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「別に普通だし、いつもそうしとるし。」

平凡な人生に、突き刺さったことばたち⑨

平凡なサラリーマンの私にも、人生の中に、忘れられない強烈な言葉たちがある。それを、エピソードと共に書いていくnoteです。書き溜められたら、記念の本にしよう。


【別に普通だし、いつもそうしとるし】

高校生の頃、テスト前になると、友達みんなで集まってテスト勉強をしていた。
その日は6.7人で集まって、図書館で午前中みっちり勉強をして、お昼になり、何か食べようということになり、マクドナルドへ行った。

みんなが色々なセットを注文する中、おちゃらけキャラのSがいきなり
「ハンバーガー10個とー。」
と言い出した。
みんな口々に
「そんな食べれんだろ!」
「ウケ狙うなよ!」
「変な事すんな!」
とツッコミを入れる。
しかしSはいかにもそれが当たり前かのように

「は? いつもそうしとるし。別に普通だし。」

と言ってのけて、結局ハンバーガー10個に水という訳の分からない注文をした。

「セットとかよりもハンバーガー10個の方が腹膨れて得になるし。」
絶対にウケ狙いでやった注文なのに、理由付けをして注文をまかり通そうとするS。確かに、ウケるためにはここで貫かないといけない。
Sが言う事はあながち間違いではなく、この頃のハンバーガー1個の値段は結構安かったと思う。ネットで調べると、100円をきっているようなので、10個頼んでも1,000円はいかない。それでもセットよりは高いが…。

トレーにハンバーガーが10個乗せられてきて、みんな大ウケになる。

「いやチーズバーガーとか混ぜろよ。」
「てか水て。」
「絶対飽きるだろ。」
またツッコミが入って場が盛り上がる。高校生のバカなノリ。
「いや単純にハンバーガーの味好きだし。」

そしておもむろにハンバーガーを口な運ぶS。
みんなは各々セットのポテトやバーガーを頬張る。
5個目くらいになると、ペースダウンしてきて、もうSだけが食べている状態になった。
ふーっ、と息を吐いて、頬杖をつくS。
「早よ食えよ!」
「味が好き言うてたやん!」

「何か、今日調子悪りぃ。」
「半分しか食べてねーじゃねーか!」
「いつもそうしとるってもう嘘やん!」

ふーっ。

仕方がないのでみんなでSのハンバーガーを食べようと手を出すと
「まだ食べるし! ちょっと休憩挟んだだけだし!」
「時間もったいねーだろ!」

なんだかんだ盛り上がりつつ、結局食べきれない分はカバンに入れてまた午後の休憩に食べると言ってハンバーガーはいつも10個頼みますというスタンスを貫いたS。

大人になってこんな事をしてもウケないし、高校生の時の楽しい思い出。
今もマックに行くと時々思い出す。バカなノリって、人生でめっちゃ大事だと思う。あの時の大笑いって、めっちゃ大事。

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