにちは、株式会社テクノ・プロ・ジャパン法務翻訳担当です。社名からはちょっとイメージしにくいのですが、弊社の専門分野の1つに「リーガル翻訳」があります。このマガジンでは、法務系の文書を読む人、書く人、翻訳する人を対象に、法務系の翻訳に関するあれこれを書いていく予定です。よろしくお願いいたします。

  • XRの世界を探検

    「XR」とは、VR・AR・MRの総称です。VRやARはゲームやアプリでご存じの方も多いと思いますが、エンタメ以外の実用的用途でも想像以上の進化を遂げていて、立体的なホログラムや空中に浮かぶインターフェイスなど、SF映画で目にするような使われ方もすでに現実のものになりつつあります。 このシリーズでは、XRに関するさまざまな情報をわかりやすく解説します。それぞれの特徴や用途、デバイスや歴史のほか、メタバースやデジタルツインなどの主要キーワード、教育や医療などの現場での活用事例を詳しく紹介し、みなさんとワクワクを共有したいと思います。

記事一覧

訳文検討:修飾部が長すぎる訳文をブラッシュアップ

翻訳でありがちな(そして悩みがちな)問題。英文の修飾部が長すぎて、そのまま素直に訳すと冗長になり、意味がわかりづらくなってしまうこと。 そんな場合は、視点を明確…

翻訳テクニック集:修飾語句が多いときの訳し方

マーケティング系の英文では、自社サービスをアピールするために1文に多数の修飾語句が盛り込まれるケースが頻出します。日本語で文章を書くときはあまりそういうことをし…

翻訳テクニック集:視点の入れ替え

翻訳のテクニックの1つに、「原文の視点を入れ替える」というものがあります。 たとえば、IT系のドキュメントでは、システムやサービスに何らかのイベントが発生したとき…

(9)条・項・号とclause、section、paragraphその他:個人的な悩みどころ

こんにちは。テクノ・プロ・ジャパンの法務翻訳担当です。今回も「条・項・号」などについての話を続けます。前回はその基本的な使い方と、同じような場面で使われる英語表…

【セミナー開催】 申し送り入門・再入門 - 顧客に喜ばれ、成果物の品質を高める申し送りを考える

概要原文や訳文に対して付けるコメントや注釈が、「申し送り」です。翻訳作業には申し送りがつきものですが、具体的にどう書くのがよいか、悩んでしまうことはないでしょう…

(8)条・項・号とclause、section、paragraphその他:基本のはなし

こんにちは。テクノ・プロ・ジャパンの法務翻訳担当です。今回のテーマは「条・項・号」です。最近、訳文を検討しているときにふと、この問題に少なからず悩まされているこ…

翻訳者しか知らない文章本の世界

世に数多ある、文章術に関する書籍。我々翻訳会社のスタッフも、物書きの端くれとして、日々読み、学び、実践しています。 このコラムでは、その中でも特に有用と思われる…

(7)「場合」と「とき」

こんにちは。テクノ・プロ・ジャパンの法務翻訳担当です。コラムのネタ探しのために法律の条文を読んでいたら、こんな表現に出会いました。 「場合」と「とき」はどちらも…

(6)助動詞shall:義務表現を比較衡量する

こんにちは。テクノ・プロ・ジャパンの法務翻訳担当です。今回も助動詞shallについての話を続けます。 過去2回の話の内容(第4回、第5回)をまとめると、以下のとおりです…

知っておきたいXR用語:マルチモーダル

今回の記事では、「マルチモーダル」を取り上げます。2022年11月にChatGPTが公開されると、世間はChatGPTの話題で持ちきりになりました。ChatGPTのベースはGPT-3.5ですが、…

(5)助動詞shall:義務表現を求めて(「する」の検討)

こんにちは。テクノ・プロ・ジャパンの法務翻訳担当です。今回も助動詞shallについての話を続けましょう。 前回のまとめと今回のテーマ前回の話の要点をまとめると、以下…

知っておきたいXR用語:Web3・ブロックチェーン・暗号資産・NFT

今回の記事では、「Web3」「ブロックチェーン」「暗号資産」「NFT」を取り上げます。いずれも、XRと直接は関係していないのですが、2020年代に盛り上がりを見せているトピ…

XRの基礎知識 (2) VR・AR・MRはどう違う?

本記事では、VR、AR、MRという概念の違いについて解説します。VRは少し知っているけど実際に体験したことはない、ARは聞いたことがあるけどMRは初耳、という方は、どうぞ最…

XRの基礎知識 (1) XRがおもしろい!

皆さんは「VR」と聞くと、どんなものを思い浮かべますか? ヘッドマウントディスプレイを頭部に装着し、手にコントローラーを持って、仮想空間に入り込み、アバターと一体…

(4)助動詞 shall:「ものとする」で良いか

こんにちは。テクノ・プロ・ジャパンの法務翻訳担当です。今回は助動詞shallについてです。 もうはるか昔のことですが、どこかのWebサイトで「shallは義務を示すものなの…

(3)なおも接続詞の話:かなで書くか、漢字で書くか?

