ヤンデレvsツンデレ4
言い争う二人を見ていると、講義の時間が迫っていることに気が付いた。
「千歳さん、旭! 講義の時間迫ってる! 」
そう言って学校へと急いだ。遅刻はしなかったが、講義を受けている間は千歳さんが旭についた噓をどうしようか悩んでいた。そんなことを考えているうちに一日が終わり、帰る時間になった。外に出ると雨が降り始めていた。
「今日に限って傘忘れたし、どうしよう」
旭が学校のエントランスでそんなことをつぶやいていた。
「旭どうしたんだ? 」
「あっ……先輩、傘忘れちゃって帰れなくて」
「俺の貸してやろうか?」
「いいんすか?あっ、でも先輩オタクだから、変なの使ってそう」
「なわけあるか、お前も見たことある普通の黒いやつだよ」
「じゃあ借りますってか先輩も一緒に帰ればいいんすよそしたら濡れないし」
まあそれくらいならいいのかなと思いその案に乗っかることにした
「じゃあ一緒に帰るか」
「先輩、彼女いるのに私みたいな可愛い女の子と帰れて幸せですね」
「彼女じゃないよあれは八雲さんが言ってるだけだから」
「そうなんすか? 」
「そうだよ、っと家着いたけど上がってくか? お茶くらいしかだせないけど」
「じゃあお言葉に甘えてお邪魔します」
そんな感じで旭を家に上げて数分後、ガチャ、という音と共に八雲さんが入ってきた。
「北斗君♡ただいま♡ってなんでその女がいるのよ!」
「雨降っててそのまんま帰らせるのも申し訳ないから上がってもらったんだよ」
「なんでなんでなんで……」
と初めて彼女の本性が分かった日のように同じ言葉を何度も紡いでいた。
「あの、千歳さん? 先輩怯えてるんでやめてあげてください」
「うるさい! この泥棒猫! 」
「そもそも先輩はあんただけのもんじゃないんすよ! 」
「うるさい! 北斗君は私だけのものよ! 」
「じゃあ先輩本人に聞いてみたらどうっすか今がつらくないか」
「どうなの? 北斗君」
「俺は……正直……辛い……縛られたくない……」
そう言い切って八雲さんと旭のほうを向くと八雲さんが真っ青な顔をしていた。
「そ……そんな……」
ガクッと八雲さんが膝をついた。少しすると立ち上がり、キッチンの方へ行った。俺は嫌な予感がして身構えた。
「貴女が北斗君を唆したのね? じゃあ貴女を殺せば北斗君が私のものに」
そう言って包丁を持って旭の方へ走っていった。間に合え!そう思いながら旭のもとへ走った。間一髪旭が刺されることはなかったが、
「グッ……」
俺の背中に深々と包丁が刺さった。
「北斗君なんで……」
と、八雲さんが放心状態になっていた。
「先輩なんでっすかなんでアタシなんかをかばって……」
旭のその問いに答えることができず、俺は意識を落とした。
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