20181218_青砥さん-2

幸せに気づき、味わえる人がより幸せになれる(Team WAA! 青砥瑞人氏イベントレポート)

12月のTeam WAA!のトークセッションは、DAncing Einstein 代表青砥 瑞人氏が『Happyと脳科学』をテーマにお話されました。

はじめに

青砥さんの会社名、DAncing EinsteinのはじめはDAとなっています。DAといえばドーパミンのことですよね、と青砥さん。
ドーパミンは、人がワクワクしている時や好奇心を持っている時に出やすい脳の中の神経伝達物質と言われています。

私は大きく3つ  I(アイ)をつなげて研究開発しています。
1.人工知能(AI)
2.生物学的な知能 (BI)
3.リアルアイ(リアルインテリジェンス、RI)

脳はあるものを、在るようには知覚していない!!

ここで青砥さんが「画面の中央の黒い点に意識を集中。そこに意識を集中してもらっていいですか。」と話しました。参加者が注目しました。
画面を切り替りかわる瞬間に黒色がカラーに見えました。
白黒のものを画像が切り替わる瞬間、脳はカラーと認識するのです。
人間の脳は細胞・分子レベルで感知の仕組みを持っていますと青砥さん。

上の2つの写真のルービックキューブの前面の茶色は見た目は違うが、実際は同じです。
これは立体で影になって暗めになるから明るめに見ようと脳が働くためです。脳を含む神経系の反応の仕方として、あるものを在るようには知覚していないといえるのです。

脳神経科学の研究テーマにHappyはない

今日はHappyというテーマですが、脳神経科学はHappyというテーマをダイレクトには取り扱っていません。全部は解明されていないにしてもヒントはないか探してきたことを、今日の持ち時間の中でお話しします。

Happyを感じる時はいろいろな場面があります。

脳神経科学は人間の感情、情動を細胞・分子レベルでとらえています。
脳の解剖学的な位置の違いや、脳の活動に伴い放出される化学物質、ベータエンドルフィン、ドーパミン、セロトニン、オキシトシン、これらの物質が複合的に絡み合って幸せな状態にしてくれる。複合要素なので、多様な幸せのあり方があるわけです。
脳からみるHappyは、ポジティブ情動を引き起こす体内環境変化の総称です。つまり集合体・集合的要素と言えます。
Happyのあり方は人によって異なるのは、脳神経の観点からも言えます。
神経細胞に書き込まれている記憶情報は一人ひとり違う。その違いがハピネスのあり方・幸せのあり方の違いにおそらくつながっているのです。

脳神経科学上のHappyとは

Happyの知覚も、あるものを在るようには知覚しておらず、
脳が反応するように知覚しています。
コーヒーを片手にもって、Happyを感じる人がいましたが全員がそう感じるわけではありません。
脳のフィルターを通して、コーヒーがHappyに感じる人とそうでない人がいます。
Happyはどこかにあるのではなくて、一人ひとりの脳のフィルターと脳のメモリーの在りようのことなんだなと考えています。 

フィルターというのは注意(Attention)の仕組みと考えています。
どういったところに注意を向けるかです。

メモリー、記憶について、今日は2つだけ紹介します。
ひとつはエピソード記憶で、海馬に保存される記憶です。
もう一つは海馬と解剖学的につながっている扁桃体(へんどうたい)で、感情記憶を保存します。
この2つが大きくハピネスに影響していることが、調べているうちにわかってきました。

Happyってどこにあるのでしょうか。
目を閉じて、Happyなことを思い出してくださいと言われてたらHappyな状態になるものです。
青砥さんの場合、一番つらかった高校中退後、UCLAに合格がわかるまでのことを思い出すと、今でもハッピーな気持ちになるそうです。
ハピネスというのは、内側に自分の注意の向け方いかんではいつでもつくることができるものでもあるのです。

脳は1000分の1以下の情報しかプロセスできていない

ここでテストです。次の動画を見て、気が付いた点を教えてください。

実は21の珍事が起こっているのですが、そこまで気が付いた方はなかなかいないのではないでしょうか。

情報の取捨選択といいますが、脳は情報を取り入れているだけではなく、入れないようにもしているのです。
我々の脳は入りうる情報の1000分の1以下しか情報をプロセスできていないと言われています。注意をして意識を向けることがいかに大事かがわかります。

Happy Detectionは意識しないとできない

前頭前皮質(ぜんとうぜんひしつ、英: prefrontal cortex, PFC)の
前頭前皮質の少し内側にあるACC すなわち前帯状皮質(ぜんたいじょうひしつ、英: Anterior cingulate cortex , ACC)は、Error Detection(エラー検出)として役に立っています。
差分(足りない/欠けている)には脳が意識しやすいですが、そこにばかり意識がいくとストレスになってしまいます。

10のうち9できた時に、なんとなくできていない1に意識がいってしまう。でも9できたことに意識的に注意を向けることがとても大事です。Error Detectionの脳の部位はACC。Error Detectionは自動操縦に近いので鍛えやすいが、Happy Detectionは差分がない部分(できた/満たした部分)なので、意識を向けないとできません。Happy Detectionは自動操縦でなく、かつそのために特化した脳部位はありません。よって、例えば部下の足りない点を指摘できる脳より、それにも気づいてあげられるけれど、できた部分にもしっかり見てくれる上司の方が、脳としては高度な使い方と言えるでしょう。ついて行きたい上司は、当然、足りないところだけでなく、足りた部分も見てくれる人ではないでしょうか?