こんにちは、テクノ・プロ・ジャパンの法務翻訳担当です。まだまだ接続詞の話が続きます。 さて前回、「又は/若しくは」(「及び/並びに」)の話に絡んで、こんな例文を…

訳文検討:修飾部が長すぎる訳文をブラッシュアップ

翻訳でありがちな(そして悩みがちな)問題。英文の修飾部が長すぎて、そのまま素直に訳すと冗長になり、意味がわかりづらくなってしまうこと。 そんな場合は、視点を明確化して訳文の構造を整理する、修飾部に含まれる要素を減らすといったテクニックも有効です。 今回は、具体的な原文とありがちな訳例を具体的に挙げて、少しブラッシュアップしてみたいと思います。 たとえば… 「ありがちな訳の例」は、末尾の「ユーザー」に係る修飾(「システムで」から「求める」まで)が非常に長く、その修飾部に「

翻訳テクニック集:修飾語句が多いときの訳し方

マーケティング系の英文では、自社サービスをアピールするために1文に多数の修飾語句が盛り込まれるケースが頻出します。日本語で文章を書くときはあまりそういうことをしないからか、素直にそのまま訳してしまうと、冗長になったり、日本語として不自然になってしまったりと、文章の訴求力が下がってしまいます。 たとえば、これくらい修飾語句が多い文章はよく見かけます(文脈の情報として、ある特定のサービスのメリットを紹介する文章です)。こういう場合、訳文では修飾語句の順番を変え、表現を調整するテク

翻訳テクニック集:視点の入れ替え

翻訳のテクニックの1つに、「原文の視点を入れ替える」というものがあります。 たとえば、IT系のドキュメントでは、システムやサービスに何らかのイベントが発生したときに通知を送受信する機能・仕組みがよく取り上げられます。そんな中で頻出する単語が、「send」、「get」、「receive」などです。それぞれ素直に送信、取得、受信のように訳して問題ないケースも多いものの、送信元(送り手)と送信先(受け手)の視点を入れ替えて訳すと、ごく自然な日本語になることがあります。たとえば、「

(9)条・項・号とclause、section、paragraphその他:個人的な悩みどころ

こんにちは。テクノ・プロ・ジャパンの法務翻訳担当です。今回も「条・項・号」などについての話を続けます。前回はその基本的な使い方と、同じような場面で使われる英語表現をご紹介しました。そのうえで、訳す場合には、(たとえば、英日翻訳の原文が)SectionであれArticleであれ、具体的な状況に応じた語を充てていけば良いというお話をしました。今回は、私の個人的に悩んでいる点についての話をしてみたいと思います。 正統な表現と参照しやすさの対立たとえば以下の表現、具体的には「SEC

【セミナー開催】 申し送り入門・再入門 - 顧客に喜ばれ、成果物の品質を高める申し送りを考える

概要原文や訳文に対して付けるコメントや注釈が、「申し送り」です。翻訳作業には申し送りがつきものですが、具体的にどう書くのがよいか、悩んでしまうことはないでしょうか。本講座では、申し送りを「翻訳サービスの付加価値を高める手段」のひとつに位置づけ、具体例をまじえつつ、その書き方を検討・紹介していきます。 翻訳業は一種のサービス業です。純粋な翻訳の力が重要なのは当然ですが、顧客と良い関係を築き、継続的に仕事を受注できるかどうかを左右する要素は、翻訳の力だけではありません。直接的

(8)条・項・号とclause、section、paragraphその他:基本のはなし

こんにちは。テクノ・プロ・ジャパンの法務翻訳担当です。今回のテーマは「条・項・号」です。最近、訳文を検討しているときにふと、この問題に少なからず悩まされていることを思い出しました。 日本語の「条」「項」「号」、「編」「章」「節」のように、英語にも条項およびその集まりを表す言葉がいくつかあります。「article」、「clause」、「section」、「paragraph」などです。英語ではこのあたりの単語の用法が必ずしも一定していないので、たとえば「section」=「節

翻訳者しか知らない文章本の世界

世に数多ある、文章術に関する書籍。我々翻訳会社のスタッフも、物書きの端くれとして、日々読み、学び、実践しています。 このコラムでは、その中でも特に有用と思われる書籍をご紹介します。 執筆者のバックグラウンド 取り上げられている文章のタイプ 執筆者が注目しているポイント その書籍を読むと作文スキルのうちのどこを伸ばすことができるのか どういった人におすすめか 等々、要点を押さえてご紹介。読めば読むほど文章がうまくなる、かも!? 紹介者は実務翻訳者なので、「実務翻

(7)「場合」と「とき」

こんにちは。テクノ・プロ・ジャパンの法務翻訳担当です。コラムのネタ探しのために法律の条文を読んでいたら、こんな表現に出会いました。 「場合」と「とき」はどちらも条件を示す表現で、基本的には語感に応じてどちらを使ってもかまわないとされているのですが、上記条文の太字の「とき」は「場合」に変えることができません。この点がちょっと面白かったので取り上げることにしました。 「場合」と「とき」の使い分けが必要な場面さて、基本的には語感に応じてどちらを使ってもかまわないと書いた「場合」

