リーダーシップは人に対して行うものではなく、人と共に行うもの
先日、シチュエーショナル・リーダーシップ(SLⅡ)の研修を受講しました。
3ヶ月かけた研修で、実際の業務での実践や、課のメンバーから私のリーダーシップスタイルに対する評価などもあり(いくつか辛口評価も頂きました…)、非常に為になる研修でした。
この研修での一番の学びが、次の考え方です。
シチュエーショナル・リーダーシップ(SLⅡ)
シチュエーショナル・リーダーシップ(SLⅡ)は、ざっくり言うと「多くのマネジャーは自分が好む1つのリーダーシップスタイルで全ての人々や全ての状況に対応しようとしているが、同じスタイルであらゆる状況に対応することはできませんよ」という考え方です。
詳しくは、こちらを参考にして下さい。
開発レベルとリーダーシップスタイル
シチュエーショナル・リーダーシップでは、メンバーのレベルを4段階に診断し、それに合わせてリーダーシップスタイルも4パターンを使い分けます。
図にするとこうなります。
下にあるのが、メンバーの「開発レベル」と呼ばれる評価軸です。メンバーが持つ「技能」と「意欲」を4段階で診断します。
次にリーダーシップスタイルです。
D1のメンバーにはS1、D2のメンバーにはS2のように、メンバーの開発レベルに合わせて4つのスタイルを取ります。
この時に意識すべきは、「指示的行動」と「支援的行動」のバランスです。
タスクごとに診断し、リーダーシップスタイルを変える
メンバーの開発レベル、そして上司のリーダーシップスタイルはそれぞれ4段階になりますが、どのように使い分ければ良いのでしょうか。
大事なポイントは、「開発レベルはタスクごとに診断する」ということです。
つまり、「AさんはD3」「BさんはD1」ではなく、「Aさんは◯◯の仕事の時はD3」「でも、Aさんが□□の仕事をするのは初めてだからD1」と仕事(タスク)ごとに診断します。
「この人にはこのスタイル」ではなく「この人のこの仕事にはこのスタイル」と、同じ相手でも仕事(タスク)ごとに開発レベルを診断し、リーダーシップスタイルも変えなくてはならないのです。
1つのスタイルに固執していた私
この研修を受けるまでは、理想のリーダーシップスタイルは「あまり指示ばかりせず、メンバーの意見を傾聴しながら、自分で解決することを促すスタイル」だと思っていました。
シチュエーショナル・リーダーシップに当てはめると、S3のスタイルを誰に対しても取っていたのです。
例えば、新しい仕事をしてもらう時も「どうしたい?」「どうしたら良いと思う?」と出来るだけ相手の意見を聴き、細かい指示はあまりしないようにしていました。
でも、このやり方ではいつまで経っても期待した成果は出ないのですね。そして、だんだん納期が迫ってきて焦り、急に高指示になったり、上司が自分で処理してしまうことがよく起こります。
結果としてメンバーに大きなストレスを感じさせてしまい、下手をすると自信や意欲を失い、D1からD2(やる気も無くなり、上司にも不信感)に変化をしてしまうこともあります。
また、メンバーから私へのアンケートで見られたのが、「もう少し権限を移譲して欲しい」という要望でした。
D4(高技能・高意欲)で本来なら解決まで任せても問題が無いメンバーに対しても、S3スタイル(支援型)で関与しすぎたり、最後の解決策は私の考えを押し付けたりしていたのです。
このように、自分のリーダーシップスタイルが1つに偏っていたことへの気づきと、一方的にこちらのスタイルを押し付けるのではなく、メンバーの「技能」と「意欲」をよく観察し、リーダーシップスタイルを変えなくてはいけないということの学びを得た研修でした。
リーダーシップは人と共に行うもの、つまり双方向のコミュニケーションです
今回、研修の初期段階ではリーダーシップスタイルの研修と思い受講していましたが、研修を終える頃には、シチュエーショナル・リーダーシップとは「コミュニケーション手法」だという理解をしました。
一方的にスタイルを押し付けるのではなく、メンバーと双方向に「技能」と「意欲」を確認しながら、コミュニケーションを取っていく手法ですよね。
実際、研修の中でもメンバーが自分の開発レベルを示すことが推奨されていました。メンバーが上司に対して、取って欲しいリーダーシップスタイルを伝えて良い、むしろ伝えることでより良いコミュニケーションが生まれるのです。
そのために、上司自らがこの考え方をメンバーにレクチャーすることも推奨されています。共通言語として開発レベル(D1-4)やリーダーシップスタイル(S1-4)を使うことで、意思疎通がスムーズになるのです。
早速、4月最初の期初ミーティングでメンバー全員にシチュエーショナル・リーダーシップの考え方を伝えました。結果はこれからですが、「課長、私はこの仕事はD1ですっ!」などと嬉しそうに使っているので、出だしは好調です。(笑)
ありがとうございました。
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