![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/164397504/rectangle_large_type_2_d848d8e67ce64d670477aa6c88820884.jpeg?width=1200)
「かんたん」をデザインする -「かんたん」の源泉を探り実現する方法-
Tebiki株式会社でデザインマネージャーをしている鮫島です。 私たちが提供しているデスクレスワーカーのための現場向けSaaS「tebiki現場教育」と「tebiki現場分析」は、作成、分析、共有といった異なるプロセスを一元化するために多機能化していきました。しかし、提供する高度な機能がユーザーにとって使いこなしにくいものでは意味がありません。ユーザーに求められるのは、これらの複雑な機能を直感的で「かんたん」に操作できることです。
「かんたん」であることは多くのデジタルプロダクトにとって重要な価値ですが、その感覚は主観的であり、プロダクトを提供する側が無策でユーザーにとっての「かんたん」を定義することは困難です。
この記事では、「かんたん」の本質を探り、ユーザーが直感的に操作できるプロダクトをどのように実現するかを弊社の事例と合わせてご紹介します。
「かんたん」の源泉
「かんたん」と感じる(評価されている)プロダクトには、「見た目」、「操作性」、「感覚」の3つの要素それぞれに共通点があると考えています。
見た目のかんたんさ
視覚的デザインは、ユーザーがプロダクトに最初に触れる要素です。UI要素の配置の一貫性を保ち、情報をグルーピングすることでユーザーが一目で内容を理解し、迷わず次の行動に移れる状態を作ることが求められます。
操作性のかんたんさ
「かんたん」を実感させるためには、実際の操作がスムーズで、ユーザーが努力することなく直感的に使えることが重要です。この使いやすさの追求はプロダクト作りの核心的な課題であり、成功を収めたプロダクトの多くは、徹底的なユーザビリティテストを実施しています。
感覚的なかんたんさ
見た目や操作性に加え、ユーザーが使った際に感じる心地よさや安心感にも深く関係しています。現実社会の物理的な挙動を再現することや、的確でユーザーを支援するフィードバックや、印象の良いメッセージングなどによって醸成される「このプロダクトを使うと気持ちが上がる」という感覚的な部分が「かんたん」さを支えています。
これらの要素をまとめるとユーザーが初めて触れるものであっても、すぐに理解し、操作できる直感性や予測のしやすさが備わっていることが重要です。 私は、この直感性の鍵を握るのが既視感だと考えています。
例えば、旅行先で初めて降り立った駅では、周囲の風景が見慣れず、どの道を進めばよいか不安に感じることがあります。目的地までの道のりが想像できず、心細さを覚える瞬間です。一方、普段利用する最寄り駅や沿線の駅では、目に入る道や建物の先に何があるかを把握しているため、こうした不安は生じません。
![](https://assets.st-note.com/img/1733281148-kN10owzE4xR6YmZO7BVXuyg5.jpg?width=1200)
既視感とは、過去の経験や知識を基に、新しい状況を既知のものと感じる心理的な感覚を指します。プロダクトデザインにおいて既視感を抱き、予測のしやすさを意識し設計することで、ユーザーは新しい体験を「知らないもの」ではなく「知っているもの」として受け入れることができます。
これにより、学習コストを下げ、複雑な操作を「かんたん」と感じさせることが可能になります。 つまり「かんたん」の本質は、ユーザーの既存のメンタルモデルや経験と調和したデザインにあり、複雑な機能を直感的に理解できる形で提示し、見たことがあるように感じ、振る舞いを予測しやすくすることが、「かんたん」を実現する鍵だと考えています。
ユーザーが持つ既存のメンタルモデルや経験をどのように把握し活用するか
「かんたん」を実現するには、ユーザーが持つ既存のメンタルモデルや経験を把握し、これを適切に設計に取り入れることが重要です。そのためには、ユーザーについて深く理解する必要があります。
B向けのプロダクトでは、以下のような情報を把握する必要があります。
ユーザー組織が属する業界とその課題
ユーザー組織の構造
意思決定者や導入推進者、その他の利用ユーザーの役割と業務内容、使用デバイスとその利用状況
提供する機能に関連する実際の業務フローと課題
業界・組織・人・業務といった4つの情報をもとにユーザーの期待や経験を深く理解することで、デザインプロセスにおける判断基準が明確になります。
認知負荷を下げるための一貫性を保つことや、最短でアクションを実行できるといったUI設計のセオリーを考慮しながら、どちらが私たちのユーザーにとって馴染みがあるかという視点で意思決定することでユーザーにとってより「かんたん」な見た目や操作性を実現することができます。
Tebiki社の事例
弊社のプロダクト開発では、Sales/CS が商談や定例会議で収集したユーザーからの課題や要望、ユースケースをPOが整理(抽象化や重み付け)し、それをもとに開発者が設計を進めていきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1733281148-Q8beq6GJ5gpHmczACdPYxB0o.png?width=1200)
しかし、デザイナーが作成した画面をチームに共有する際、評価基準や判断基準が十分に明確化されていないこともあり(課題を解消しているか、ユースケースから逸脱していないという明確な判断基準は元々存在していました)、フィードバックのばらつきが発生し意見が割れ、結果としてスムーズな合意形成が難しくなる場合が稀に発生していました。
この意志決定の判断基準がないという課題は、組織がスケールし、作り手が増えていく中でやがて大きく膨らむであろう、という認識がデザイナーの間で次第に強くなっていきました。そこで、普段から各々が大事にしている「かんたん」さへのこだわりを込めた、ルールや決め事ではなく、共通した思想や価値観を明文化し、プロダクトデザイン原則を策定しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1733281148-QGN7t3SlAfMJZ6zRnCreB4LP.png?width=1200)
ユーザーが直感的に操作でき、理解できるかという点は日々のデザイン作業やスプリントレビューでフィードバックを通じ考慮されていましたが、明文化し原則として定めたことで、これまで以上に意志決定がスムーズになり、ユーザーに「かんたん」なプロダクトを提供し続けられると考えています。
また、最近はCSメンバーへのユーザービリティテストの実施や、CS顧客定例に参加し直接アウトプットのフィードバックを受けるといった機会を設けることで、高い解像度でユーザーにとっての「かんたん」を実現する取り組みも強化しています。
まとめ
プロダクトを「かんたん」と感じてもらうには、ユーザーにとって馴染みのある、見た目、操作感、感覚を追求することが重要です。これらを実現するためには、ユーザーを深く理解し、直感的に使えるデザインを構築することが重要です。
私たちが明文化したプロダクトデザイン原則もまた、「かんたん」を実現するための共通思想を反映しています。この原則を軸に、これからもユーザーにとっての「かんたん」にこだわったデザインを追求していきたいと思います。
Tebiki社では一緒に働く仲間を募集してます!
私たちは「現場の未来を切り拓く」をミッションに、日本の現場産業を一緒に盛り上げるデザイナーを募集しています!弊社のデザイン組織の取り組みや考えに共感していただける方、ぜひカジュアルにお話ししましょう!
募集中のデザイナー求人一覧
https://herp.careers/v1/tebiki/requisition-groups/b97e3e63-78e5-4562-9204-8c8455363d13