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食卓では、必ず指導者の話は出ている

こんにちは。Team TAIBO 広報Tです。

今回は、東京都で高校野球の監督をされている方へ取材をしました。テーマは、監督への批判です。指導者の批判は控えてもらうように伝えても、食卓では話題にのぼるもの。批判されないような取り組みと、保護者への働きかけについてまとめました。ご覧いただけると幸いです。

チーム名:東京都高校野球連盟所属
監督:Y監督
運営歴:30年
活動歴:夏の甲子園ベスト16

活動の様子

食卓で野球の話が話題にのぼると、指導者への批判も含まれがち。だから批判されないように、いかに工夫していくかが鍵になる。選手に言っていることを保護者にも聞こえるように大声で伝えたり、保護者に逆攻勢をかけたり。様々なやり方で信頼を集めるようにしている。保護者にとっては、活動中、監督が選手とどういう風に関わっているかが心配の種となっていることが多く、それを見せるための方策が上記のような方法です。

新人監督へのアドバイス

少年野球や中学野球では、保護者に対して「指導者の文句を自宅で言わないでほしい」と念を押すことがある。指導者への批判を子どもが耳にすると、指導者の言うことを聞かなくなる可能性があるからだ。子どもが指導者の発言にまったく聞く態度を示さなかったり、聞いているふりをしたりする場合もある。

言うことを聞かなくなるのはチームにとってきつい。掛け算でチーム力が上がっていく計算が、マイナスの要素が生まれることで、同じ方向にチームが向かっていかない。

監督の指導・発言は、その先の野球人生で重要なことが多い。考え方、受け取り方の違いから、批判されることもあるが、本質的な部分ではそこまで的外れなことは言っていないように思う。長年野球をしてきたからこそ、伝えられることもある。言われたことを続ければ伸びるのに、聞かないがために、せっかくの成長の機会を失うことにもつながる。

親のポロっと出た発言により、監督が子どもからの信頼を失い、成長に影響する……。これを人生の一つと割り切るのは切ない。あの失敗があったから、今があり、今の指導者に出会えた、といった人生の巡りあわせも確かに存在する。でもあの時に順調に進んでいたら、もっと良い出会いがあった可能性もあるのだ。

以前、水を得た魚のように監督の指導を受け入れる選手がいた。その選手は、小学校低学年の時に、いい指導者に野球の基礎をしっかりと教わった。しかし中学年から高学年にかけて、その指導者が退任。しっかりと教わらずに6年生になった。そこに優れた野球指導を行う監督が加わり、言われたことを素直に反復練習したところ、半年間で飛躍的に成長したのだ。その監督は、保護者からの批判がなく、選手もついていき良いチームとなった。

でも、一部であっても選手の保護者から批判が出始めると、その選手の成長曲線の角度は緩くなりがちである。そして、その選手のプレーがチームの敗北の原因になってしまうことも。だからこそチームが勝つために、批判をしない体制作りが必要なのだ。

どこの地域でも見渡せば、30年以上のベテラン指導者はいる。その人達は子どもの扱いが上手い。子どもを可愛がってくれているなと親が感じられるように接する。親は自分の子どもが可愛い。だから親の目の前で可愛がると、親からの信頼、支持が得やすくなる。

それでも、食卓で指導者の批判は出るものだという。そうであるならばと、ある指導者が、「人に挨拶をするときは、起立をしてしっかりと頭を下げて挨拶するように」と選手に言った。そのあと、「子どもがやるんだから、親もできて当然だ!親にも言っとけ!」と選手に伝えたところ、翌朝、選手の保護者は、監督に直立不動で挨拶をしてきたという。

やはり、食卓で野球の話題がのぼっているのだ。誤解のないように補足すると、この監督と選手の保護者は、教員と生徒くらい年齢が離れており、それくらいの発言で問題になることはないとのこと。このように、監督が選手やコーチを通じて、保護者に釘を刺すことも批判を防ぐ効果があるのだ。


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