こどものGrowth Mindset

脳神経科学の観点から教育を設計しているところのサンプルとしてとりあげました。
できないことをできるようにするためのファーストアクションは、ちゃんとできているところを意識しましょうということ。できる部分をいくつも見てから、できない部分についてもこれからできるようになるぞと考えることが大切です。
このことは子どもだけでなく、大人にとっても同じことが言えます。

脳の3つのネットワーク

これまでACCについてみてきましたが、後帯状皮質(こうたいじょうひしつ、Posterior cingulate cortex)も重要です。
PCCが海馬や扁桃体と接続していて、PCCはデフォルトモードネットワークの中枢でもあるからです。

脳のネットワークは、スライドの青・赤・黄の3つがあります。

青:本を読んでいる時に知らない間にほかのことを考えるというマインドワンダリングをしたりする時に発露しているネットワーク。
赤:自分で意識的に注意を向けたり、思考をしてみるのはエグゼクティブモード。
トップダウン注意を使うものはセントラル  エグゼクティブ  ネットワーク。
セミナーの後に学んだことによって意識が変わるのは、セントラル  エグゼクティブ  ネットワーク。

ただ、セントラル エグゼクティブ ネットワークだけでなく、デフォルトモードもともに変わらないと本当の意味でHappyに変わったことにはなりません。デフォルトモードでHappyをDetectionするためには、最初はセントラルエグゼクティブモードで意識的にHappy Detectionし、それが何回も何回も繰り返され習慣化されると、デフォルトモードでHappy Detectionが作用しやすくなると言えるでしょう。
本当にポジティブ思考をするためには、中に入っているメモリをちょっとずつ書き換えることが必要です。

黄:Salience network
気づき(awareness)の回路と言われています。
内側の内部環境の情報を知らせてくれます。

Happyを感じる仕組み

ハッピーを感じる仕組みは、脳フィルターから幸せに気づき、脳メモリーから幸せを味わっていくことから始まります。具体的にはこのようになります。ポジティブな体験を味わうのが大切なのです。

人の脳は当たり前を情報処理しません。
青砥さんは当たり前だと思っているHappyなことにもしっかり目を向けて味わうことがHappyになるためには大切と話されて、お話を締めくくられました。

最後に島田由香さんからこういう感想が述べられました。
ポジティブ心理学との関係で、ポジティブな体験を増やしていくということはパワフルなことだと思いました。
Growth Mindsetに関連しては、フィードバックは3ついいフィードバックしたら、ネガティブなフィードバックが1つと言われているのとも関係あるのかなと、すごく面白いなと思って聞いていました。
どんなことにも幸せはあるし、どんな状況でも本当はそうできますよね。

***

2018年最後のマンスリーセッションということで、ゲストによるお話の時間がコンパクトになってしまったなかでも、濃密なお話をしていただきました。
青砥さん、ありがとうございました。

***

このあとアワードの発表や懇親会もあり、1年を締めくくるのにふさわしい盛り上がりのなか、終了しました。

カエルンさんのグラレコで、全体を振り返ることができます。

12月のセッションが好評だったため、3月のセッションにまた青砥さんにお越しいただけることになりました。
お申込みはこちらから。
2019/03/15 (金)
「Well-beingと脳科学」

登壇者プロフィール
青砥瑞人(あおと・みずと)

島田 由香(しまだ・ゆか)1996年慶応義塾大学卒業後、株式会社パソナ入社。2002年米国ニューヨーク州コロンビア大学大学院にて組織心理学修士取得、日本GE(ゼネラル・エレクトリック)にて人事マネジャーを経験。2008年ユニリーバ入社後、R&D、マーケティング、営業部門のHRパートナー、リーダーシップ開発マネジャー、HRダイレクターを経て2013年4月取締役人事本部長就任。その後2014年4月取締役人事総務本部長就任、現在に至る。学生時代からモチベーションに関心を持ち、キャリアは一貫して人・組織にかかわる。米国NLP協会マスタープラクティショナー、マインドフルネスNLPトレーナー。日本の人事部HRアワード2016 個人の部・最優秀賞受賞。中学2年生の息子を持つ一児の母親。

文:宮崎恵美子
(Team WAA!プロモーションチーム)

***

🔹2019年度 Team WAA!マンスリーセッション日程
*やむを得ず、日程の変更を行う場合もございます。
*8月開催なし。7月にスペシャルイベント予定。
1月18日 金(初の大阪開催!)
2月18日 月
3月15日 金
4月18日 木
5月15日 水
6月    調整中
7月20日 土:WAA FES / キングダムカンファレンス
9月18日 水
10月15日 火
11月15日 金
12月18日 水
よろしくお願いします!
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