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バイオテクノロジーの技術

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記事一覧

歯生え薬

歯生え薬

京大発スタートアップ企業は、歯を生やす抗体医薬品の臨床試験(治験)に乗り出す。

開発を目指す歯生え薬は、あごの骨の中にある歯の「芽」に作用して本来の成長を促す仕組みだ。実は永久歯が生えた大人のあごの骨の中にもさらに歯を生やすための「芽」が存在するとされている。将来は虫歯などで後天的に歯を失った人にも使える薬を目指すという。

『参考資料』

https://www.kyoto-unicap.co

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植物にも『ビニルビン』

植物にも『ビニルビン』

動物には、酸素を運ぶヘモグロビンなどの酵素によって分解され、『ビリルビン』という成分が作られる。植物は動物と同じ酵素が働いていないため、ビリルビンは作られないと考えられていた。

しかし、研究によると動物の酵素とは異なる別の仕組みで、ビリルビンが生成されていることが分かった。そして、ビリルビンの働きを詳しく調べたところ、光合成の効率低下の原因となる酸化ストレスを低減していることも分かった。

今後

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ベートーヴェンの死因を毛髪のDNAから推理

ベートーヴェンの死因を毛髪のDNAから推理

ベートーヴェンは誰もが知る作曲家です。ベートーヴェンは生涯を通じて病気に悩まされました。進行性の難聴になって45歳までに音が聞こえなくなり、胃腸や肝臓の病気にも悩まされていました。1827年3月26日、病気により56歳で亡くなりました。

このほど、ケンブリッジ大学などの研究グループは、ベートーヴェンの血縁者や収集家が保管していた数本の毛髪について遺伝情報を調べました。それにより、ベートーヴェンが

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植物の成長を抑制する

植物の成長を抑制する

九州大学などの研究チームは、植物の成長を抑える新しい物質を開発した。この物質を植物が吸収すると、根が浅く張るようになり、水や栄養分の摂取量が減り、生育状態が悪くなるという。

多くの植物の根は本来、重力方向に沿って伸びていく。今回開発した物質を与えると、根が伸びる方向がかく乱され、浅く張るようになる。重力を感知するのに関わる植物ホルモン「オーキシン」の流れが根の中で変わり、伸びる方向が混乱するとみ

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アレルギー物質を減らした卵

アレルギー物質を減らした卵

卵のアレルギー物質は複数あり、このうちオボムコイドという成分だけは加熱してもアレルギーを起こす性質が残る。卵アレルギーの人でも食べられる卵を作るには、オボムコイドを何らかの方法で取り除く必要があった。

広島大では、独自で開発したゲノム編集技術を使って作り出したニワトリから、食物アレルギーの原因となる特定のたんぱく質が含まれない卵を産ませることに成功した。遺伝子を変化させるゲノム(全遺伝情報)編集

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神経を3Dプリンターでつなぐ

神経を3Dプリンターでつなぐ

京都大病院は、細胞を材料にして立体的な組織をつくる「バイオ3Dプリンター」を使い、細い管を作製、手の指などの神経を損傷した患者3人に移植する治験を実施し、神経の再生を確認したと発表した。副作用や合併症はないという。

治験に参加した3人は、けがで手の指や手首付近の神経を損傷した30〜50代の男性。患者の腹部の皮膚から細胞を採取し、3Dプリンターで約6週間培養するなどし、直径約2ミリ、長さ約2センチ

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3Dプリンターで血管模型を作る

3Dプリンターで血管模型を作る

北海道大学の研究チームは、3Dプリンターを使って本物に近い血管模型を作る技術を開発した。

患者ごとに複雑な血管の模型を簡単に作れるため、手術の前に血管模型を使って訓練し、手術の精度を高められる。また、チームで情報共有をするのにも有効だ。

『参考資料』

https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/230412_pr.pdf

2028年までにマンモスの子どもをよみがえらせる

2028年までにマンモスの子どもをよみがえらせる

米バイオスタートアップ企業のコロッサル・バイオサイエンスは、絶滅した動物の復活や新たな亜種を生み出す「脱絶滅」事業をめざす。

絶滅種のDNAを解読し、それと近い現代種に遺伝子操作を加えるなどしてよみがえらせる。

最初に注目されているのは、マンモスの復活だ。マンモスの場合、現代のアジアゾウとDNAが99.6%一致し、代理出産が可能だという。

映画「ジュラシック・パーク」では、恐竜を現代に復活さ

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微生物で洋服を作る

微生物で洋服を作る

「生物由来の材料だけで物作りができれば資源を循環させやすい」このような考え方のもと、慶應大学発ベンチャー企業が微生物の力をかりた洋服素材作りに乗り出した。

繊維に必要なタンパク質を微生物に作り出させるために、遺伝子の特性をDNAレベルで研究し、効率良くたんぱく質を作るためにDNAを組み込む微生物の選定や、その培養方法、たんぱく質の最適な精製方法、紡糸の際の最適な加工条件など様々な過程の研究がされ

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キャベツの芯が新食材に

キャベツの芯が新食材に

キャベツの芯を細かく粉砕し、葉の部分を乾燥させて粉末状にしたペーストと混ぜる。これを食品用の3Dプリンターに使われる細いノズルから押し出すと、ちぎれることなく棒状の成形物が得られる。

芯はキャベツ全体の重量の15%程度を占め、カット野菜を製造する工場などから大量に排出される。

食品ロスの削減、無駄をなくす観点から、新技術と合わせた食べ物が創造されるのはとても興味深い

『参考資料』

http

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サンゴの人工産卵

サンゴの人工産卵

地球上の全海洋面積のうち、サンゴ礁が占める割合は世界の0.2%程度にすぎない一方で、そこには約9万3000種(海洋生物種の25%程度)の生物が生息している。サンゴは生き物のすみかなのだ。

これまで水槽の中でサンゴの産卵をコントロールすることは困難だったが、東京大学発のベンチャー企業が沖縄の海の状態をそのまま水槽の中で再現する制御システムを研究し、水槽内で産卵させることに成功した。

さらに研究が

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二酸化炭素から食品を作る細菌

二酸化炭素から食品を作る細菌

世の中には奇妙な生き物がいるものだ

二酸化炭素(CO2)からたんぱく質や化学品を生み出す「水素細菌」の研究が進んでいる。この細菌は、水素をエネルギー源にCO2を有機物に変換、さらに加工すると食品やプラスチック製品、バイオ燃料などをつくることができるという。

『参考資料』

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC09BGL0Z00C21A9000000/

微生物がレアアースを回収

微生物がレアアースを回収

使用済みの電子機器や家電から、レアアースなどの有用な金属を取り出して再利用できれば、日本は豊富な「都市鉱山」を持つことになる。

日本の海で採集した「マリクロマチウム属」と呼ぶ細菌は、ガリウムやインジウムなどの貴重な半導体材料を集める習性がある。さらに取り込んだ材料を結晶化して体外に塊として排出してくれる。

人工的に半導体の結晶化を行うには、高温の環境を作り出す大規模な装置が必要になり、稼動する

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細胞培養コーヒー

細胞培養コーヒー



(焙煎された培養コーヒー。フィンランド技術研究センターで2021年10月25日撮影)

このコーヒーは豆からひいたものではなく、温度・光・酸素の量を厳密に管理された装置の中で、コーヒーノキの細胞から培養して作り出された、培養コーヒーだ。

(コーヒーノキ)

培養後は焙煎(ばいせん)し、通常のコーヒーと全く同じ方法でコーヒーを入れることができる。
今後は、培養されたコーヒーを飲むことになるかも

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