(6)助動詞shall:義務表現を比較衡量する

こんにちは。テクノ・プロ・ジャパンの法務翻訳担当です。今回も助動詞shallについての話を続けます。 過去2回の話の内容(第4回、第5回)をまとめると、以下のとおりです。 「shall」を「ものとする」とすべしという意見には一理ある。でも、義務のshallにはもう少し義務であることがはっきりわかる表現を使いたい。 「する」は簡潔で良さそうだし、現実的にもよく見るけれども、これも周囲の内容なしで義務であることがわかるわけではない(=語句レベルでは、「ものとする」と同じく多

知っておきたいXR用語:マルチモーダル

今回の記事では、「マルチモーダル」を取り上げます。2022年11月にChatGPTが公開されると、世間はChatGPTの話題で持ちきりになりました。ChatGPTのベースはGPT-3.5ですが、2023年に入ると性能が向上したGPT-4がリリースされ、有料版のChatGPT Plusで利用できるようになりました。そのGPT-4の特徴の一つが「マルチモーダル対応」です。この記事では、そのマルチモーダルがXR分野ではどのように実装されているかを解説します。 マルチモーダルとは一

(5)助動詞shall:義務表現を求めて(「する」の検討)

こんにちは。テクノ・プロ・ジャパンの法務翻訳担当です。今回も助動詞shallについての話を続けましょう。 前回のまとめと今回のテーマ前回の話の要点をまとめると、以下のとおりです。 「shall」も「ものとする」も多義的で、その意味領域には被っている部分も少なくないので、「shall」の訳として「ものとする」を使うべしという意見には頷けるところがある。 ただ、契約書を読む目的、具体的には「どのような権利義務が書いてあるかをスムーズに把握したい」というニーズを考えると、義務

知っておきたいXR用語:Web3・ブロックチェーン・暗号資産・NFT

今回の記事では、「Web3」「ブロックチェーン」「暗号資産」「NFT」を取り上げます。いずれも、XRと直接は関係していないのですが、2020年代に盛り上がりを見せているトピックとして一緒に論じられることがよくありますし、今後は相互の関連性がますます深まっていくと予想されますので、この機会に基礎知識を身につけておいて損はないでしょう。 まずは「Web3」から。「Web3」はシンプルに表現するなら「Webの利用法レベル3」です。3とありますので、1と2もあったはずです。Web3

XRの基礎知識 (2) VR・AR・MRはどう違う?

本記事では、VR、AR、MRという概念の違いについて解説します。VRは少し知っているけど実際に体験したことはない、ARは聞いたことがあるけどMRは初耳、という方は、どうぞ最後までお付き合いください。特に、MRは筆者が最注目している技術です。 VRとはVRは、Virtual Realityの略で、「仮想現実」と訳されます。 仮想空間を楽しむゲームやサービスは、かなり以前からさまざまな呼称で提供されてきたので、どんなものか思い浮かべやすいのではないでしょうか。1990年代には

XRの基礎知識 (1) XRがおもしろい!

皆さんは「VR」と聞くと、どんなものを思い浮かべますか? ヘッドマウントディスプレイを頭部に装着し、手にコントローラーを持って、仮想空間に入り込み、アバターと一体化して遊ぶ光景でしょうか。 実はそれ、もはや最先端ではないんです。もちろん、そういう遊びとしての活用例は現在も豊富にあり、増加・進化しつづけていますが、それだけにとどまりません。 たとえば、現実そっくりの仮想空間を作り上げて、その中で研修医やパイロット候補生、危険物取り扱い作業員がヘッドマウントディスプレイと触覚

(4)助動詞 shall:「ものとする」で良いか

こんにちは。テクノ・プロ・ジャパンの法務翻訳担当です。今回は助動詞shallについてです。 もうはるか昔のことですが、どこかのWebサイトで「shallは義務を示すものなので、必ず『ものとする』と訳す」といったようなことが書いてあるのを見たことがあります。そこまで極端なのはまれだとしても、「ものとする」をshallの訳の1つに挙げている例は、本稿執筆現在でもそれなりに見受けられます。また、実際の法務文書の対訳でも、shallがある箇所にもれなく「ものとする」が使われているの

(3)なおも接続詞の話:かなで書くか、漢字で書くか?

こんにちは、テクノ・プロ・ジャパンの法務翻訳担当です。まだまだ接続詞の話が続きます。 さて前回、「又は/若しくは」(「及び/並びに」)の話に絡んで、こんな例文をお見せしました。「あるいは」以外で、どこか気になる点はありませんでしたでしょうか。 はい、「接続詞を漢字で書いていない」という問題です。それまでさんざん漢字で書いてきておいて、なぜこの例文だけひらがなだったのか。それは、翻訳実務では往々にして接続詞をひらがなで表記しているからです。「翻訳実務ではときおり『あるいは』